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明日から新年度

早いですね~もう4月ですよ。
「今日はどこにピアノを持って行きました~」というこの日記も、
3000回を越すと、そろそろ飽きてきたので、少し書き方を変えようと言ってたのに、
気がつけば、結構同じような内容になっている事に反省。
いや、今日はどこに行ったって書くのは、頭を使わなくて楽なんですよ(笑)

それでも、明日から新年度だから気分を新たに、少し変えましょう。
今日、数日間、船堀タワーホールに貸し出されていた、CD199が帰ってきました。
(あまり話が変わらないか)
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私共のコンサートグランドピアノの最終調整は、必ずコンサートホールでやります。
会社に置いてある時はあくまで仮の姿なので、音量や音色を狭い場所で決めてしまうと、
ホールに持って行くと必ず物足りないと言う事になります。
ピアノは持ち運べないという常識を破ってみると、とても面白いデータが取れます。
室内ではあんなに良く鳴ってた楽器が、ホールに持って行くと、何と大人しい楽器に…となってしまいます。
これを経験すると、整音やタッチ調整に対する概念が根本的に変わります。
幸いな事にタカギクラヴィアでは、ほぼ毎日のようにどこかのコンサートホールに
貸し出されているので、最高の実験場でピアノは磨かれます。
著名なピアニストが、自宅の自慢のフルコンをコンサートホールに持ち込んだらあまりにも聞こえなくて、びっくりしたという話を聞いた事があります。
狭い空間では、出した音が直接自分に返ってくるけど、コンサートホールではほとんどの音が飛んで行ってしまうので、音は痩せて、鍵盤まで急に重くなったように感じます。
それはそれは極端に変わります。
まれにそれを感じさせないホールがありますが、それは例外なく良いホールです。
さて明日から4月、新年度から我が社も新しいスタッフが加わり、デスクも増えて模様替えです。

ヤマハの名器 CP80

先日、キーボード・マガジンから、「ヤマハのCPを特集したいのですが、お持ちですか?」と連絡があった。
「CP80とCP60もありますよ!」って言ったら、大喜び(笑)
70年代に一世を風靡したCPシリーズも、今、探すとなると、なかなか発見できないらしい。
ましてアップライト型のCP60に至っては、出回った数が元々少なく、
すぐに廃番になって、その後はクラビノーバに変わってしまったので、非常に貴重らしい。
私も最後のアナログ電気ピアノとして、コレクションしていました。

CP80は、70年代には良く調律を頼まれた懐かしい楽器です。
本物のピアノから響板のみを取り外して、駒の部分に圧電マイクをダイレクトに取り付けたアコースティックと電気のハイブリッドな部分が、コストダウンできずにやがて消えて行った楽器だけど、鍵盤、アクション部分はあくまで木製ピアノだから、タッチは生ピそのもの。
私の持っているCP60Mを改造したのを、稲本響が「ムービングピアノ」としてコンサートで使用しているので、ご覧になった人もいるでしょう。

キーボードマガジン社の記者さんは、捜していたCP80と、諦めていた60まで同じ所にあったので大喜び(笑)で、早速サロンで撮影会。
雑誌に載った我がCP達は妙に小綺麗に写っていた(笑)
【リットーミュージック キーボード・マガジン 2009 WINTER に掲載】

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その後、今度は渋谷のヤマハから電話。
「キーボード・マガジンを拝見しました。今度CP80の研修会を開くのですが、お恥ずかしながら、ヤマハにも、もうCPの在庫が無くて。研究用にお借りできるでしょうか」

何とCPはヤマハに貸し出されて行った(笑)
ちょっとお里帰りです。

江口 玲 ソロ・コンサート in 行徳文化ホール

成田空港貨物機転覆事故をテレビのニュースで見ていた時は、
この後とんだとばっちりを受けるとは、思いもよらなかった。

23日の事故の日、江口君から緊急メールが届いた。
「成田空港の滑走路が事故で閉鎖され、予約していた飛行機が日本から飛ばず、
折り返し便に乗れないので、振替機を捜しています!との事。

その後も事態は悪くなる一方。遂に全日空は全便キャンセル。
他社便も予約が取れない模様。
逐一主催者に連絡を入れるも、祈るしかない(笑)
何とか本番直前でも滑り込んでくれれば、コンサートはできる。
幸い会場は千葉県の行徳だから、都内よりは成田に近い。
やきもきしているうちに、江口君から朗報。
ニュージャージーからの他社便が三席残っていたので、それが取れたとの事。
飛行機を探すのに徹夜だったらしい。やれやれお疲れ様(笑)

