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クラシック倶楽部 収録

NHKの101スタジオに朝8時半搬入。BS-hiのクラシック倶楽部という番組の収録。
フランスの有名な絵本「ぞうのババール」を、女優の原田知世さんが朗読し、江口君がその絵本を元に作曲されたプーランクの曲を弾く設定で、子象の作りものやカーテンで装飾したお伽の舞台に乗せられたF1は、一昨日のすみだトリフォニー大ホールとはまるで違う世界に連れて来られた(笑)

このNHK-101スタジオは東洋1の大きさとかで、とても巨大だ。
いつも良く行く「誰でもピカソ」や「徹子の部屋」のスタジオの5~6倍はある。
けれど、全くデッドな環境で、アコースティックの響きはゼロだ。

搬入が終わって、調律をチェック。
トリフォニーの時はあれだけ高くなっていた高音域の調律もすっかり落ち着いている。全くピアノは温湿度計だ(笑)
それにしても寒い。何でテレビ局ってこんなに冷やすんだろうね。今
度はピアノの冷えすぎが心配。
テレビ局の常で調律の時間はほとんど貰えないし、これだけデッドで音が吸われるとクラシックは弾きにくい。

NHK-501スタジオは一応、音楽を録音する為のスタジオなので、適当な響きもあり、ホールに近い感覚で弾けるけど、101スタジオでは、マイクもピアノの中のフレームの上に載せて、直接音を録音する。
ポップスと同じだ。

なんとかプーランクはすんなり終わり、次はラヴェルの「マ・メール・ロワ」とサティの「風変わりな美女」を、最近売り出しのジャズ・ピアニスト、山中千尋さんと連弾だ(笑)
クラシックの曲をジャズ系の人が楽譜通りに弾くのも大変だけど、1つ根本的に困った問題が起こった。

私はピアノを設置した時から予想していたけど、ジャズ系の人は、こんなに広いデッドな場所で、アコースティックのピアノを弾く事はまずない。
必ずPAを入れて、返しのスピーカーを足元に置く。
まして連弾だ。隣りで鳴ってる音で自分の音が聞こえないんではないかと、ますますタッチが強くなる。
案の定、リハーサルでそうなった(笑)

彼女の困惑は凄く良くわかる。
そば鳴りする楽器にPAを突っ込んで、返しのスピーカーから出てくる音を元に、音量のバランスを変える事に慣れていると、この環境でアコースティックな音だけでは戸惑うだろう。
現に、モニターからは彼女が担当する高音部はガンガン出ている。
モニターではバランスが良かったので、これで調整を変えてしまうと、高音域だけがキンキンになってしまう。

ジャズやポップスなら、彼女だけヘッドフォンをつけて音を返すとか、薄くPAを入れるという手もないではないが、今日はテレビの収録だし、クラシックだ。
楽器はクラシックを弾くように、調整してある。
それでも頑張って彼女は弾き終え、なんとか収録も終わり撤収。
録音が長引いたので、急いで会社に戻ってサロンのライブを聴く。

NHKからは5分で帰れるけど、少し遅刻(笑)
今夜は、大入り満員の松濤サロンで国分弘子のジャズ・ピアノと、サーカスの叶正子さんのボーカルを堪能した。


ジェラール・プーレ録音最終日

フランス3大ヴァイオリン・ソナタの録音もいよいよ最終日。
場所は市川市文化会館。
先日、サロンでプレ録音をやったので、今日はセッティングが終わり次第、すぐ本番に入る。
ピアノは昨年、富山に持って行った楽器と同じ。
何と、昨年の1月15日に企画して、1年半かかった訳だ!実は前回のテイク、すべての編集が終わってプーレに聞かせたら、今度手に入れたヴァイオリンはもっと素晴らしいので、この楽器でフランクを録りなおしたいと言う。
プロデューサーの私は、椅子から転げ落ちそうになったけど、この後世に残すシリーズは、アーティストが納得するまで、録るのがポリシーだから、プーレのわがまま(笑)を最後まで聞く事にした。この録り直しで、スケジュールが延びたために、3台ピアノの録音や、その他の企画も、延び延びになってしまって大慌てだったけど、それも彼の人柄。
その柔和な笑顔は、我々をそうさせてしまう魅力がある(笑)

