東京文化会館

毎日夕方になると、雷と集中豪雨であっちこっち大洪水の異常気象だ。
午後1時入り3時アップで、上野の文化会館小ホールの調律。
今日は持ち込みではなく、ホールのスタインウェイを借用。
3時に終わったら、4時に表参道のスパイラルホールに行って、ここ4日間ピアノを貸し出している、浦島りんこさんのリサイタルを見に行かなければならない。

慌ただしいけど、文化会館は上野の駅前、スパイラルは表参道の駅上、銀座線一本で行けるから楽だね。
今日はクラシックからポップスまで、頭の切り替えが必要(笑)



市川市文化会館 新人コンクール

今日は弦楽部門。
今朝はちょっとゆっくりの10時入りなので、9時に渋谷を出てみたら、10時に到着。
時間潰せず、デニーズはなし。お腹空かせて、ホール入り。

調律が終わって、少し聴きたかったけど、今日から4日間、青山スパイラルホールで浦島りんこさんのコンサートがあり、夕方サウンドチェックに行かなければならないので、急いで青山に向かう。

久しぶりのスパイラルホール。
たまにはクラシック以外を聴くのも良いものだ。



市川市文化会館 新人コンクール

今日はピアノ部門。
またまた9時入りなので、今日は8時に渋谷を出てみたが、8時15分に到着してしまった。
また時間潰しにデニーズで焼鮭定食納豆付きを食べて、ホール入り。

調律が終わった頃、審査員の先生方が入ってきて、久しぶりに田部京子ちゃんに会った。
彼女と、全ステージピアノ持ち込みコンサートをやったのは、もう15年ほど前で、丸2年間約120ステージぐらい全国を回った。
あの時はまだ26、7才ごろだったのかな?懐かしい。
(女性の年をばらしてはいけないか)

今や審査員をやる立場になって、みんな頑張ってるね(笑)

さて、今日も、後につづく才能ある若者が発掘されるかな?



静岡でのコンサート

社長がコンクールの調律に行っているので、静岡県のコンサートホールの調律は私がまかされました。
ホールのピアノは、技術者に調整を触られると逆に悪くなってしまうという恐れから、調律以外の作業を禁止している所が多いです。
タッチや音色が綺麗に調整されていれば良いのですが、どうしようもないキンキンの音色だったり、ひどく連打が効かないピアノだったりする事も良くあります。


確かに管理している方の立場から言えば、保守管理業者を信じるしかないのでしょうが、調律だけで済む状態のピアノは、珍しいくらいです。
私達は、会社の方針で、余程の事がない限りホールのピアノで調律以外の作業はしません。
鍵盤が戻って来ないなどは論外ですが、明らかににその技術のない調律師が担当していて、本来、保守管理業者がやらなければならない調整ができていない場合がよくあります。
本番当日、もしその調整をやってあげたとしても、誰もその料金を払ってくれません。
時間もないので、結局ピアニストが我慢するしかないのです。

そう考えると、やはりピアノも他の楽器のように持ち込みをするのが、ピアニストにとっても技術者にとっても、ホールにとっても一番良い方法なのだなあ…と今日改めて思いました。(晶)



市川市文化会館 新人コンクール

初日は声楽部門。
朝9時入りなので、7時半に渋谷を出る。
案の定8時過ぎに到着したので、時間潰しにデニーズで、焼鮭定食納豆付きを食べて、ホール入り。

今日から9月1日まで、市川市文化会館主催の新人コンクール。
市川市と言っても、全国から参加するらしいので、才能ある若者が発掘されるかな?


ディナーショー

今日はひたちなかのホテルで行われるディナーショーを1人でまかされました。
朝5時に渋谷を出発し、7時半にサブちゃんと合流してひたちなかのホテルにB型を搬入しました。
正面玄関から入ると長い階段があり、ホテルの方々にも手伝ってもらって約10人がかりで階段上げです。
ずっとピアノを持ち上げた状態で階段(螺旋状なうえにフカフカの絨毯)を上るのは本当に大変そうでしたが、なんとか大宴会場まで運び入れ、ステージ上げもして搬入完了!
いつもキャタピラのよぶちゃん・ごぶちゃんで階段や坂道でも楽にピアノを運んでいるので、時々こういった搬入出に立ち会うと余計に大変さを感じます。
それでもステージ上げなど軽々と二人でこなしてしまうのはさすが、サブちゃんです。

