本当にスケジュールは重なるもので、今日はオペラシティ、文京シビックホール、つくばのノバホール、青山のライブハウスと4つのコンサートが重なってしまった。
おまけに、わが社の一般部門も毎年恒例の官庁学校関係の年度末調律、修理依頼が怒涛のように押し寄せている!
なんとかつくばと青山のライブハウスはスタッフにまかせて、私は文京シビックとオペラシティを担当する事にした。
つくば以外は持込ではなく、ホールのピアノを調律する。
オペラシティも文京シビックも普通のスタィンウェイDだ。
2箇所のホールを行ったり来たりは大変だけど、スタッフが外に車で待機していて、調律が終わると次のホールに急ぐ。それぞれのリハーサルに顔を出して、本番前のピアノのチェックをする。
その頃につくばも青山も終了報告が入り、同時進行の仕事も無事。
これが終われば明日から現地滞在2日のニューヨーク出張。
現場掛け持ち!
録音最終日
今日で入善ともお別れ。
チェックアウトを済ませ、ホールに向かう。今日も良い天気だ。
9時に到着、何だかホールが妙に暖かい。暖房を入れてくれたのはありがたいのだけど、暖冬のせいか、暖まりすぎているようだ・・。
昨日より6度も高くて、湿度も60%近くある。
案の定ピアノの音はボケてしまった。
ホール中のドアを開けて、空気を入れ替えて弾きこんでいくと、みるみる復活してきた。楽器が目覚めてきた感じだ。
温度も5度も下がって19度になった。
CD105Hと呼んでいるこの楽器も、あらゆるところが安定していて、コントロールがしやすく、調律も殆ど狂わない。
録音にはとても使いやすいので、この楽器を指定してくるレコード会社も多い。今回も評判は上々で、人気者。
隅々まで知り尽くした楽器は、次に何が起こるか予測ができるし、何か起きても原因を特定しやすい。
レコーディングは、あとに残るものだし、何より、時間とスケジュールに追われるので、ピアノが足を引っ張らないようにする事がもっとも重要。
チェックアウトを済ませ、ホールに向かう。今日も良い天気だ。
9時に到着、何だかホールが妙に暖かい。暖房を入れてくれたのはありがたいのだけど、暖冬のせいか、暖まりすぎているようだ・・。
昨日より6度も高くて、湿度も60%近くある。
案の定ピアノの音はボケてしまった。
ホール中のドアを開けて、空気を入れ替えて弾きこんでいくと、みるみる復活してきた。楽器が目覚めてきた感じだ。
温度も5度も下がって19度になった。
CD105Hと呼んでいるこの楽器も、あらゆるところが安定していて、コントロールがしやすく、調律も殆ど狂わない。
録音にはとても使いやすいので、この楽器を指定してくるレコード会社も多い。今回も評判は上々で、人気者。
隅々まで知り尽くした楽器は、次に何が起こるか予測ができるし、何か起きても原因を特定しやすい。
レコーディングは、あとに残るものだし、何より、時間とスケジュールに追われるので、ピアノが足を引っ張らないようにする事がもっとも重要。
録音2日目
残った大曲が2曲。案の定、今日はハマりだした。
ステージの上で弾いている表現が、モニターからはどうしても出てこない・・ということになり、いろいろ試行錯誤。
クラシックのホール録音では通常、人工的なエコーやイコライザーは一切付け加えない。
ただひたすらマイクの位置を変えたり、楽器の位置や向きや、調整を変えたり、はたまたマイクの種類を変えたり、ピアノの下に布を敷いたり、コンサートの時には考えられないような位置にピアノを動かしたりして、全体のバランスをとります。全てアナログです。
動かしては音を録ってみて、今度はヴァイオリンの音が痩せただの、ダイナミックレンジが狭くなっただの、あーでもない、こーでもないと延々と実験は続き、そろそろ退館時間。
明日は最終日で、機材搬出やホテルチェックアウトなどもあり、スタッフ、アーティストがゆっくり集うのも今夜しかないので、軽く打ち上げがてら、車で魚津まで行き、富山の魚専門の居酒屋で、多数決の上、また鰤シャブを食べる事になった。
話の種に食した鰤シャブにみんな大満足。
昨夜のお姉さんと違って、居酒屋のおばちゃんは鍋を運ぶ姿も慣れたもので、安全に雑炊まで突入。気がつけばもう夜中の1時。大酔っ払いで入善まで帰ってきました。
ステージの上で弾いている表現が、モニターからはどうしても出てこない・・ということになり、いろいろ試行錯誤。
クラシックのホール録音では通常、人工的なエコーやイコライザーは一切付け加えない。
ただひたすらマイクの位置を変えたり、楽器の位置や向きや、調整を変えたり、はたまたマイクの種類を変えたり、ピアノの下に布を敷いたり、コンサートの時には考えられないような位置にピアノを動かしたりして、全体のバランスをとります。全てアナログです。