夕方にはフランクを録り終え、ついでにドビュッシーのソナタも通して録音して、この1年に渡ったprojectも終了。大量に録音できたプーレの音は、後世に残していける貴重な財産だ。
ドビュッシーは、プーレの父親とこのソナタを作曲したのだから、まさにこれがドビュッシーのヴァイオリン・ソナタの基本であろう。
緊急の申し出にもかかわらず、ホール使用に快く協力頂いた市川市文化会館の皆様に感謝。



すみだトリフォニーホール

セルゲイ・シェプキン リサイタル

午後1時ピアノ搬入。
今日はNHK-FMの収録もあるので、搬入はあまりのんびりもしていられない。
簡単にピアノ位置を決めてから一旦ピアノをステージの一番後ろまで下げて、照明の仕込み。
かなり温度変化が激しいので、あまりやりたくないけど、舞台の後ろで調律。その後定位置まで移動。

今日は湿度がかなり高いので、案の定、ピッチがかなり上がってきた。
時間が無いので、そのままリハーサル開始。
粒立ちがはっきりしないので、ピアノ位置を40センチ前に移動。
中音域のモヤモヤも消えて、歯切れが良くなった。
二階席、三階席の後ろまでピアニシモがハッキリ届く。
F1の本領発揮だ。
リハーサルが終わって、シェプキンから調整の指示があったので、フォトセッションまでの間に作業する。

「ピアノは良く鳴ってくれて、とても素晴らしい。後は、次高音のセクションの数音をもっとブリングアップさせて欲しい。中音域の2音のアフタータッチが微妙に揃っていないので揃えて欲しい。1音だけバックチェックに咬まなくて、リバウンドする時がある。以上。」

いずれも温度湿度変化によるものなので、簡単に直るけれど、こういった適切かつ正確な要求は嬉しい。
実は、中音域から次高音にかけて、湿気でピッチが上がっているほうが、私には気になったけれど、ユニゾンはあまり変化がないので、このまま行く事にする。
フォトセッションが終わって、また少し弾いて、シェプキンは、「あとは鍵盤を拭いて下さい。素晴らしいピアノをありがとう」と言い残して楽屋に引っ込んだ。

すみだトリフォニー大ホールは、ほぼ満員の入りで、びっくり!
一曲目のイタリアンコンチェルトは、少し緊張ぎみだったが徐々に本領発揮。
二階席の1番後ろで聴いてたけれど、乾いた歯切れの良いバッハは、私には聞き慣れたグールドの響きだった(本人はグールドと比較されたくないらしい)
シェプキンのように脱力ができていて、ダイナミックレンジを広く取れるピアニストにとって、F1は無限の可能性を見せる。

昨今のコンサートホールでしかピアノの音を聴いてない人は(エンジニアも含めて)、今一度じっくり、グールドやホロビッツのCDを聴いてみて欲しい。
それは決してまろやかでも甘ったるくもない。
私はチェンバロの響きが見えてこないと、バッハではないと思うので、この音は昨今の新しい甘ったるい音の楽器では決して表現できないと思う。

ゾクッとするような、輪郭のはっきりしたピアニッシモから、歯切れの良い中低音域に乾いた倍音が溢れて、その中にいろんな色が見えてくる。
それをノイズと思うか音楽と思うかは自由。
写実的な絵こそ最高と思っている人には、ピカソの絵は子供の落書きにしか見えないだろうし、スーラの点描画の絵に芸術性は見い出せないだろう。

日本で有名になりたくて、鍵盤の貴公子とか呼ばれて、どんな仕事でも受けて、数年で消えて行く外人アーティストがほとんどの中で、40代中頃で油が乗り切って、1本筋が通ってて、本当に実力があり、しかも、気さく(笑)なシェプキンは、稀有な存在だ。

終演後、CDのサイン会は長蛇の列。
我々は搬出があるのでお先に失礼しました。
なにせ年間250ステージ位のスケジュールが入っているので、1年先まで、なかなか新しいアーティストと仕事ができないけれど、うまくスケジュールが合えばまた是非、御一緒したいアーティストだった。