ピアノはこのところの涼しさで思った以上に冷えており、社長に常々言われているようにしばらく触らずに様子を見ることにしました。
ホテルの方から「実はエレベーターがある」と言われ、搬出ルートを確認したりして、時間をおいてから調律をしました。
宴会場もクーラーでかなり冷やされているせいか、ピッチが大きく変化することもなく、状態は安定しています。

サウンドチェックなどが終わると今日の主役、加山雄三さん登場!
永遠の若大将の歌声にうっとりしながら(でもピアノの音には耳をすませつつ)リハーサルを見学し、終わると調律の直しです。
やはりほとんど狂いは無く安定していて一安心。
本番中は宴会場の外で聞こえてくる音やお客様の喜んだ表情を確認したりして、22時に今度はエレベーターを使って楽に搬出。

持ち込んだピアノには絶対の自信がありますが、やはり搬入出が大変だったり、弾かれるのが若大将だったり(笑)で緊張の連続。
長~い1日でした!(芽)



三鷹市芸術文化センター 録音最終日

トリオレコードの録音も、今日が最終日。
初めてのチームだったけれど、いろいろ勉強になった。

レコーディングには、昔から大きく分けて、クラシックファン向けと、オーディオファン向けの録音がある。
一般的にオーディオファン向けの録音はマイクが近く、クラシックファン向けの録音は、コンサートホールの残響を多めに入れて客席で聴いているように録音するので、明らかに音源が遠く聞こえる。

どちらも好みの問題だが、私はピアノのセッティングをマイクの位置によって微妙に変えたいので、初めてのマイクや小型のタンノイのスピーカーという組み合わせに最初戸惑いつつも、ヘッドフォンで確認したり、整音をやり直したりして、昨日の午後にはようやく、ニューヨークスタインウェイらしい音になってきた(笑)
独特の倍音やノイズを、オーディオマニアが味ととるか、雑音ととるか、どう評価するかは私にはわからないけれど、音楽的には良く仕上がってきた。

今日は私の好きなシューベルトのセレナーデを録る。
ホロウ゛ィッツの「at home」というアルバムに収録されている演奏が有名。
ヘッドフォンで確認したら、なかなか良い音に仕上がってきた(笑)
もともと、私もオーディオマニアだったので、中学生の時は、自分で作ったアンプで良くLPを聞いたものだ。ただ自作の欠点は、手前味噌になってしまう事(笑)

今回のレコーディングでは、久しぶりにアナログ世代の音が聴けた事と、スタッフの平均年齢が高くて、私は真ん中位の世代だったことが最近では珍しかった(笑)
最後にみんなで記念写真。
これが終わったらまたニューヨークに戻るTさんは、私が先週までアン・アキコ・マイヤースの録音をしていたパーチェスカレッジの事も良く知っていて、話が弾んだ。
お互い時差ボケご苦労様(笑)

これで私は今月の5枚目のCD録音が終了しました。
最後に三鷹のホール搬入口に三日間停めっ放しのデュトロも記念に一枚。
三鷹のスタッフの皆様にも御協力頂きました、有り難うございます!


三鷹芸術文化センター 録音2日目

朝は通勤ラッシュと逆方向なので、渋谷から一時間位で三鷹に着く。
昨日慌ただしくて後回しにしてあった細かい調整をやった。

大ホールのコンチェルト仕様に調整してあった楽器を、別物のようにキャラクターを変えるのはあまりやりたくないので、いつもは渋谷に来てもらって、好みのピアノを選んでもらうのだけど、今回は私が日本に居なかったので仕方がない。

ピアニストのTさんが、ニューヨークから来たのが5日前、私がニューヨークから帰って来たのが3日前で、お互いに時差ボケ(笑)
そのせいか、午前中はどうも調子が悪い。
今日もエンジンがかかってきたのは午後3時過ぎ。
それでも予定の曲は録り終えて早めに終了。

そう言えば、今回のレコーディングプロデューサーのNさんは、クラシック評論家の大御所。
私の顔を見るなり「いやあ~本読みましたよ、面白かった!私は、あの亀田さんとも長い付き合いでねぇ(笑)」
挨拶はこれから始まった。