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ともかくコンサートは無事始まった。
久しぶりのソロ・コンサート。
今年のプログラムは、前半はロマン派の作曲家から、
リスト:ペトラルカのソネット104番、コンソレーション第3番、献呈
ショパン:英雄ポロネーズ、スケルツォ第2番、ノクターンop.15-2、バラード第1番。
使用楽器はF1。いつものように乾いた倍音で色彩豊かに情景を描いて行く。
コンソレーションなど、聴いていると何だか泣けて来る(笑)
F1は市川市初登場だから、皆さんびっくりのようだ。

後半はガーシュウィン。
今回はニューヨーク・スタインウェイのアップライト1098も持ち込んだ。
あらかじめホンキートンクに調律して、エンターテイナーなどのラグタイムを演奏。
雰囲気ばっちりで、大受け。そして締めはラプソディインブルー!
アンコールは何とオスカーピーターソン!
会場はブラボー!ピューピュー(笑)
本物のニューヨーク・スタインウェイで、巨匠の作品とガーシュインをやる。
こんな贅沢なコンサート、今日聴きにきたお客さんはお得でした(笑)

時差ボケにもめげず頑張った江口君と、6台ピアノ&3台ピアノで痛めつけられて
ちょっとお疲れのF1も本当にお疲れ様でした!

飛行機のトラブルで私の最悪の体験といえば、2006年1月6日の日記に書いた、
3度のハッピーニューイヤーかな?
ひどい21世紀を迎えた話、読みたい人は、続きをどうぞ!


【“江口 玲 ソロ・コンサート in 行徳文化ホール”の続きを読む】

内幸町ホール

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とってもマニアックな内幸町ホールに出没。
いやぁ~、落語とか番組の収録などで知る人ぞ知る「内幸町ホール」へ、2台ピアノのコンサートにやってきました。
興味深々で、搬入。
エレベーターサイズが小さくてフルコンは入らないので、B型を持ってきました。
約180席位のこじんまりしたホール。
今日は、日頃フコク生命が主催して全国を回っているチャリティーコンサートに、
本社の皆さんを招待して、御披露目しようという催し。
このチャリティーコンサートは我社も全面協力しているので、今日は何を置いても出席(笑)
内幸町ホールにはハンブルク C型が入っている。
偶然にも先日、我社にもC型が入ってきたので、噂をすれば…というやつだね(笑)

それにしてもこのホールのC型は、カンカン良く鳴る(笑)ので、
こいつをファーストにしてB型の屋根を外してセカンドに据えた。
中井、武田ご夫婦とは今年初めてだけど、相変わらず息もぴったりで、安心して聞いてられるDUOだ。
今年の新しいバージョンのプログラムも楽しめる。

出演者がサイン会中に搬出。
渋谷にも近いし、これで良く響けば使いやすいホールなんだけど、スタジオ並みに超デッドで、地下鉄の音も入るから残念!
PAを入れるジャズなんかには使えそうな貴重な小ホールでした。
あさっては、チャリティー訪問コンサートで世田谷の国立成育医療センターに行きます。
私は別現場に直行ですが。

都心で暖炉

池袋のNさん邸で、恒例のサロンコンサートに行ってきました。
かれこれ25年位のお付き合いになるNさんの自宅には暖炉があり、
それに火を入れて、部屋でくつろぎながら生のジャズを聴きます。
まるで昭和初期にタイムスリップしたような、時間が止まった空間が好きで、
毎年冬になると、この部屋の暖炉に暖まりに行っていました。

ある時、
「この家も相続の関係で解体の危機にあい敷地は半分になってしまったけど、
この暖炉の部屋は残しました」
との便りをもらいました。
懐かしくて、久しぶりにお邪魔し、またこの暖炉に薪をくべながらワインを呑んだくれて、昔話。
何も変わってないな・・・と見渡すと、グランドピアノがなくなっていた!
これは大変!と、同サイズのグランドピアノを寄贈。これで何もかも昔と一緒だ。
暖炉に薪をくべて、毎年同じように歳をとっていく友人と
ワインをのみながら好きな音楽を聴く都心の貴重な空間です。

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ハンブルグ・スタインウェイのセミコン

貸し出し業務が増えて増えて、それに併せてピアノも増えて、
経理から提出された貸し出し用のピアノ・リストを見てびっくり!
増えに増えたり17台にもなっていた・・・道理で忙しい筈だ(笑)
フルコン、B型、M型とL型(O型)等々、各サイズ揃ってはいるけど、ちょっと困るのがセミコン。