動かしては音を録ってみて、今度はヴァイオリンの音が痩せただの、ダイナミックレンジが狭くなっただの、あーでもない、こーでもないと延々と実験は続き、そろそろ退館時間。
明日は最終日で、機材搬出やホテルチェックアウトなどもあり、スタッフ、アーティストがゆっくり集うのも今夜しかないので、軽く打ち上げがてら、車で魚津まで行き、富山の魚専門の居酒屋で、多数決の上、また鰤シャブを食べる事になった。
話の種に食した鰤シャブにみんな大満足。
昨夜のお姉さんと違って、居酒屋のおばちゃんは鍋を運ぶ姿も慣れたもので、安全に雑炊まで突入。気がつけばもう夜中の1時。大酔っ払いで入善まで帰ってきました。
録音初日
通常初日は、ピアノの調整とマイクセッティングに殆どの時間をとられるものだが、オクタビア・レコードにとっては慣れたホール、我々は慣れた楽器。とんとんとセッティングは進み、午後には録りはじめた。
今日は19時退館なので、あまり時間がなかったけど、シャコンヌ、スペイン舞曲、チャイコフスキー、などを録り終えた。
ホテルに帰って、周囲を探索するも、駅前にも店らしきものはなく、真っ暗。仕方なくホテルに戻り、昨夜も行った和食屋さんに行って、無理を言って鰤シャブを作ってもらいました。
清酒立山とともに食す鰤シャブに満足して、この残ったスープを雑炊にしてもらうことにしたのだが、お店の女の子が鍋を持ち上げた瞬間、傾いた鍋から、煮えたぎったスープが、私の股間めがけて突進してきた!とっさに足を広げて後方に飛んだ後にスープがバシャ!
間一髪、多少のしずくがズボンにかかったものの股間は守られた!
あやうく鰤シャブのスープで大やけどをするとこでした。
アーティストにかからなくて良かった良かった。
今日は19時退館なので、あまり時間がなかったけど、シャコンヌ、スペイン舞曲、チャイコフスキー、などを録り終えた。
ホテルに帰って、周囲を探索するも、駅前にも店らしきものはなく、真っ暗。仕方なくホテルに戻り、昨夜も行った和食屋さんに行って、無理を言って鰤シャブを作ってもらいました。
清酒立山とともに食す鰤シャブに満足して、この残ったスープを雑炊にしてもらうことにしたのだが、お店の女の子が鍋を持ち上げた瞬間、傾いた鍋から、煮えたぎったスープが、私の股間めがけて突進してきた!とっさに足を広げて後方に飛んだ後にスープがバシャ!
間一髪、多少のしずくがズボンにかかったものの股間は守られた!
あやうく鰤シャブのスープで大やけどをするとこでした。
アーティストにかからなくて良かった良かった。
いざ、富山へ
大雪&凍結を予想し、スタッドレス・タイヤを装備して万全の準備で出発するも、予想に反して雪などどこにも見当たらず。
さすがに妙高高原の周辺では道路脇に残雪の気配はあったけど、それにしても昨年の雪の壁はどこへやら。
順調に17時前に入善コスモホールに到着して、ピアノ搬入。
今日は搬入するのみなので、舞台上にセッティングして、温湿度記録計を置いておしまい。
今日から宿泊するホテルは入善からさらに駅を4つ程富山寄りに行った黒部という町にあるらしい。
トラックは搬入口に留め置きなので、ホールの人がマイカーで駅まで送ってくれた。昨年の魚津・新川ホールも、今回の入善もホールの人が非常に協力的で、とても録音がやりやすい。
明日は通常なら休館日なのにホールを開けてくれた。
ありがたい事です。
さすがに妙高高原の周辺では道路脇に残雪の気配はあったけど、それにしても昨年の雪の壁はどこへやら。
順調に17時前に入善コスモホールに到着して、ピアノ搬入。
今日は搬入するのみなので、舞台上にセッティングして、温湿度記録計を置いておしまい。
今日から宿泊するホテルは入善からさらに駅を4つ程富山寄りに行った黒部という町にあるらしい。
トラックは搬入口に留め置きなので、ホールの人がマイカーで駅まで送ってくれた。昨年の魚津・新川ホールも、今回の入善もホールの人が非常に協力的で、とても録音がやりやすい。
明日は通常なら休館日なのにホールを開けてくれた。
ありがたい事です。
月刊Pianoの取材
昨日の浜離宮で使用した楽器はそのままスタジオに下ろして、19日から始まるオクタビアレコードの録音に持っていく、別のピアノを調整する。
朝10時からは月刊Pianoの取材。ピアノをもっと良く知ろうをテーマにピアノを運ぶシステムまでのインタビューと写真撮影で午前中はすっかりつぶれてしまった。
先日はブルータスという雑誌の取材で篠山紀信が撮影に来たり、ここのところ取材場所としてサロンが使われることも多くなってきた。
先日NHKで録音した1887年製ローズウッドピアノの放送日も今日だったのに、すっかり忘れていた。
ともかく女性が指1本でトラックにフルコンを積み込んで運ぶ姿に皆すっかり感心して大喜び!