業界の中心で長くやってる人は皆知ってる話しだから、まずは大笑いする(笑)



三鷹市芸術文化センター

今日から3日間、三鷹市芸術文化センターの風のホールでレコーディングです。
ピアノはニューヨーク・スタインウェイのF1を持ち込みます。
この録音の為にニューヨークから来日したピアニストTさんの、リストをメインにしたアルバムを作ります。

朝9時に搬入。私の本にも出てくる、あの三鷹市芸術文化センター。
こうやって、このホールのステージに立つと、過ぎ去った年月が何だか懐かしい。もう10年以上も前の話です。
あの頃に比べると業界も随分変わったなぁ…と思いながら調律をやっていると、さっきからピアノのまわりに見慣れないマイク。
良く見ると、KENWOODの文字が!
そうか、今回は懐かしいトリオレコードの録音だ。

今は名前が変わってしまったけれど、私も昔、トリオレコードのLPを持っていました。
録音は青山タワーホール、杵淵さん調律したベーゼンドルファーインペリアルを宮沢明子が弾いたシューマンの「子供の情景」で、たしか白いジャケットだった。
何度もそのベーゼンドルファーの音色を聴いて、頭に叩き込んだ思い出があります。

モニター室にはエンジニアの手作りの機器が並び、正に純国産。
クラシックの録音では、B&K SCHOEPS以外のマイクはほとんど使われなくなっているので、この試作品のケンウッド、純国産マイク(ファンタム電源何と200v)は楽しみです。

そうこうしているうちにピアニスト到着。
何しろ今日初めてお会いするので、タッチも音色の好みもわからない。
こんな時は便利なF1、2ndアクションも持ってきた。
弾き比べてもらって、どっちが好きかわかれば、時間の節約。
どうやら、2ndのほうがお好きらしい。でも鍵盤の軽さは1stのほうが良いとの事なので、急いで1stアクションの音色を2ndに合わせる事にした。
20分で終了して、早速リハーサル開始。
鍵盤の重さを変えるより音色を変えるほうが早いからね(笑)

無事1日目終了。三鷹は通えるから便利。



笠懸、最終日

帰国した当日は、疲れていて良く眠れるから、今日は比較的楽なはず。時差ボケは2日目以降がいつも辛いよね。

笠懸の録音は今日が最終日。
朝9時にホールに入り調律。ほとんど直すところもないので、次高音をいくつか整音する事にした。今日は10時アップだ。

楽屋のテレビでオリンピックをやっている。
そう言えば、ニューヨークではオリンピックの話題すら出なかったし、こんなにオリンピックを見なかった年はない。
いかに、日本は朝から晩まで、スポーツ番組とお笑いでテレビが占領されているか良くわかる。

今日の録音は、シューマンのクインテットとベートーヴェンのトリオ。
初日は笠懸名物の雷で何度も録音が中断したらしい。
依然、雨は降ったり止んだりで今日も雲行きが怪しいけれど、何とか持ちそうだ。

夜7時頃、レコーディングは無事終了。
桐生駅近くに、「追いきりうどん」という、ほうとうのようなうどんを食べさせる、有名な女将がいる店があるそうなので、アーティストは先に行ってもらって我々は撤収作業。
笠懸恒例の、ホールのスタッフによる記念撮影を終えて、今回の録音も無事終了。
笠懸野文化ホールが、日本一有名な録音ホールになったのも、ここのスタッフお二人の努力のおかげ。
オープン以来15年以上、同じスタッフというのも、とても大事なことだ。
今や年間50枚位のCD録音があるそうだが、大体1回の録音で3日間ぐらいかけるから、録音だけで年間150日近い利用があることになる。予約がなかなかとれないわけだ(笑)

笠懸のホールの皆さんに御挨拶をして、我々もうどんを食べて、帰省ラッシュの中、渋谷に到着したのは深夜だった。お疲れ様。




成田から笠懸へ

飛行機の中で1日繰りあがって、16日の17時50分成田着。
そのまま京成で上野、新幹線で高崎、両毛線で岩宿、タクシーで笠懸文化ホールに着いたのが21時過ぎだった。
途中ゲリラ雷雨とかで、徐行運転でダイヤは乱れてかろうじて到着。