Model-O

朝11時にシェプキンが来て、練習開始。

私は先日ニューヨークから到着したO型のチェック。
1908年生まれのこのスタインウェイは、ちょうど100歳。
この頃は、ニューヨークでも180cmぐらいのタイプをO型と呼んでいたけれど、その後リビングルームサイズを表す、L型と呼ばれるようになり、最近はフレームをハンブルクと共通化するようになって、またO型に戻った。
今回ニューヨークから飛んできたO型は、例によって、響板や駒、ピン板を新品に貼り替えてあるので、後は仕上げの工程と、アクションのオーバーホールをやるためのチェックをする。このアクションは珍しくオリジナルを保っていた。
100年前のスタインウェイは、キャプスタンに穴は開いてなくて六角形で、専用のスパナで回す。
サポートはヨーロッパタイプで、ジャックにボタンが付いてないタイプで、ジャックの前後はレストフェルトを切って、紙を入れて前後を調整する。
このタイプのサポートにも種類があり、初期の物はフレンジにスプリングが付いていたが、タッチが不自然なので、その後無くなり、スプリングでごまかしていた重さを、レピテイションレバーを細くして、軽くして鍵盤の戻りをより自然に感じるように、研究を重ねていた時代である。
この後にアクションは蒲鉾パンチング、そしてアクセレレイテッド・アクションへと、進化して行く訳だ。
まさに巨匠達の高度な芸術的要求に、技術者達が一生懸命応えようとしている様子が、見えて面白い。

おっと、サロンでは、夜8時ピッタリにシェプキンの練習が終わって、今日も上機嫌でホテルに帰って行った。
明日は本番だ。雨が降らなきゃ良いが…



来客多数

サロンでは昨日のプライベートレッスンに引き続き、コンサートがある。

スタジオには、昨日来日したばかりのセルゲイ・シェプキンが、24日のコンサートで使用するピアノを選びにくる。
朝11時半頃、気さくなシェプキンがやってきた。
昨年の初来日でゴルトベルク変奏曲を演奏して、一大センセーショナルを巻き起こした彼は、トリフォニーホールでオール・バッハ・プログラムを演奏するのだが、できれば今回はニューヨーク・スタインウェイが弾きたいとの事で、とても楽しみにしていたらしい。

何台か用意しておいたが、結果は予想通り、F1を選んだ。
イタリアンコンチェルトや、ゴルトベルクは、やっぱりニューヨークじゃなきゃね。(笑)
私は久しぶりに枯れたゴルトベルクを聴いた。
シェプキンはその後、夜の8時まで弾き続け、喜んで帰って行った。
また明日も同じ時間に来る。


ジェラール・プーレ

NYSレーベルの次回作、ジェラール・プーレのフランス三大ヴァイオリン・ソナタのレコーディングも、最終局面を迎え、来週25日のレコーディング本番を前に、今日はサロンでプレ録音を行なった。
プーレだからプレ録音と言う訳でもないけど、今回手に入れたヴァイオリンが非常に気に入ったらしく、また新たにフランクのソナタを録り直す事にした、そのために再度録音スタッフが全員集まって、最終確認をするわけだ。

「アーティストが納得するまで、とことんやる」このシリーズは、私がプロデューサーなので、やりたい放題(笑)
こんなに経費をかける録音は絶対他のレコード会社じゃ出来ないよね(笑)
でも、作品として後世に残す為には、誰かがやらなきゃならない。
誰もやらないから、しょうがない、やるしかない(笑)


レコーディング最終日

徳島から貰ってきたホタルはいまだに元気に発光しています。
とても珍しいので、この過酷な大曲レコーディングの合間、みんなの気休めになりました。
今日は最終日で、シューマンのヴァイオリンソナタ第2番の続きを録音して、夕方に終了。
また1つ、後世に残るであろうCDができた。


録音2日目

昨日の録音初日はシューマン ヴァイオリン・ソナタ第1番をCD199で録音した。
ディレクターのNさんも、「音を聴いて、なるほど、高木さんがなぜ、このピアノを持ってきたのかわかった!」と言って納得してくれた。
今日は同じくシューマン ヴァイオリン・ソナタ第2番とロマンスを録音する予定だけれど、ロマンスはともかく、2番のソナタには、音色もアクションの反応も含めてF1の方が合うと思ったので、今日からはF1の登場!豪華リレー(笑)