私のインタビュー記事共々、発売されたら読んでみてください。
3/20発売「月刊Piano4月号」巻頭特集に掲載されるらしいです。
明朝は 富山・入善コスモホールでのレコーディングに出発します。
去年もこの季節に富山で録音し、うまい鰤シャブを食べました(過去日記参照の事)。今年も食べられるといいのですが・・・。
では行ってきます、またレポートします!
朝10時からは月刊Pianoの取材。ピアノをもっと良く知ろうをテーマにピアノを運ぶシステムまでのインタビューと写真撮影で午前中はすっかりつぶれてしまった。
先日はブルータスという雑誌の取材で篠山紀信が撮影に来たり、ここのところ取材場所としてサロンが使われることも多くなってきた。
先日NHKで録音した1887年製ローズウッドピアノの放送日も今日だったのに、すっかり忘れていた。
ともかく女性が指1本でトラックにフルコンを積み込んで運ぶ姿に皆すっかり感心して大喜び!
私のインタビュー記事共々、発売されたら読んでみてください。
3/20発売「月刊Piano4月号」巻頭特集に掲載されるらしいです。
明朝は 富山・入善コスモホールでのレコーディングに出発します。
去年もこの季節に富山で録音し、うまい鰤シャブを食べました(過去日記参照の事)。今年も食べられるといいのですが・・・。
では行ってきます、またレポートします!
ストラド&グァルネリ聴き比べ
20挺のストラディヴァリウスやグァルネリを所有し、実力あるヴァイオリニストに無償貸し出しをしている事で有名な日本音楽財団の主催で行われたコンサート。
場所は浜離宮朝日ホール、ヴァイオリンは渡辺玲子、ピアノは江口玲の玲玲コンビだ。
今日、お披露目されたのは、ストラディヴァリウスとグァルネリ・デル・ジュス、いずれも1736年製の「ムンツ」で、合わせるピアノとしては1887年ローズウッドなら相性もピッタリなんだけど、今日の催しの主旨が
ヴァイオリンの聞き比べだからピアノにあまり主張があってもいけないし・・・と考えて、コロムビア1スタのハンブルグDにした。
前日にも松涛サロンに2人で練習に来て、この2挺の楽器は見せてもらっていたので、予備知識は十分。ホールでどのように聴こえるのか楽しみだ。
なにせ、それぞれ4億円ずつ、合わせて8億円というから楽器のそばを通る時はホントに気を付けないと!
それに比べればスタインウェイなんて安い安い。
リハーサルで早速聴き比べ、まずはグァルネリから。
ホールの後ろのほうで聴いてみると、グァルネリは良く鳴って、なるほどさすがに素晴らしい・・・。
続いてストラドに持ち替えて、同じ弓で、同じ曲を弾く。
おやおや、さっきのグァルネリよりは幾分全体の音量は少ないように思うけど、この圧倒的な音楽性の奥深さは何なんだ!