ホールでは録音の真っ最中!
2日間頑張ってくれたスタッフとバトンタッチ。
女性のスタッフが、1人でトラックにフルコンを積み込み、運転して、笠懸野文化ホールの、高さ1m20センチの搬入口プラットホームでも楽々搬入。そしてステージに設置して、調律。
この画期的なシステムのおかげでピアニストは、いつもの慣れた ピアノで、安心して録音できる。
このシステムで、今年中に3000ステージを迎える。

皆で和気あいあいと晩御飯を食べ、私は時差ボケで速攻で爆睡。
明日は笠懸録音の最終日。



笠懸野文化ホール

笠懸野文化ホールで3日間のレコーディングがあり、社長がNYのレコーディングで不在のために、日本に戻るまでの2日間を任されました。
お盆の真っ只中、高速道路の下り線を行かなければならず、いつもよりも1時間早く朝5時にピアノをトラックに積み込み渋谷を出発しましたが、既にピークは過ぎていたらしく、通常通りの時間で着いてしまいました。

こちらはレコーディングで頻繁に使われているホールで、社長も何度もお伺いしているため、ホールスタッフの方から「あれ、今日は社長さんは来ないの?」 とすっかり顔馴染み。
うちの運搬システムもよくご存知です。

無事搬入、調律を終えてレコーディングが始まりました。
今回は先日社長が行った行徳文化ホールの時と同じメンバーに、さらに演奏者が増え、クインテットでの録音です。
初日は上州名物(?)の雷で、予定よりも早く終わりにせざるを得なくなってしまいました。凄い轟音で、稲妻が何本も縦に走り東京のそれとは格が違う気がします。

演奏者は若手メンバーで、スタッフの皆さんと供に熱き思いで臨んでいます。私も社長にバトンタッチするまで、良い状態で弾いていただけるよう気合いを入れて臨みます。 (N)


NY最終日

予定通りなら今日はレコーディングの最終日。
いつもより早く出発して、ホールの近くのライの町を通ってみた。
ここは教会とお墓の多い町で、15年位前、この町の教会を借り切って、チー・ユンと、フランクのヴァイオリン・ソナタのレコーディングをやった事を思い出す。
その時の模様は、この日記の最初の頃に書いた気がするが、そのCDが今でもこっちのラジオで時々流れると聞いて、懐かしかった。

そこから10分位で今回のホールだ。
9時入りして、調律をやっていたら、ボストンからYさんがやってきた。
久しぶりに会うYさんは、すっかりアメリカに根付いてしまい、日本に帰る気はさらさらないようだ(笑)
早朝から車を飛ばして来てくれたので、何かお手伝いをしてもらおうかと思ったけど、仕事はもう最終局面。
とりあえず持ってきてもらった普通の工具が、何と使いやすい事(笑)

レコーディングはメシアンや、初日のシューベルトの細かい部分を少し取り直して、無事終了。
あとはプレイバックを聞くだけ。
私は明日帰る準備が山のようにあるので、あとはYさんにお任せして、お先に失礼した。

R15をすっ飛ばしながら、今回のレコーディングを振り返ってみると、まず成田で眼鏡を忘れた事に気が付き、ニューヨークに着いたら工具がない、レコーディングのスケジュールの件などいろいろあったけど、終わりよければ全てよしだ。
今日も、レコーディングスタッフが「ピアノを、是非今後とも、貸して欲しい」と、またまたビジネスの話。
ニューヨークは、日本のように、くだらないしがらみや権威主義などほとんどないから、そういう意味で仕事は日本よりずっとやりやすい。
良いものは良い、悪いものは悪いと、実力主義だ。(人種差別はあるけれど)
競争のある世界は刺激的で楽しい。

今ごろ日本ではN響のメンバーのレコーディングが始まっている頃だ。
私は、借りた道具を返して、明日帰る準備で今夜は大忙し。



録音2日目

昨日は早く着きすぎたので、今日は8時20分に出発。
友達のマークに借りっ放しのクライスラーは、おおざっぱな作りでいかにもアメ車だけど良く走る。
クーラーが壊れているので昼間は暑いけど、朝晩は半袖では寒い。東京は暑いんだろうな。

