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またまたレコーディング

昨日からまた秩父ミューズパークにて、ヴァイオリンとピアノのレコーディング。今回は旧コロムビアDENONグループ。
ずっとヴァイオリンは女性アーティストが続いていたので、久しぶりの男のヴァイオリン。ニューヨークで録音したギルシャハム以来かもしれない。
なかなかうまいヴァイオリンでびっくりした!24歳で大阪のオーケストラのコンマス
らしいけど、こういう若い人がどんどん出てきてあきらかに世代交代だね。
今週は抜群の気候に恵まれて、楽器も安定して、楽な録音になった。やっぱりうまい人との仕事はやりやすい。ヴァイオリンは僕の好きな楽器なので、ピアノの音ばかり聞いてるとヴァイオリンが聞きたくなる。

ギル・シャハムと言えば・・・。以前から早いパッセージになると、時々ピアノとヴァイオリンの音程がずれるのは、ヴァイオリンが無意識に純正で弾いてしまうのかなーと思っていたのですが、ギルシャハムと一緒に仕事をしてみて、びっくりした!どんな早いパッセージも、どこまでもピアノとぴったしの音程で演奏する!驚くほどのピアニシシシモが出せて、しかもpppppでも音はかすれもしない!
何だヴァイオリンってこうやって弾けるのか!等々いろんな疑問が一気に吹き飛んだ経験がうれしかった。
以後、彼と共演する際のピアノの調整は、明らかにピアニシモ重視に変えた。
日本ではサントリーの大ホール、ニューヨークではリンカーンセンターでのリサイタル。いずれも大入り満員だったが、リンカーンセンターは何とキャパ5000人!
この巨大ホールで、クリアーなppppからffffまでこなさなきゃならない非常に難しい調整で大変だったけど、やりがいと、楽しい経験をさせてもらいました。
NYスタインウェイと巨匠ギルに感謝!


ビクターレコーディング

秩父は寒い!昨日からのビクターグループとのレコーディングは珍しくトラブル続き。
なにせ湿度が28%!過乾燥で、音色はドライで潤いがなく、しかもどんどん楽器が鳴ってくるので



音量を抑える作業に大忙し!
じゃじゃ馬を押さえつけて、何とか録り始めたら今度は椅子がギシ!次は床がミシ!
ノイズには泣かされる。ノイズと言えばこのホールで起こった出来事。5年ほど前の秋、この秩父の山奥のコンサートホールでCD録音中、夕方になると突然ホールの舞台の下から鈴虫の大合唱!
しかも演奏を止めると虫もぴったり泣くのを止める。また弾きだすと鈴虫オーケストラの大合唱。とうとう録音は停止。どうやら台風の浸水で、舞台の床下に水溜りができて、そこに鈴虫が大発生したらしい。新しい住処を得た鈴虫君達、いつも頭の上でクラッシックのコンサートを聞いて
育って、今夜は演奏に酔いしれたのか、ついついみんなで大合唱!
結末は、私がふもとのホームセンターまで降りて行って、バルサンを買ってきた.
ほんとに可愛そうだったけど、こんな嫌な役回り、調律師がやるしかないか(笑)
合唱!いや、合掌。
この録音が終わったら、今夜は渋谷へ帰り、明日サロンで行われるジャック・ルヴィエのコンサートのためにピアノを調整。当日の立会はスタッフに任せ、早朝渋谷を出発してまたまた秩父でヴァイオリンのコンサート。> その後コロムビアグループと3日間レコーディングをこなして、そのまま名古屋、大阪、九州のツアーに出発。相変わらずほとんど家には帰れないけど、やっぱり現場の仕事は楽しい。


津田ホール

コンサートホールは実験場。今日は久しぶりの津田ホール。こじんまりして、良く鳴る、いいホールですよね。持ち込んだのは、コロムビアの第1スタジオで活躍していたスタインウェイ。
うちに来てからは、長年のスタジオ生活から飛び出して、主にコンサートホールが彼の活躍の場になりました。コロムビア時代は、アーティストに名器と喜ばれ、それこそ美空ひばりや氷川きよしなどの歌謡曲から、数多くのクラシックのアルバムまで、コロムビアレコードの顔だった楽器です。このスタインウェイの音は、意外なところで皆さんも聴いていると思います。
月~金曜日夜10時から、テレビ朝日系列で放送されている「報道ステーション」のテーマは、この楽器で録りました。


DENONディレクター

急に寒くなりましたね。私どもの横浜工場でも、昨夜はついにストーブをつけました。
もうそろそろ、のんびり好きな仕事だけやれるかと思ったら、次々と新しい仕事が舞い込んで、相変わらず忙殺される毎日です。昨日はサロンに、コロムビア・DENONのディレクター岡野氏が、いつものようにアーティストのリハーサルにやってきました。彼とは多くの新しいアーティストを発掘し、共にJクラシックのムーブメントを作りあげた仲間です。当時は、国内だけでなくNYやミュンヘンなど海外に行くことも多く、レコード会社もかなり羽振りが良かったというか、贅沢なレコーディングを楽しみました。
彼との出会いは十数年前、デビューしたての若き田部京子を連れてきたのがきっかけ。その後2年間、彼女のほぼ全てのコンサートやレコーディングにピアノの持ち込みをしました。それは北海道から九州まで120ステージ以上に及び、これが今のコンサート部の出発点になったわけです。
彼はバブル期のIBMを退職して「給料が半分になっても、音楽をやりたい」とコロムビアに転職してきたのですが、その心意気というか柔軟な考え方が、私ととても気が合うんです。ここ最近では本田美奈子の担当ディレクターとして、ソプラノ・ヴォイスによるアルバム「アヴェ・マリア」をリリースして大きな話題を呼びました。今そのCDが爆発的に売れているらしいのですが、やはり複雑な心境ですね。


初めまして

初めまして。高木です。
会社がようやく、僕の個人的なページを作ってくれたので、つれづれなるままに、思いついたことを書いていく場所ができました。
あちこち飛び回っていて、なかなかゆっくりパソコンに向かうヒマもないのですが・・・。
その第1弾が、本田美奈子さんの訃報についてになるのが、とても残念です。
赤坂のコロムビアスタジオで、彼女の最後のレコーディングを行ったのが、昨日のことのように思い出されます。そのコロムビアのスタジオも閉鎖され、彼女の最後のレコーディングをしたスタインウェイは、いま私の所にあります。 次はミュージカルの全集アルバムで「オペラ座の怪人」などを収録しよう、それならこのピアノを持ち込んでコンサートホールでレコーディングしよう、など言い合って楽しみにしていたのに、今となってはかなわぬ夢となってしまいました。ご冥福をお祈りします。