誤解のないように付け加えると、どんな難曲もサラッと弾いてしまうピアニストじゃないと、こんな事はできません。
楽器が変わるというのは、オーケストラが変わったのと同じ。各パートの音色や音の立ち上がり、倍音の構成などがまったく異なるので、曲のイメージ作りに慣れたピアニストでないと、失敗してしまいます(笑)ピアノがオーケストラだとすれば、ピアニストは指揮者です。
指揮者次第で、オーケストラはどんどん良くなったり、バラバラだったりします。
もちろん今回は名指揮者ですから、F1はすぐに言うことを聞き、ソナタ第2番の途中までと、気分を変えてロマンスも録り終えて終了。

明日は撤収があるので、今夜は仮打ち上げ。



ヴァイオリンとピアノのレコーディング

今日から3日間、レコーディングです。
シューマンのヴァイオリン・ソナタを、CD199とF1で録ります。
今日の出番はCD199。明日は高松から戻ってくるF1で録ります。
CD199はホールでのクラシック録音デビューです。

楽器を仕上げる最終段階は、コンサートホールのステージ上で、レコーディングを重ねる事がもっとも重要。
スタジオやサロンのような狭い空間で、いくら良くなった!と思っても大ホールのステージで何日もレコーディングをすれば、全てのアラが露見して、ごまかしはききません。
街中で、いくらパワーがあって加速が良いと思っても、サーキットに持っていけば、こんな亀のような車だったのか?と思うのと、よく似ています。
コンサートピアノはこうやって磨かれて行くのです。

CD199も、大ホールのステージで鳴らすと、今までわからなかった課題が次々出てきて、1つずつ解決して行くうち、終了真際にはまずまずの線まで仕上がった。
あとは鍵盤の重量バランスの見直しと、中音域の音色にもう少し魅力を付けたい。
なんて考えているうちに、本日終了!



高松へ移動

朝10時に、ホールに行って、昨日から置かせてもらっていた楽器を積み込んだ。
今日は高松に移動するだけだし、徳島~高松は車でわずか2時間位で、余裕もあるので、午前中はホールのピアノを調整する。

お昼頃に、以前ホールにいて大変お世話になった人がやってきて、昨夜の打ち上げで、冗談で言っていた生きたホタルを、なんと10匹位ペットボトルに入れて持って来てくれた!
暗いところに持って行くと、元気良く光る。
いくら発光ダイオードの街とは言っても、これは本物!
電池無しで光っている(笑)

珍しいお土産をもらって、高松に出発。
綺麗な瀬戸内海を見ながら、本当に2時間ほどで、高松に到着。
明日はホールのピアノを使うので、明後日の会場の下見に行ってみたのだが、ついでに楽器も搬入させてもらった。、

主催者が用意してくれた全日空ホテルに到着。
トラックは高さ制限により地下駐車場に入らず、この綺麗なホテルの正面玄関に2日間泊める事になったらしくて、何だか申し訳ない(笑)

明日はアーティストが3時入りだから、ホールには10時に入る事にした。
夜は「一鶴」という有名な焼き鳥屋さんに行って、ひな鳥や親鳥、鳥飯など鳥づくしを食べて、大満足。



阿南市文化会館

朝6時30分に深夜バスは徳島に着いた。
迎えに来ていたスタッフの車に乗って、まずはホテルに向かい、朝食を食べて、ホールに入り、調律を始める。

今日はここで2台ピアノの本番だ。11時に2台とも調律を終えて、リハーサル。
なかなか良く溶け合っていて、一安心。

本番は600人のキャパが満員で、大盛況のうちに終了。
打ち上げで盛り上がって、またまたいろんな人と名刺交換をして、輪が広がった。


行徳文化ホール

朝5時にホテルを出て、7時20分発のJALで東京に戻り、羽田からそのまま行徳文化ホールに向かう。
9時45分ホール到着。飛行機は早いね。久しぶりの東京だ。

このホールは、今度レコーディングで使うので以前下見に来たことがあるが、コンサートは初めてだ。
どんなピアノが入っているのか興味があったので、今日はホールのピカピカのスタインウェイを使う事に決めていた。