ホールに着いて、ピアノのチェック。
ピアノの蓋を長い棒で支えているのは、更に角度を付けて2階席まで音を飛ばすためのエンジニアのアイディアだ。
湿度が安定しているせいか、日本のホールに比べてピアノの変化も少ない。
床もどっしりしているので、日本の ホールにありがちな太鼓にはならず、ピアノの低音がぼわんと膨らむ事もない。
今までニューヨークでは、数多くのレコーディングをやってきたけど、カーネギーホールは別各として、このホールはかなり気に入った。
クラシックの著名なアーティストが、よくここを利用するというのも納得だ。
次回から録音は私もここを使おう。

さて、アーティスト到着。順調に録音は進み(一流アーティストは仕事が早い)、今日の目玉は「春の海」。
アンちゃんは秋に日本でコンサート・ツアーがあるので、その時の為に、日本の曲も入れるらしい。
ぐっさんから、「この琴のパート部分をピアノで弾くと実につまらないので、プリペイドピアノで、琴みたいな音にして欲しい」とのリクエスト。結果は大ウケで久しぶりに涙流して腹から笑った!どうやったかは、秘密(笑)
CDを聴いてのお楽しみ!

今日は順調過ぎて3時には終了!
最初5日間の予定だったのに、録音スタッフが協議した結果、明日14日で終了!となってしまった。
もともとこの録音は11~14日だったのに、直前まで二転三転、担当ディレクターは夏休みで連絡取れず、アーティストも私も翻弄されて大迷惑。いかにもアメリカの会社だ。
予定より早く終わるのは嬉しいけど、飛行機が変更できるわけでもない。
アンは翌日からヨーロッパツアーに出発の予定だったのに変更することに。

私は日本時間の15、16、17日、笠懸野文化ホールでN響メンバーの室内楽レコーディングを頼まれていたのだが、ニューヨーク録音の当初の最終日14日に、友人の調律師Yさんをボストンから呼んで立会いを任せれば、笠懸の初日15日にも間に合うはずだった。
ところが録音が急遽12~15日に変更になり、15日出発となると結局日本に到着するのは16日の夕方。
成田から笠懸に直行して、なんとか最終日17日には間に合うけど、ほとんどをスタッフに任せてしまう事になってしまった。

ボストンから明日三時間走って来てくれるYさんに事情を話したら、彼もどうせならレコーディングを見たいので、早朝出発して9時にホールに来ると言う。
ディレクターは夏休みで、eメールの返事もよこさないという、実にアメリカ的な仕事に皆振り回された。これもアメリカなり。

救いは、レコーディングスタッフがすごくピアノを気に入ってくれて、私達にも貸して欲しい!と言いだした事かな?
ニューヨークで、レコード会社のエンジニアにニューヨークスタインウェイで評価されるのは、嬉しいね!
このホールには、ご自慢のニューヨークスタインウェイがあるんだけどね(笑)



今日から録音開始

朝8時にスタンフォードを出て、R15を南に約20分、Purchase collegeのホールAに到着。
駐車場で時間を潰しがてら、東京にメール。
9時に搬入口裏からホールに入って、さて、ピアノの調整に入る。

あの酷い状態から、2日で何とかここまで仕上がって良かった。
スタッフもいない、工具もない、あるのは根性だけ(笑)
これがホールのピアノだったら、言い訳もできるけどね・・・なんて、ひとりごとを言いながら、やり残した調整に入る。
楽器は、狙いどおり箱が良く鳴り、リッチで音も延びる。
最終的な整音はコンサートホールでやるのがベストだから、今日はちょっと力(リキ)が入ってます(笑)
心配していた鍵盤の重さも快適で一安心。

アメリカで最近有名になってきた「コッチレコード」のスタッフが続々入ってきて御挨拶。
調律しながら見ていると、マイクを立てる立てる、あっという間に10本近くが乱立。
日本のように、少ないマイクをあっちこっち動かし、良いポイントを探すのではなく、このホールは慣れているようで、決めたポイントに全てマイクを立て、それらを切り換えて良いバランスのマイクだけをミックスしているようだ。
マイクそのものは決して1ミリも動かさない。
実にアメリカ的というか、金がかかっているというか、こんな方法もあるのかと、また勉強になった。