スタインウェイは、ニューヨークから始まったので、当初はA・B・C・Dのサイズから始まり、
20世紀に入ってから、より小型のS、Mのサイズを作った。
D型が274cmになってからは、211cmのB型から15cm位しか変わらないC型を廃番にしたので、
ニューヨークではB型がセミコンになる。(セミコンなんて呼ぶのは日本だけだけど)
同じように中途半端なサイズのA型も廃番になって、S・M・L(O)・B・Dのサイズになったけど、ハンブルクはいまだに各サイズが健在だ。
これは、ニューヨーク製はカナダと北米がマーケットで、簡単に言えば家のサイズが大きいからあまり細かいサイズは必要ない、というのが理由のひとつ。
ハンブルクはヨーロッパをメインにアジアを含め世界中がマーケットだから各サイズ需要があるんだね(笑)
しかし、スタインウェイファミリーが会社を手放してから、新しいオーナー達は幾度となく
ハンブルグとニューヨークの共通化を試みていたが(生産効率UPのため)
ついに数年前から、A型が復帰し、L型はO型になってしまった。


さて、セミコンの持ち込み依頼にB型を持って行くと、「あれ?C型じゃないんですか?」と言われる事がある。
「ニューヨークではD型の次はB型ですよ!」って説明するんだけど、ひょんな事からC型を見つけたので、
ラインナップに加える事にした。
フランスから来たハンブルクセミコンC型です。

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早速オーバーホールに入って、全弦交換中。来月から貸し出しリストに加わります。
これでラインナップは全サイズ揃ったけど、またまたピアノの数が増えて置き場所に困ってます(笑)
どこかで16連弾とかやらないかなあ…

3台ピアノ 本番

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みの~れに朝9時入りで、残りの1台を調律。
当然昨夜の2台は、温度差で、ピッチは変わっているので、少しやり直していると、
ホールスタッフの人が見学者を連れてきた。
地元の調律師のIさんと言う人で、スタインウェイ戦争を読んだらしい。

あの本を出してから、調律師達が訪ねてきてくれるようになった。
全国で、いろいろな調律師さんと会って話したけど、みんな悩みは同じ。
あの本は、この後の業界を引っ張って行くべき後輩調律師達の為に書いたのだから、
こういう方法もあると、何かの参考にしてもらえば、嬉しい。
腕一本で勝ち抜いて行ける技術屋の道を選んだのに、
大きい会社とか、肩書きとか、コネとかに頼るサラリーマン調律師になって、一生終わるなら、
調律師などと言う職業程つまらない仕事はないと思うし、
ピアニストに媚びて指名されて何が嬉しい?
しっかり勉強して、みんなに好かれよう等と思わず、自分を極めて欲しい。

今日来てくれたI君、せっかくだから大屋根の脱着を手伝ってもらったけれど、
来てみて良かったでしょ?
調律師って個人でやれば、こんなに楽しい仕事だよって、わかってくれたかな?
頑張れ後輩!

今度は3台ピアノ

6台ピアノシリーズが終了して、しばらくマルチピアノコンサートはないと思っていたら、
今日は3台ピアノだ(笑)
茨木県小美玉市の四季文化館「みの~れ」に、夕方2台を搬入。
昨年、バルトークのミクロコスモスをレコーディングしたホールなので懐かしい。

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ホールのスタインウェイをお借りして、ハンブルク2台、ニューヨーク1台の組み合わせにしてみた。
本番は明日なので、今日は8時までに2台を調律して、もう1台は明日にする事にした。
明日は朝9時から調律できるので、2時からのリハーサルには余裕だ。
なにしろ6台ピアノの時は、もっと時間がない時もあったから(笑)
トラックをホールに留め置きして、ホールの職員の人にホテルまで送ってもらった。
今夜はみんなと懇親会でブリしゃぶ。

松本和将レコーディング 3日目

順調に録音は進んで、今回の最終日。
それにしても、松本君はこの膨大な曲数を、わずか1ヶ月弱の準備で
レコーディングに挑んだらしい。
ピアニストとしてプロで活躍するには、譜読みが早いと言うことは絶対条件だけど、
それにしてもたいしたものだ(笑)

今日は18時には終わってしまった。
後半は来月で、更に難曲が増えるけど、彼なら大丈夫!
最近の日本は男の子が情けなくて女性の時代になってしまったけど、
ピアニストに限っては男の子のほうがダントツ!頑張れ日本男児(笑)