両方とも素晴らしい楽器ではあるが、やはりストラドの方は限界がもっともっと先のほうにあるように私は感じた。
ピアノで言えば良いハンブルグのスタインウェイは素晴らしい楽器だと思うし、そうに違いないけれど、調整、整音していると、ある時点でなんとなく「これが限界」という境界線が見えてくるような気がする。
対してニューヨークのスタインウェイは、知れば知るほど、限界がもっともっと先にあるように思う。
それに似たものを感じた今日のコンサートであった。
日本音楽財団のこの素晴らしい弦楽器名器の貸与システムは、規模は遥かに小さいけど同じようにピアノを貸し出しているものとして、共感するものが多々ある。
ピアノと違って、おどろおどろした縄張り争いで業者が余計な口を出してこない、純粋に音を楽しめる、良いコンサートでした。
アーティスト・マネジメント
2月から新しいプロジェクトの1つである、マネージメント事業部が始まりました。
以前から各方面よりアーティスト・マネージメントもやって欲しいという依頼が多かったのですが、なにせ本業の方があまりにも忙しくて手が回らない、というのが本音・・・。
しかしながらレコード会社やディレクター等の協力により、ようやく独立した新しい部署を作ることになりました。
正式には、タカギクラヴウィア株式会社アーティスト マネージメント事業部 Sound Force という長ーーい名前ですが、主に私の好きなジャズのアーティストを中心にマネージメント業務を行います。
今日はその第1弾アーティスト、アキコ・グレースのピアノコンチェルト。ティアラこうとうの大ホールで、アマデウス・ソサイエティ管弦楽団とガーシュウィンのラプソディ・イン・ブルーや彼女のオリジナル曲をオーケストラバージョンに編曲したものをやります。
今までクラシックべったりでやってきたけれど、もともとジャズは大好きで、いつかジャズはやりたかった分野です。
楽器を操るテクニックは様々で、クラシックアーティストは正確にビートを刻んだりグルーヴ感を出すことが苦手だったりする反面、ジャズ・プレーヤーは正確に楽譜通り弾くことが苦手、というケースもあります。
車のレースで言えば、F1ドライバーはラリードライバーにラフロードではついていけないし、ラリードライバーはサーキットではF1ドライバーについていけないみたいなものかな?
ところが今日は、バリバリのアコースティック・ジャズピアノの女王アキコ・グレースが、いつものピアノトリオではなく、オーケストラとラプソディ・イン・ブルーだ!異文化コミニュケーションなのだ(笑)
こちらの心配をよそに、始まってみれば、カデンツの部分はお得意のアドリブ満載で、アキコ・グレースならではのガーシュウィンだった。
使用ピアノはF1の2ndアクションをグレース仕様に仕上げたニューヨーク・スタインウェイ。彼女は芸大在学中からバークリーに留学し、その後もニューヨークで活動していたので、ニューヨーク・ジャズの本格派。 クラシックはもちろんのこと、ブルーノートサウンドのジャズもニューヨークのスタインウェイに限る!
クラシックで疲れた頭をアコースティックなジャズで癒して下さい。
以前から各方面よりアーティスト・マネージメントもやって欲しいという依頼が多かったのですが、なにせ本業の方があまりにも忙しくて手が回らない、というのが本音・・・。
しかしながらレコード会社やディレクター等の協力により、ようやく独立した新しい部署を作ることになりました。
正式には、タカギクラヴウィア株式会社アーティスト マネージメント事業部 Sound Force という長ーーい名前ですが、主に私の好きなジャズのアーティストを中心にマネージメント業務を行います。
今日はその第1弾アーティスト、アキコ・グレースのピアノコンチェルト。ティアラこうとうの大ホールで、アマデウス・ソサイエティ管弦楽団とガーシュウィンのラプソディ・イン・ブルーや彼女のオリジナル曲をオーケストラバージョンに編曲したものをやります。
今までクラシックべったりでやってきたけれど、もともとジャズは大好きで、いつかジャズはやりたかった分野です。
楽器を操るテクニックは様々で、クラシックアーティストは正確にビートを刻んだりグルーヴ感を出すことが苦手だったりする反面、ジャズ・プレーヤーは正確に楽譜通り弾くことが苦手、というケースもあります。
車のレースで言えば、F1ドライバーはラリードライバーにラフロードではついていけないし、ラリードライバーはサーキットではF1ドライバーについていけないみたいなものかな?
ところが今日は、バリバリのアコースティック・ジャズピアノの女王アキコ・グレースが、いつものピアノトリオではなく、オーケストラとラプソディ・イン・ブルーだ!異文化コミニュケーションなのだ(笑)
こちらの心配をよそに、始まってみれば、カデンツの部分はお得意のアドリブ満載で、アキコ・グレースならではのガーシュウィンだった。
使用ピアノはF1の2ndアクションをグレース仕様に仕上げたニューヨーク・スタインウェイ。彼女は芸大在学中からバークリーに留学し、その後もニューヨークで活動していたので、ニューヨーク・ジャズの本格派。 クラシックはもちろんのこと、ブルーノートサウンドのジャズもニューヨークのスタインウェイに限る!
