2月~3月、私がツアーで日本中を回っている頃、わが社の一般部門には、年度末の仕事が大量に舞い込んでいた。毎年この時期は、官公庁や学校関係からの依頼でスタッフのほとんどが、てんてこ舞いになる。
早朝から出発して、調律や修理をこなし、帰社後は夜遅くまで、持ち帰ったアクションのオーバーホールを総出でこなす。そのほとんどが、卒業式や入学式に間に合うように、あるいは春休み中にと期限のある仕事なので、帰宅は毎日深夜1時2時、数時間の睡眠しか取れない日々が続く。ほとんどのスタッフはこの時期見事に痩せる。
しかし、大量の調律や修理を短期間に集中してこなすので(しかもほとんどがグランドピアノ)、この時期を乗り切ると格段に技術の向上が図れる。当社ではもう20年以上も続いている毎年恒例行事のようなものだ。
調律と言う仕事は、なるべく多くのピアノに接し、1台でも多くの経験を積むことが後々の自信に繋がる。たった1台のピアノでも200本を越えるチューニングピンがあり、その感触は1つと同じものはない。数をこなして体で覚えるしかない。
3歳4歳の頃から、毎日毎日苦しい練習を重ねて、音大に行き、留学をし、はたまたコンクールを制したりしてコンサートステージにあがってくる音楽家は、何千人の中から勝ち抜いてきた精鋭たちだ。彼らのステージで、その命とも言えるピアノの全てを任されるわけだから、我々もそれなりの覚悟で仕事に向かうべきであると思う。
我々も技術向上の為に寝る間も惜しんで、真剣にピアノと格闘する時期があって当然だし、それでなければピアニストに対して失礼だと思う。
いつものように、寝不足でボロボロのスタッフにこんな激を飛ばしているが、本当は「体を壊さなきゃ良いけど・・」と内心、心配している。でも、みんな通ってきた道だ。こうやって基礎をみっちり叩き込こんで、頑張れ!
年度末
日記帳のデザインが変わりました
何だか前のほうがわかりやすかったみたいですが、あのままではデータが重くなるらしい・・・よくわからないけど。
しばらく工事中だったのと、3月はあまりの忙しさに日記を更新するのを1ヶ月お休み。すっかりご無沙汰しました!早速再開に向けて思い出し出し、書き始めます。
えーっと、北海道の帰りまで書いたんでしたっけ?
北海道から帰って、楽器を積み替え、和歌山、大阪、熊本とスケジュールが入っていたので、3月は文字通り北は北海道から、南は九州まで、になってしまいました。
月末まで東京に帰れないと思いきや、23日と26日にレコーディングが入ったので、22日にピアノとトラック組を和歌山に残し、南紀白浜空港から一人帰ってきました。
23日は4月からテレビ東京で始まる新番組のテーマ曲を録音。
私が東京でレコーディングをしている間に、トラックのスタッフは和歌山から大阪に向かいフェリーで、宮崎に上陸、24日に熊本に入った。
私は24日、羽田から直接熊本入りして、スタッフと合流。
夜のうちにピアノを搬入して、当然、馬刺し。
翌25日本番を終え、熊本泊。当然「黒亭」で熊本らーめんを堪能。
26日の早朝、トラックは女性スタッフ一人が運転して、陸路1200キロ彼方の渋谷に帰る。
私は朝一番の飛行機で羽田へ、朝11時には渋谷に帰社。
サロンでは(そういえば、昨年オープンした松涛サロンの話もしなければ・・)コロムビア/DENONレーベルで、アキコ・グレースのレコーディングの準備。
昨年オープンしたタカギクラヴィア松涛サロンで、初めてジャズのレコーディングをすることになり、それもお客様を入れてライブで録ることになったので、セッティングやら何やらで本番は31日に延期し、この日は急遽リハーサルをかねて仮録音をした。
アキコ・グレースは僕の大好きなジャズピアニストで、いつも一緒に仕事をするのが楽しい。今回はアコースティックなピアノトリオの編成なので、当然ニューヨークスタィンウェイを使用する。これが正統派モダンジャズのピアノサウンドだと僕は思う。
昨今の中域が甘ったるいピアノでは、サウンドが上品過ぎて味わいがない。しかも最悪なのは、ほとんどのピアノが次高音から最高音にかけて、音がやせてくることだ。おまけに最高音にかけての2オクターブはペキペキ、キンキン金属的な悲鳴をあげる。
ピアノは中域から最高音にかけて徐々に音量が増していかなければ、音楽的な表現ができず、不完全燃焼な演奏になる。だがこの点にかけては我々のF1は独壇場で、胸のすく思いだ。
(初めてこのF1を弾いたピアニストは、なぜかカンパネラを弾き始めるのが笑える。)
このCDはコロムビアから6月21日発売されます、請うご期待!
しばらく工事中だったのと、3月はあまりの忙しさに日記を更新するのを1ヶ月お休み。すっかりご無沙汰しました!早速再開に向けて思い出し出し、書き始めます。
えーっと、北海道の帰りまで書いたんでしたっけ?
北海道から帰って、楽器を積み替え、和歌山、大阪、熊本とスケジュールが入っていたので、3月は文字通り北は北海道から、南は九州まで、になってしまいました。
月末まで東京に帰れないと思いきや、23日と26日にレコーディングが入ったので、22日にピアノとトラック組を和歌山に残し、南紀白浜空港から一人帰ってきました。
23日は4月からテレビ東京で始まる新番組のテーマ曲を録音。
私が東京でレコーディングをしている間に、トラックのスタッフは和歌山から大阪に向かいフェリーで、宮崎に上陸、24日に熊本に入った。
私は24日、羽田から直接熊本入りして、スタッフと合流。
夜のうちにピアノを搬入して、当然、馬刺し。
翌25日本番を終え、熊本泊。当然「黒亭」で熊本らーめんを堪能。
26日の早朝、トラックは女性スタッフ一人が運転して、陸路1200キロ彼方の渋谷に帰る。
私は朝一番の飛行機で羽田へ、朝11時には渋谷に帰社。
サロンでは(そういえば、昨年オープンした松涛サロンの話もしなければ・・)コロムビア/DENONレーベルで、アキコ・グレースのレコーディングの準備。
昨年オープンしたタカギクラヴィア松涛サロンで、初めてジャズのレコーディングをすることになり、それもお客様を入れてライブで録ることになったので、セッティングやら何やらで本番は31日に延期し、この日は急遽リハーサルをかねて仮録音をした。
アキコ・グレースは僕の大好きなジャズピアニストで、いつも一緒に仕事をするのが楽しい。今回はアコースティックなピアノトリオの編成なので、当然ニューヨークスタィンウェイを使用する。これが正統派モダンジャズのピアノサウンドだと僕は思う。
昨今の中域が甘ったるいピアノでは、サウンドが上品過ぎて味わいがない。しかも最悪なのは、ほとんどのピアノが次高音から最高音にかけて、音がやせてくることだ。おまけに最高音にかけての2オクターブはペキペキ、キンキン金属的な悲鳴をあげる。
ピアノは中域から最高音にかけて徐々に音量が増していかなければ、音楽的な表現ができず、不完全燃焼な演奏になる。だがこの点にかけては我々のF1は独壇場で、胸のすく思いだ。
(初めてこのF1を弾いたピアニストは、なぜかカンパネラを弾き始めるのが笑える。)
このCDはコロムビアから6月21日発売されます、請うご期待!