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松本和将 後期ロマン派集 レコーディング2日目

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見よ、この霜柱!秩父は寒い。

今日も楽しくレコーディングは続いております。
だんだん曲も難しくなってきて、松本君の本領発揮。
今日は全音楽譜のWさんがおいでになって、男ばっかり4人で殺風景な所に紅一点。
妙に華やいだ(笑)
最近どこのレコーディング現場に行っても顔を合わせるので、すっかり顔馴染みだ。
聞けば、松本君とは桐朋で同級生だそうな。
先月の菊地君は芸大で、年齢は二歳先輩らしい。
やっぱりこういった才能のある人達は、仲間内でも既に有名人のようだ。
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我々も、弾けない奴と仕事をすると本当に疲れるけど、
こういった上手いピアニストと仕事をすると、全然楽(笑)
今日はバラキレフやブゾーニ、グラズノフなどのマニアックな曲が多いけど、
淡々と録音は進んで行く。

20時半頃には終了して、Wさんを西武秩父駅まで送っていった。
今回はトラックで秩父に来たので、ホールとホテルの毎日の往復の足はジャガーを使っている。
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すっかり私に飽きられた可哀想なジャガー君は、
新車からわずか25000キロ走った頃からほとんどど乗らなくなり、
とうとう渋谷のガレージを追い出され、哀れな事に秩父倉庫に追いやられていた(笑)
代わりに渋谷の自宅ガレージにはホンダS800クーペ
(10年前にフランスから里帰り)が舞い戻って来た。
てなわけで、久しぶりのジャガー君、秩父の足になってしまったけど、
これがなかなかの人気者!
W女史を駅に送って行く間に助手席で大騒ぎ(笑)

私には松本君の乗って来たオースチン・ミニが何とも気になって…(笑)
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年度末ピーク

我が社の年度末調律も、ここ一週間がピークらしく、私にも次々担当外の仕事が回って来る。
おい、少しは休ませろよ(笑)
今朝は9時入り10時半アップで、エイベックスのスタジオ。
次は赤坂アークヒルズのテレビ朝日に11時入りだ。
着いたら、ちょうどスタッフがピアノ搬入中だった。
12時半アップで徹子の部屋の収録。
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本番は見ずに、府中に移動。ピアニストと打ち合わせ。
渋谷に戻って来て、ニューヨークのタカギクラヴィアUSAに$25000送金。
政治家が馬鹿な事をするので円が10円も安くなって、25万も損してしまった(笑)
先月送金すれば良かった(泣)

今ニューヨークでオーバーホール中の楽器「CD368」がそろそろでき上がる。
更に送金しなきゃならないから、これ以上円が下がらないでおくれ(笑)

ジャズ六連弾 最終回

3年間続いた6台ピアノもいよいよ今日で最終回。

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朝8時から調律に入ってまたまた調律開始。
今回はホールのピアノを2台お借りしているので、持ち込みは4台だ。
このホールの2台ともなかなか良い楽器なので、6人のピアニスト達も喜んでくれるだろう。
ところがスタインウェイのほうは、最近オーバーホールで全弦交換したばかりらしく、
残念ながら、調律は狂いやすい。
特に今日は最終回だから、みんなパワー全開、ぶっ叩き必至、拳&肘うち解禁だ(笑)

さてリハーサル。
思えば3年前、川崎のミューズで初回をやって、2年前にこの横須賀芸術劇場から全国ツアーが始まったこのコンサートも、最後にこのホールに戻ってきた訳だ。
過酷な6台ピアノ。いろいろ大変だったけど、終わってしまうと思えば何か寂しいね(笑)
そしてやっぱり、一番過激になった本番も無事終わり、搬出!


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横須賀で8台ピアノ?!

大雨の中、今日は横須賀の防衛大学校記念講堂で2台ピアノのコンサートと
横須賀芸術劇場で明日本番の JAZZ 6 PIANOS の為の搬入が重なって、ピアノ大移動!
よりによって防衛大学の搬入時は一番雨足が強くて心配したけど、無事セッティング完了。

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パトリック・ジグマノフスキー、中井恒仁氏の両名がやって来てリハーサル。
少しだけ聴いて、18時に横須賀芸術劇場に移動!


