今日はちょっと専門的な話を。
今回のメインマイクは知る人ぞ知る、BK4040という超特選マイク。
普段使い慣れたBKの2倍は太い胴体に金色キャップは堂々たる風格です。
限定生産で世界で50本、25セットくらいしかないらしく、値段も1本150万円、ペアで300万円と破格の値段。定番のBK4006や4011の約6倍!ゴージャスで、上品な音に録れるという。
上品以外は、そのふくよかさといい、マイクの叶姉妹か。
実はこのマイクとは、数回ご一緒した事があって、過去の経験からすると、私個人的には、あんまり好きではない。
ヴァイオリンとか歌とかには良いけれど、はっきりいって、ピアノとは合わないような気がする。ゴメンナサイ(笑)
このマイクは、人間の耳には殆ど聞こえない、ホワイトノイズ気味の高音域も、減衰せずダイレクトに拾ってしまう。
たとえて言えば、うまい水というのは純水ではなくて、ミネラルやナトリウムのようないろいろな不純物が含まれている部分をうまみとして感じているわけですが、超敏感な味覚センサーを口につけて、おいしい水を飲んだとしたら、今までバランスよく感じていた不純物までもが、それぞれ別々にはっきり味として識別されてしまい、それでおいしいと感じられるだろうか?といった感じ。
ボケた音のピアノだと、逆にくっきり録れるので、クリアーで、ハッキリ、クッキリした音に聞こえるのだが、それはあくまでマイクが拾った音で、現実の音ではない。
これではスーラの点描画のような音は描けない、そんな気がする・・。
もちろん今回は歌が素晴らしい音で録れるので、このマイクのよさが際立っているけれど、デジタル時代になって、マイクもコンデンサーになり、どんどんこういった傾向に拍車がかかっているように思います。
アナログ、アコーステイックな音は、アナログな人間と共に過去のものになりつつあるのかな。
でも世界的に見ても、日本の録音技術はトップレベルにあり、その延長線上の悩みだから、贅沢な話であり、やっぱり叶姉妹みたいにゴージャスな悩みなのかも(笑)
今日も淡々と録音は進み、6時半に終了。急いで山を下りてマジョラムに直行し、8人でカレーの晩御飯。