11時前にアーティスト到着。
1年ぶりに会うアンは、相変わらずボーイッシュでCOOL(笑)
懐かしがってるのもつかの間、サウンドチェックだ。
今日の録音曲はシューベルト。
客席で聴いていると、やたらとピアノの音が前に来る。
完全にヴァイオリンが負けている。典型的な遠鳴りする楽器だ!
私は、内心やったね!と思いながら、さてあとは押さえるのは簡単だから、(実はそうでもなかったけど)どんどん落とした。

しかし困った事に、この楽器、いくらおとなしくさせてもホールの隅々までピアニシモが飛んでくる。
エンジニア達が毛布やスポンジを持ってきて、ピアノの下や後ろに敷始めた。
私は更に整音をやり直して、ようやくちょうど良いポイントが見つかった。
コロコロと鳴る次高音が心地よい。直ぐに本番開始。
録音は5時までだったけど、4時には終了。
なかなか良い録音で、明日からも楽しみだ。
しかし、ぐっさんはピアニシモのコントロールがうまいねぇ!
モニター室でディレクターやエンジニアも感心してた。

さて、私はR15をひた走り、5時にはスタンフォードに帰宅。安心して速攻で寝た(笑)



いよいよレコーディング

朝起きて、庭の端っこのほうまで行くと、携帯の電波がときおり二本立つ事を発見!メールの送受信に成功!
目の前では、あいかわらず野生の鹿やリスが走り回っている。
マンハッタンからわずか45分位の所で、鹿やリス(セントラルパークにはリスはいるけど)と共生する生活など、日本では考えられない。

和歌山の古座川では早朝、パーンと山々にこだまする 音で目覚めることがある。
何事かと思ったら、鹿を狙った猟師の猟銃の音だった。
日本では鹿は食べ物らしい(笑)

8時にピアノムーバーが到着。
明日からの録音で使用するピアノを、今日搬入するためだ。
日本の伝統的な運送方法と違って、これがアメリカのスタンダード。
腕力の違いで、肩帯など使わない。
パワーゲートの付いたトラックもほとんどない。
フルコンをスロープで押し上げて行く。
いつもながらの光景だけど、ごぶちゃんは偉いよなあ、チップいらないものね(笑)
さて、明日からいよいよレコーディングだ。



調整中

今回の録音には、昨年春にカーネギーホールで行われたギル・シャハムのコンサートに使おうと思っていた楽器を使う事にした。
Firstが間違って直前に塗装をやってしまって、結局本番には間に合わなかったのだが、カーネギーホールに新しく出来た中ホールでのコンサートだったので、いくら中ホールと言えども、ギルのピアニシモと溶け合って、音がずーっと遠くまで届く楽器を探したものだ。

今回はPurchase collegeのホールAという、キーシンや内田光子など、ヨーロッパのアーティストが演奏会を開く大ホールなので、ちょうど良いと思い、これを大ホール用に調整している。
しかし、全弦交換したまま放置してあったので、ピッチは完璧に半音下がり、タッチ調整は全くの手付かずのまま。
ハンマーも純正だけど巨大でいびつな上、ペイントをこぼしたような跡まであり、全くアメリカ人の仕事は粗っぽい(笑)
あと2日で全ての作業をやらなければならない。
それも、有り合わせの工具で(笑)


CD368

昨日はルイスの工場に行って、CD368のオーバーホールの打ち合わせ。
1912年のこの楽器は製造番号が(157817)で、まさにホロビッツピアノのCD75(155975)と、200番も変わらない。

ちなみにCD75も、相変わらず隣に置いてあるので、久しぶりに再会した。
この楽器もあの時、日本の土を踏んだのだから、何だか不思議な気がする。
しかし、すでにCD75は年を取りすぎていてこのまま現役復帰は難しいので、若かりし頃のCD75を目指して、我がCD368はオーバーホールを開始する。

今日はサウンドボードを選んで、ニスも当時と同じものを探す事にして、アクションをチェックした。
鍵盤にもCONCERTとスタンプが押されていて、象牙鍵盤もオリジナルだ。
これから半年以上かけて、私もちょくちょく顔を出しつつ、重要な部分は自分で手を入れる事にした。

5月にパリから送ったM(ニューヨーク)も、サウンドボードの張り替えが終わり、足や譜面台もオリジナルの新品に戻され、最終段階に入っていた。
来月には東京に送って、貸出用のMとして活躍する予定だ。

たっぷり作業をして家に帰り、夜はDのタッチ調整に励む。もうレコーディングまで日がない。



トラブル続出

いつものつもりで、気楽に構えていたら、今回はいろんなトラブルが重なって、昨日から大騒ぎ!