既にステージに4台並んでいて、残り2台を待つ間に、早速調律開始。
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明日は16時開演で、通常より早いから今日中に出来るだけ台数をこなしておかないと
明日は時間がない。
何の因果か、同じ横須賀で2台ピアノと6台ピアノが重なって、今日は8台ピアノだ(笑)
例によって調律時は歯を食いしばるので、奥歯が痛い。
あと1台を残して時間切れ。
私だけ近くのホテルに泊まって、スタッフは全員帰宅。
明日は8時から調律に入る。

ローズウッドで静岡へ

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昨夜から首都圏は雪模様で、東名上りは通行止めとのことなので、
余裕を見て9時に出発した。
下りは意外とスイスイで、数10キロも繋がった上りの渋滞を尻目に、
13時搬入のところ、11時半位に静岡に着いてしまった。

今日は静岡音楽館AOIで雁部さんのリサイタルだ。
しかし、このホールにもローズウッドはよく似合う。
ホールの音も良いし、キャパもちょうど良いから、
都内にこんなホールがあれば良いね。
それにしても、雁部さんはこの楽器を操るのが上手い。
お客さんも大満足で終了。

東名の上りは大渋滞もすっかり解消して、23時には渋谷に戻ってきた。



何だかショールーム(笑)

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またまた新しいピアニストが、レコーディングに使うピアノを選定に来るので、
昨日の夜、サロンに3台並べてみました。
それぞれ、60年代・80年代・90年代製造の楽器。
ピアノ選定で最も重要なのは、キャラクターのそれぞれ違う楽器を用意すること。
ピアニストがコンサートホールでピアノ選定を頼んだら
3台も4台もスタインウェイが出てきたのは良いけど、
製造番号が連番で、ほとんど同じ日に工場から出てきた同じようなピアノばかりで
閉口したという話を時々聞く。
結婚相談所で、この娘は好きじゃないと言ったのに、
次々と同じタイプの娘が出てきたようなものだ(笑)

バブル期の日本、売る方としては笑いが止まらなかっただろうね(笑)
勧めるがままに税金で3台も4台も買ってくれて。

話がそれたけど、実はピアノ選定をすると、そのピアニストが
音楽に何を求めているか一発で分かるから面白い。
今日の若いピアニストは、それぞれのピアノをじっくり弾いて、
決めたのが、80年代の楽器だった。
この楽器を選ぶのは、かなり楽器をわかっているピアニストだ。
業界では、最近有望なピアニストが何人か出てきた、という話を良く聞く。
彼もその中の1人で、先日の菊地君と共に、この2人は楽しみな存在だ。

第1回 ショパンピアノ全作品連続演奏会

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朝9時入りで我孫子けやき坂ふれあいホールで一仕事やって、すっ飛んで渋谷に戻ってきた。
今日は14時から、ショパン全ピアノ作品連続演奏会の記念すべき第1回目だ。
昨夜のうちに準備は済んでいたので、渋谷に戻ってきたら、もうリハーサルも終盤。
早速打ち合わせをやって、いよいよ本番。

ショパンの全曲演奏会は他でもやっているから、我々は他では真似できない企画を考えた。
ピアノは1887年生まれのローズウッドを使用。
ショパンは1849年没だから、1880年頃に設計されたこのピアノが
一番ショパンの時代を語ってくれるに違いない。
19世紀の作曲家の作品を19世紀の楽器で聴く贅沢。
ヴァイオリンはモーツァルト時代より古い楽器で聴く事は良くあるけれど、
ピアノの場合はほとんどホールに置いてある真新しい楽器で演奏するしかない。
こういった楽器のセレクトは我社の得意分野(笑)で、結果は予想通りだった。

お客さんの感想は・・・

ソナタの1番が、こんな素晴らしい曲とは、思わなかった!
ショパンがこんな良い曲をポーランド時代に作っていたなんて!等々。

あまったるい近代ピアノで聴いたら、つまらなくて話題にならなかった曲も、
19世紀のピアノで聴いたら、まるで表現力が違って別の曲のようで、
楽譜の裏に書いてある事がはっきり見えてきたと言うわけだ。
ショパン研究家の小坂裕子さんが、一曲ごとにとてもわかりやすい
解説を付けてくれる贅沢な演奏会。
これから1年かけて、ショパンの全作品をサロンで聴けるのが楽しみだ。

実は個人的にはロンドをまた聴けたのが嬉しかった。
この曲は、故ジェルメーヌ・ムニエ女史と最初のレコーディングの時に収録した。
私は全てドビュッシーで統一したかった(彼女はドビュッシーの孫弟子)のだけれど、
ムニエさんは「どうしてもこのロンドを入れたい。大好きな曲で、
ほとんどの人が知らないのであまり弾かれないけど、とっても良い曲よ」と言ったので、
収録した思い出の曲だ。
この事がきっかけで、ムニエさんとの2枚目のアルバムは「ショパンへのオマージュ」という
オール・ショパンのプログラムとなったのだ。

コンサートは大成功のうちに終了。出演者とうなぎで打ち上げ(笑)