クラシックで疲れた頭をアコースティックなジャズで癒して下さい。
いよいよ本番!
窓から横須賀港の軍艦や潜水艦が見える19階のレストランで朝食を食べながら、今日の過酷な肘打ち拳叩きに調律は持つだろうか・・・と心配になる。
たとえ立派にアンコールまで保っていても、そんなことはピアニストにとってはどうでも良いことで、我々の自己満足しかないもんな・・・なんて愚痴めいた事をぼやきながら、バイキングの納豆をトーストに乗せて「ナットースト」と称して食べた。
今日はホールには朝から大勢の人たちがやってきて、準備に大騒ぎ。昼ごろからリハーサル開始。
ピアノは6台すべての屋根をはずして、中心には通常の2台ピアノの状態で向かい合わせに置き、その周りを花びらのように4台が囲む。
オープニングは、そこに6人全員が座って、紹介がてら1人ずつアドリブで弾いていき、次に2人ずつ出てきて2台ピアノで3組。
第2部は、3人ずつ3台ピアノで2組が弾き、最後に6人全員でボレロ、アンコールにテイク5という構成だ。
リハーサルをしてみないと、最終的なことは決まらない。
予想通り、3台ピアノの時は組み合わせによって使用ピアノも変えていたのだが「後側のピアノだとお客様から見えないから前の3台だけで」と急遽変更。
全員椅子の高さが違うし、また6人がいろんなピアノを弾くので、そのたびにそれぞれの椅子を持ってスタッフはあっちへ行ったりこっちへ行ったり。おまけに譜面台を使う人、使わない人、これも覚える。場所が変わればまた入れ替える。忙しい(笑)
そろそろ本番が始まる。もう舞台袖で、でーーんと構えるしかない。
肘打ち拳叩き大いに結構!わが社のスタィンウェイは多くの修羅場を踏んできたから、そんなことで壊れる訳はない。願うは弦が切れないことだけ。
案の定、本番では皆ノリノリで、約1800人満員売り切れの劇場は大いに盛り上がって終わった。
6台とも調律は殆ど狂わず、みんな「保ったねー!」と大喜び!やっと責任を果たして、肩の荷が降りた。
2000人クラスの大ホールが必ず売り切れになる超人気のこのシリーズはこれからもあっちこっちで予定されているようだ。
さて搬出!このホールの巨大な搬入口では、ピアニストやマネージャーさんたちが、女の子が一人でフルコンをトラックに積み込む姿に大喜びで、携帯写メ大会になって大騒ぎだった。
明日はティアラこうとうの大ホールでアキコ・グレースがラプソディー・インブルーのコンチェルトを弾くので、このままニューヨークのF1を持っていく。即効、頭を切り替えだ。
この曲はのだめ効果で最近大人気らしい。
たとえ立派にアンコールまで保っていても、そんなことはピアニストにとってはどうでも良いことで、我々の自己満足しかないもんな・・・なんて愚痴めいた事をぼやきながら、バイキングの納豆をトーストに乗せて「ナットースト」と称して食べた。
今日はホールには朝から大勢の人たちがやってきて、準備に大騒ぎ。昼ごろからリハーサル開始。
ピアノは6台すべての屋根をはずして、中心には通常の2台ピアノの状態で向かい合わせに置き、その周りを花びらのように4台が囲む。
オープニングは、そこに6人全員が座って、紹介がてら1人ずつアドリブで弾いていき、次に2人ずつ出てきて2台ピアノで3組。
第2部は、3人ずつ3台ピアノで2組が弾き、最後に6人全員でボレロ、アンコールにテイク5という構成だ。
リハーサルをしてみないと、最終的なことは決まらない。
予想通り、3台ピアノの時は組み合わせによって使用ピアノも変えていたのだが「後側のピアノだとお客様から見えないから前の3台だけで」と急遽変更。
全員椅子の高さが違うし、また6人がいろんなピアノを弾くので、そのたびにそれぞれの椅子を持ってスタッフはあっちへ行ったりこっちへ行ったり。おまけに譜面台を使う人、使わない人、これも覚える。場所が変わればまた入れ替える。忙しい(笑)
そろそろ本番が始まる。もう舞台袖で、でーーんと構えるしかない。
肘打ち拳叩き大いに結構!わが社のスタィンウェイは多くの修羅場を踏んできたから、そんなことで壊れる訳はない。願うは弦が切れないことだけ。
案の定、本番では皆ノリノリで、約1800人満員売り切れの劇場は大いに盛り上がって終わった。
6台とも調律は殆ど狂わず、みんな「保ったねー!」と大喜び!やっと責任を果たして、肩の荷が降りた。
2000人クラスの大ホールが必ず売り切れになる超人気のこのシリーズはこれからもあっちこっちで予定されているようだ。
さて搬出!このホールの巨大な搬入口では、ピアニストやマネージャーさんたちが、女の子が一人でフルコンをトラックに積み込む姿に大喜びで、携帯写メ大会になって大騒ぎだった。
明日はティアラこうとうの大ホールでアキコ・グレースがラプソディー・インブルーのコンチェルトを弾くので、このままニューヨークのF1を持っていく。即効、頭を切り替えだ。
この曲はのだめ効果で最近大人気らしい。
ジャズ6連弾始まる!