10時入りで、12時調律アップの予定が、実は12時リハ開始らしくて、11時には江口君が来てしまった。
ホールには次々知り合いが入って来るので、お喋りしていてまだ3分の1も終わっていない。
リハ前に指慣らしもしなけりゃならないから、とりあえず30分だけもらって調律をまとめ、リハーサル開始。

松田理奈ちゃんは先日の岡崎以来だ。
残念な事にこのホールは少しデッドなので、歌や弦には少し厳しいかも知れない。
反響板の奥の方までピアノを入れて、ちょっと見た目は変だけど、妥協点を探った。
レコーディングならどんな形でも良いけど、コンサートの場合は見た目もあるので、必ずしも最良の音の場所で、演奏できるわけではない。

休憩時間にTBSの柴田さんも挨拶に来てくれて、楽屋裏は賑やかになった。
今日は15時~17時本番で、徳島行きの最終便に乗るのは少々厳しいスケジュールだ。
諦めて、久しぶりに21時30分渋谷発の深夜バスで徳島に戻る事にした。



阿南にて

古座川を朝5時に出発し、和歌山港を8時半に出航するフェリーに乗って徳島に向かう。

本番は明後日で、ピアノの搬入は明日なのだけど、明日は東京でも別のコンサートがあるので、1日早くホールに搬入させてもらう事にした。
2台ピアノなので、ついでに調律も今日やって、明日のリハーサルはスタッフが立ち会いをする。

調整をやっていたら、会館の人が地元の新聞記者を連れてきて、インタビューとなった。
内容は「数年後に徳島に1200人規模のコンサートホールを建てる予定があり、地元には反対意見がかなりあるのだが、御意見をお聞きしたい」とのこと。

日本中回って、この規模のコンサートホールが一番運営に困っているのを見ているので、「何で今更、そんな税金の無駄遣いをするの?作るなら300人位の音の良い小ホールのほうが、よっぽど地元に貢献する。余ったお金は既存のホールのソフトに使うべき!」と話した。
記者さんは恐らく、ピアノが売れるとか仕事が増えるから賛成!という意見を期待していたのか、ちょっと驚いた様子でメモを取っていたけれど、徐々に納得して興味が沸いたのか、かなりの時間を取られてしまい、調整の時間がすっかりなくなってしまった(笑)

実は、私もこのホールの市民評議会のメンバーに入れられているので、多少は発言できるわけだ(笑)

地元の有志から、食事をしがてら、ホタルを見に行きましょう!と誘われて、仕事を切り上げ、地元では有名なホタルの群生地に行って、本物のホタルの群れを見た。
手で簡単に捕まえられて、手の中でも光っているのには、びっくりした。
明日は5時出発でに空港に向かうから、あんまり夜遊びもしてられないのだが(笑)


古座川でリフレッシュ

連日の早朝移動で、寝不足気味だったが、久しぶりに朝寝坊。
同行のスタッフは昨夜、地元で頼まれたピアノがあまりにも酷いハンマースティックで、可哀想な事にアクションを引き取って来て、これからセンターピン交換だ。
北見から盛岡に向かっていた北海道班も、無事にその後の盛岡での2公演を終えて、東京に戻って来たようだ。

こっちは古座川の大自然の中で束の間の休息を取りながら、岡田さんと、来週から始まるレコーディングと、その次の企画の打ち合わせ。
紀州はもう梅雨入りだ。

数日前は、摂氏2℃の北海道北見市で、トラックの前を横切るキタキツネや蝦夷鹿を見て喜んでいたのに、今は梅雨の紀州で、地元の鹿を焼いて喰っている。人間って罪深い(笑)

写真は、昨日ヤマト・ピアノを引き取った、今月中に解体される旧家。



古座川に移動

昨夜のコンサートはほぼ満員!
久しぶりに大阪リーガロイヤルに泊まってゆっくりしたかったけど、13時には新宮に到着しなければならないので、8時に出発した。

大雨の中、熊野古道で有名な本宮を抜け、予定通り新宮に到着。
ここで、先日の日記に書いた、ヤマト・ピアノを引き取った。
このピアノの詳細は、トラックが東京に戻ってきてからね。
大本営発表!で有名な、このピアノの元持ち主は、当時、陸軍の幹部だった、花岡さんという人だったらしい。
いろんな昔話をお聞きして、古座川の岡田邸に夕方到着。
夜は岡田シェフの鹿鍋、鯨、カツオで乾杯!