トラブルその1

以前からスタンフォードのこの地域は、携帯が入らない(住民運動でアンテナを建てさせない)
それでも、家電話とインターネットがあるから何とかなると思って来てみたら、なんとインターネットが数日前からダウンしていて、おまけに最近、家電話もPCのIPフォンに切り替えたらしく、外部との通信手段を一切断たれてしまった(笑)

車で麓の町の手前まで降りて行って、携帯をつなぐ。
日本との時差は、ほぼ昼夜逆転しているので、メールしか確実な情報が入らない。
しかも数日前の嵐でサテライトのアンテナが壊れたらしく、テレビも映らず・・・北京オリンピックは果たして無事なのだろうか?
ああ、ニューヨークで「陸の孤島」。(笑)


トラブルその2

これが一番焦った。
最近特に飛行機の手荷物検査がうるさいので、極力、工具は持ち運ばないようにしている。
今回もほとんど手ぶらでやってきて、到着してから確認したら、どうやら前回、工具を入れ替える為に、ほとんど日本に持ち帰ってしまったようだ(泣)
来る前に、こちらのスタッフに確認したら「工具は箱に入っている」と言っていたので深く考えもしなかったのだが・・・。
昨日開けてみたら、その箱は弦やチューニングピンやセンターピン等の部品の箱だった。
単純なミスとは言え、チューニングハンマーすらない(笑)
これではピアノを前にして、調律すらできない(笑)
調律師として、風上にも置けない恥さらしだ、
しょうがない。反省して、風下にいる事にしよう(笑)

とりあえず友達のルイスの所まで車で走り、工具を借りて、足りないものはホームセンターで揃えて、今日からピアノの仕上げに入る。
慣れない工具を使い、ない工具は自分で作り、ピアノをコンサートコンディションに仕上げる。
インターネットもテレビも電話もない静かな空間が、かえって幸いした。
夜は、爽やかな高原のようなデッキでみんなでBBQ。
20時でもまだニューヨークは明るい。



修善寺

今日は二人で温泉の名所「修善寺」に行って来ました。
もちろん、温泉に入るためではなく、修善寺ジャズフェスティバルにピアノを持って行ったのです。
アキコ・グレースのピアノと赤木リエさんのフルート、伊藤芳輝さんのギターのトリオです。

修善寺境内に設置された屋外ステージで、完全野外、屋根なしです。
持ってきたピアノは最近屋外での活躍が多いSWのフルコン。
日が陰るのを待ちステージにあげましたが、確認だけして調律はしません。
夜に向かって刻々と変わる温度、湿度。
できるだけ本番に近い状態で触らないと悲惨な事になりるので、リハ後に調律です。

夕暮れ時の広い空の下、ヒグラシの声をBGMに聞きながら、修善寺の本堂がライトアップされ、何とも解放感溢れる中での調律となりました。
こんな場所でのアウトドア調律は中々気持良いです。
短時間での調律を余儀なくされましたが、それでも大丈夫だったのは、前回の使用時には社長が調律していたので、あまり狂っていなかったからです。

本番は蝉が合いの手を入れ、アンコールでヴァイオリンとバーカッションが飛び入り(友情出演)し、各々の音色を境内に美しく響かせていました。
地元の皆様で作り上げた素敵なコンサートでした。
(N)