昨日グリーグ連続演奏会が終わったと思いきや、今日からは一転、ジャズ6連弾の開始。
よこすか芸術劇場に朝10時、フルコン4台を搬入する。
ここは私のとても好きなホールで、舞台から客席を見た景色というか雰囲気がカーネギーホールにとても似ている。
このホールでは、3台ピアノのコンサート(前田憲男&佐藤允彦&羽田健太郎)も数回やったことがあり、ここのハウスピアノは良く知っているので、今回はホールのヤマハとスタインウェイを1台ずつ借りて、合わせて6台だ。
6台ピアノの調律は同時にはできないし、複数の調律師でやっても合わないし、責任のなすりつけあいになっても困るので、結局6台全部一人でやることにした。これで全責任は自分にあるわけで、がんばるしかない(笑)
まずはホールのピアノを1台調律した。これを基準の楽器にして、残り5台をこのピッチと比較しながら調律を進めていく。
ユニゾンやオクターブには微妙な幅があり、この微妙な幅のせいで必ずピッチがずれていく。それぞれのピアノの音色の違いによっても、わずかにずれていく。したがって、6台を順番に調律して行くとまるで伝言ゲームのようにずれていってしまうので、それを最小限に抑える為に常に基準にする楽器は1台に決めておく。
しかし、理想と現実は常に予想外の番狂わせを起こすのだ。1部と2部では6台のピアノ位置も変わる。基準としていた楽器が何と第2部では下手側の一番端に行くことになってしまった。中心においてあった時は真上の照明で楽器が温まっていたのに、下手の端ではかなり冷える。これとは逆に端っこに置いてあった楽器は、コンビニのフライドチキンのケースのように、真上からの照明でみるみる温まってくる。
鉄は温度が1度上がれば10センチにつき約10ミクロン伸びる計算。
しかも今回は1台ヤマハが入っているので、ピアノのメーカーが変われば更に変化の度合いも違う。
まるでモグラたたきのように、あっちが上がれば、こっちが下がるみたいで大忙し!
おまけに今回のジャズ6連弾のピアニスト達は山下洋輔さんを筆頭に肘打ち当然の猛者ぞろいだから、過酷の上に過酷な状況。
ある程度狂うのは物理的に仕方がないとしてもお客さんにわかるほど狂っては恥だ。
時間が来てしまったので、他のスタッフは帰らせて、私はホール隣接のホテルに泊まった。さすがに1日でフルコン6台の調律は疲れた。明日は朝8時にホール入りだ。
よこすか芸術劇場に朝10時、フルコン4台を搬入する。
ここは私のとても好きなホールで、舞台から客席を見た景色というか雰囲気がカーネギーホールにとても似ている。
このホールでは、3台ピアノのコンサート(前田憲男&佐藤允彦&羽田健太郎)も数回やったことがあり、ここのハウスピアノは良く知っているので、今回はホールのヤマハとスタインウェイを1台ずつ借りて、合わせて6台だ。
6台ピアノの調律は同時にはできないし、複数の調律師でやっても合わないし、責任のなすりつけあいになっても困るので、結局6台全部一人でやることにした。これで全責任は自分にあるわけで、がんばるしかない(笑)
まずはホールのピアノを1台調律した。これを基準の楽器にして、残り5台をこのピッチと比較しながら調律を進めていく。
ユニゾンやオクターブには微妙な幅があり、この微妙な幅のせいで必ずピッチがずれていく。それぞれのピアノの音色の違いによっても、わずかにずれていく。したがって、6台を順番に調律して行くとまるで伝言ゲームのようにずれていってしまうので、それを最小限に抑える為に常に基準にする楽器は1台に決めておく。
しかし、理想と現実は常に予想外の番狂わせを起こすのだ。1部と2部では6台のピアノ位置も変わる。基準としていた楽器が何と第2部では下手側の一番端に行くことになってしまった。中心においてあった時は真上の照明で楽器が温まっていたのに、下手の端ではかなり冷える。これとは逆に端っこに置いてあった楽器は、コンビニのフライドチキンのケースのように、真上からの照明でみるみる温まってくる。
鉄は温度が1度上がれば10センチにつき約10ミクロン伸びる計算。
しかも今回は1台ヤマハが入っているので、ピアノのメーカーが変われば更に変化の度合いも違う。
まるでモグラたたきのように、あっちが上がれば、こっちが下がるみたいで大忙し!