兵庫県立芸術文化センター

昨日は出発前に来客があって、結局横浜工場を出発したのが21時。大雨の中、浜松まで運転して休憩。
スタッフと交代して、多賀パーキングに2時頃に到着。
仮眠後、朝10時頃に出発して、時間調整をしながら、12時30分にホール搬入口に到着。

このホールは初めてだ。大中小ホールがあり、大ホールは非常に綺麗。木の色がダークブラウンで、まるでヨーロッパのホールのようだ。
バックステージや、搬入口など全てが余裕の作りで、音も素晴らしい。
大ホールは3000人を越すキャパに見えるけれど、意外や意外、2000ちょっとでサントリーホール並み。
だが音は格段にこっちの方が良い。
4階席の一番後ろまでピアニシモが届き、関西で一番好きなホールになってしまいました!
最近はなかなか空いている日がないというのも納得しました。

日本に2000人以上のホールは数々あれど、ほとんどがクラシックには大き過ぎて痩せた音になってしまう。
でも今日は満喫しました(笑)
今夜の宿は久しぶりに大阪リーガロイヤル。




レコーディング2日目

今日はダブルカルテットやパーカッションも入れて録音する。
CD199は大好評で、スタジオのモニター室では、プロデューサーも、「いやあ、これだけ歴然と音の違いがわかると、本当に納得しました!」と、いたく御満悦。
エンジニアの塩ちゃんも、私も一安心。
作曲者は、この楽器に出逢って、今回の楽曲を書いたらしく鼻高々(笑)

映画はかなりシリアスな内容なので、ずっしり太いCD199の音は良く合っている。公開が楽しみだ。
夕方まででほとんどピアノ部分は録り終えたので、会社からスタッフを呼んで、立ち会いを交代した。

これから横浜工場でF1をトラックに積んで、今夜中に滋賀県の多賀パーキングまで走り、明日は西宮の兵庫県立芸術文化センターに13時搬入だ。



JT ホールと映画のサン

朝9時に虎ノ門JTホールの調律。
今回はホールのスタインウェイをお借りした。
10時頃、別現場でピアノの搬入が終わったと連絡が入る。
実は都内スタジオにCD199を入れて、今日と明日で映画音楽のレコーディングが入っている。
こっちの調律は11時入りで13時アップだけど、JTホールが終わるまで
待ってもらう約束なので、レコーディングのセッティングを遅らせてもらった。
何てワガママな調律師なんだろ(笑)

スタジオに堂々と収まったCD199は、予定より調整に時間がかかったけど、やっと今日が正式デビューだ!
作曲者は、本当にこの楽器の凄さに度肝を抜かれたらしく、うるさいほど「凄い凄い」と感激して、庭駆け回りコタツで丸くなった(笑)

F1より太く、少し甘い音も出るようにヴォイシングしたので、甘く切ない感じは表現しやすい。
もともと太い重低音に抜けるような、ニューヨークスタインウェイのクリスタルな高音域が乗っかるので、F1が、ピアニシモからフォルテシモにいたるまでの音量のダイナミックレンジが広いとすれば、CD199は重低音から、クリスタルな高音域までの音色のダイナミックレンジが広いと表現すればわかりやすいかな?

また別のキャラクターの素晴らしい楽器がラインナップに加わった。
今回は久しぶりに、エンジニアにはコロムビアの塩ちゃんにお願いした。
もう15年以上の付き合いで、コロムビアの洋楽でもう何十枚もCDを作ってきた仲間だ。
こういった素晴らしいチームで、世に残る作品を作っていけるのは、なんて幸せな事だろう。