NYレコーディングへ

午前中にJFKに到着して、マンハッタンまで移動。
気温は25度と、思ったほど暑くない。
お茶を飲んだりして少し時間を潰して、グランドセントラルステーションからスタンフォードまで移動。
ここは、マンハッタンから北に40分ほど上がった高級住宅街で、TAKAGI KLAVIER U.S.Aの頼りになるスタッフの家がある。
我々がニューヨークでコンサートやレコーディングの時に持ち込むピアノは、ここで管理されている。
2004年、リンカーンセンターで行われたギルシャハムのコンサートで使用した楽器は売ってしまったので、今回のレコーディングではまた新たに手に入れた楽器を使用する。
レコーディング場所は、このスタンフォードから車で20分ほどの所なので、毎日車で通えて便利だ。
それにしても、マンハッタンからわずか40分位、東京でいえば大宮位の場所なのに、大自然の真っ只中。
敷地2エーカー、もちろんプール付きで、野生の鹿が庭を走り回り、リスや小鳥が目の前をうろちょろ。
ここに来ると、あの東京の生活は何だったんだろう…って、いつも思う。


レコーディング初日

渋谷から行徳へは車で約一時間。
泊まり込みの録音も楽しいけど、毎日帰れると他の仕事を片付けられるから、とても効率がよい。
クラシックのCDはそんなに売れるものではないから、経費節約の面でも、近い事はありがたい。
と言っても、明後日からは、もっと遠いところにレコーディングに行くけどね(笑)

今日は11時からベートーヴェンと、その他小曲を録音。
このホールは奥行きが狭く、音が飛んで行かないので、反響板の一番奥にピアノを置いて、ヴァイオリンの立ち位置も大分奥に決めた。
ステージの床がかなり太鼓なので、ピアノの低音がけっこう膨らむ。

ここは新しいホールとしては珍しくステージが高い。
思い切って、50センチ位下げたら、天井もその分高くなり、低めのステージで見た目も良くなる。
強度も増して太鼓現象も消え、音も良くなるはずだ。
袖からステージに出ていく所に三段ぐらい段差ができるけど、山梨県の石和のホールがこのパターンだ。
もちろん、贅沢を言えばの話で、これはお金かかるけどね(笑)。

今日の録音は順調 に進み、7時には終了して、8時過ぎに渋谷に帰ってきた。


カメリアホールと行徳文化ホール

スタッフが、代わる代わる日記に参加してくれるようになって、賑やかになったね。

私は今日は朝9時20分入り10時半アップで、亀戸のカメリアホール。
ややこしい名前のホール。
400席位の綺麗なホールで、響きはデッドだけど、スタジオ感覚で工夫すれば、録音にもなんとか使えるかも知れない。
ピアノはなかなか良いヤマハが入っていて、目隠しをして「良いスタインウェイでしょ?」と言えば、わかる人は少ないだろう。(笑)

リハーサルを聞いて、一旦会社に戻り、ピアノを積み込んで、夕方5時搬入で、行徳文化ホールI&Iに向かう。
今夜は搬入、セッティングまでやって、明日から2日間ヴァイオリン&ピアノのレコーディング。
このホールは先日、ヴァイオリンのコンサートで来たことはあるけど、録音で使うのは初めてだ。

都内近郊には数々のコンサートホールが乱立しているけど、なかなか帯に短し襷に長しで、なかなか魅力的なホールは少ない。
昨今の箱物行政無駄遣いの代表格の一つは音楽ホールなので、どの館も主催事業は大幅カットされて、あまり利益にならない貸し館メインになっているが、我々は、せっかくの音楽ホールの有効利用として、レコーディングは非常に意義があると思う。

世界中のコンサートホールを知り尽くした録音エンジニアや、ディレクターと共に、外部からピアノを持ち込んで、マイクを立てて見ると、そのホールの特徴が良くわかる。
音楽ホールは音が命。簡単な改良で、格段に音が良くなったりする。
通常、そんな事を頼めば、かなりの金額を払わなきゃいけないけど、それをお金を貰って、アドバイスしてくれるのだから、公共ホールには救世主みたいなものだ(笑)

まあ、中には、お役所仕事で、のんびりやってたのに、これ以上忙しくなっては困るから余計なお世話と言いたそうな職員がいるホールもある(笑)
これが私が税金を払っている街のホールなら、怒鳴り込むけどね(笑)
せっかく公共の為に作った音楽ホールも音が悪けりゃただの箱。
欠点を知り、より使いやすい公共ホールを目指して欲しいですね。

さて、行徳は都内から通えるので、このホールが録音に使えれば、便利なんだけど…。新しいホールは楽しみだ。



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