おまけに今回のジャズ6連弾のピアニスト達は山下洋輔さんを筆頭に肘打ち当然の猛者ぞろいだから、過酷の上に過酷な状況。
ある程度狂うのは物理的に仕方がないとしてもお客さんにわかるほど狂っては恥だ。
時間が来てしまったので、他のスタッフは帰らせて、私はホール隣接のホテルに泊まった。さすがに1日でフルコン6台の調律は疲れた。明日は朝8時にホール入りだ。
グリーグピアノ作品 連続演奏会
今年はグリーグ没後100年。(101回忌ってことか?)
ラ・フォル・ジュルネ始め、グリーグにまつわる数々のイベントが行われるが、タカギクラヴィアでは、グリーグ2007記念プロジェクト実行委員会やノルウェー王国大使館と協力して、全7回のコンサートを松濤サロンで行うことになっている。
グリーグピアノ作品の連続演奏会であるともに、ノルウェー王国の紹介もかねているので毎回テーマを決めているのだが、記念すべき第1回は「ようこそノルウェーへ!ようこそグリーグの世界へ!」と題し、ノルウェー大使館のカーリ・ヒルト参事官の話から始まって(ちょっと長かったけど)、その後若手ピアニスト4人のコンサート。サロンの壁には、写真家:長谷川和美氏による冬のノルウェーの風景~オーロラやクリスマスの飾り付けをされた町並みの写真パネル~がビッシリ飾られて、とても綺麗だ。さすがサンタクロースの国、御伽噺のような風景が並ぶ。
今回出演してもらった若手ピアニストには、現役音大生もいたが、4人とも粒が揃っていてなかなかうまかった。
感心したのは依頼から本番まで非常に短期間であったにもかかわらず、全員が暗譜で演奏したこと。ショパンやベートーヴェンではなく、グリーグとなると普段から弾いているレパートリーとは言い難いと思うが、なかなか将来が楽しみな若者たちであった。
あまり弾く機会がないコンサート用に調整されたバリバリのスタインウェイフルコンに戸惑っている人もいて、それぞれのピアノ環境が垣間見えて面白い。それでも若い彼らはそのうち難なく弾きこなし、お客さんたちも大満足してお帰りになった。
大使館の方達からも丁重なお礼を頂いて恐縮でした。後6回のコンサートも盛りだくさんの内容なので、乞うご期待!
ちなみに本日使用した楽器は、コロムビアレコードの第2スタジオにあったハンブルグDだった。
ここでついでに、サロンのピアノの話。
タカギクラヴィアのスタインウェイ達は、どれもコンサートステージが普段の活躍場所なので、ピアニスト達がF1と称するようにそのピアノの本来持っているであろうポテンシャルを最大限に引き出したチューニングがされている。その事に気がついたピアニストはすぐに狂気乱舞し(笑)、「わーこんなことも、あんなこともできる!」と大喜びする。一度こんな経験をすると、今までピアノのせいであきらめていた表現が、実は
いとも簡単にできてしまうことがわかって、またピアノにはまってしまうのだ。
残念な事に、タッチコントロールがうまくできない人は、結局叩いてしまって「小さい音が出せない」「音色がすぐに変わってしまって怖い」など、悩んで終わってしまうけれど、「もっと脱力して、ほら、こんなに小さい音が出るでしょう、しかも芯のあるpppppがね!」と言うしかない。
その人に合わせて楽器をもこもこの音にしたら、実に色彩の乏しいつまらない音になってしまうから。
かの作曲家フォーレは「昨今のピアニストは、ピアノの音をもっとやわらかくして欲しいと要求する人がいるけれど、それは声楽家にあなたの声はいりません、と言っているようなもの」と弟子に言ったというが、まさにその通り。
単なるピアノ弾きは物理的に弾きやすい楽器を求め、真のアーティストは音楽的に弾きやすい楽器を求めるということだと私は思う。
したがって、「アクセルやハンドルが敏感で、それを自由にコントロールすることによって究極の走る芸術を求めたF1マシーン」を、カローラのように調整して欲しい・・と言われても、私はやりません(笑)
フォーレが言った様にもっとピアノを歌わせましょう!!
ラ・フォル・ジュルネ始め、グリーグにまつわる数々のイベントが行われるが、タカギクラヴィアでは、グリーグ2007記念プロジェクト実行委員会やノルウェー王国大使館と協力して、全7回のコンサートを松濤サロンで行うことになっている。
グリーグピアノ作品の連続演奏会であるともに、ノルウェー王国の紹介もかねているので毎回テーマを決めているのだが、記念すべき第1回は「ようこそノルウェーへ!ようこそグリーグの世界へ!」と題し、ノルウェー大使館のカーリ・ヒルト参事官の話から始まって(ちょっと長かったけど)、その後若手ピアニスト4人のコンサート。サロンの壁には、写真家:長谷川和美氏による冬のノルウェーの風景~オーロラやクリスマスの飾り付けをされた町並みの写真パネル~がビッシリ飾られて、とても綺麗だ。さすがサンタクロースの国、御伽噺のような風景が並ぶ。
今回出演してもらった若手ピアニストには、現役音大生もいたが、4人とも粒が揃っていてなかなかうまかった。
感心したのは依頼から本番まで非常に短期間であったにもかかわらず、全員が暗譜で演奏したこと。ショパンやベートーヴェンではなく、グリーグとなると普段から弾いているレパートリーとは言い難いと思うが、なかなか将来が楽しみな若者たちであった。
あまり弾く機会がないコンサート用に調整されたバリバリのスタインウェイフルコンに戸惑っている人もいて、それぞれのピアノ環境が垣間見えて面白い。それでも若い彼らはそのうち難なく弾きこなし、お客さんたちも大満足してお帰りになった。
大使館の方達からも丁重なお礼を頂いて恐縮でした。後6回のコンサートも盛りだくさんの内容なので、乞うご期待!
ちなみに本日使用した楽器は、コロムビアレコードの第2スタジオにあったハンブルグDだった。
ここでついでに、サロンのピアノの話。
タカギクラヴィアのスタインウェイ達は、どれもコンサートステージが普段の活躍場所なので、ピアニスト達がF1と称するようにそのピアノの本来持っているであろうポテンシャルを最大限に引き出したチューニングがされている。その事に気がついたピアニストはすぐに狂気乱舞し(笑)、「わーこんなことも、あんなこともできる!」と大喜びする。一度こんな経験をすると、今までピアノのせいであきらめていた表現が、実は
いとも簡単にできてしまうことがわかって、またピアノにはまってしまうのだ。
残念な事に、タッチコントロールがうまくできない人は、結局叩いてしまって「小さい音が出せない」「音色がすぐに変わってしまって怖い」など、悩んで終わってしまうけれど、「もっと脱力して、ほら、こんなに小さい音が出るでしょう、しかも芯のあるpppppがね!」と言うしかない。
その人に合わせて楽器をもこもこの音にしたら、実に色彩の乏しいつまらない音になってしまうから。
かの作曲家フォーレは「昨今のピアニストは、ピアノの音をもっとやわらかくして欲しいと要求する人がいるけれど、それは声楽家にあなたの声はいりません、と言っているようなもの」と弟子に言ったというが、まさにその通り。
単なるピアノ弾きは物理的に弾きやすい楽器を求め、真のアーティストは音楽的に弾きやすい楽器を求めるということだと私は思う。
したがって、「アクセルやハンドルが敏感で、それを自由にコントロールすることによって究極の走る芸術を求めたF1マシーン」を、カローラのように調整して欲しい・・と言われても、私はやりません(笑)
フォーレが言った様にもっとピアノを歌わせましょう!!