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浜離宮朝日ホール

20日の横須賀芸術劇場はコンチェルトだったので、F1を使用したけれど、今日の浜離宮はCD199を持ってきました。
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今日は珍しく江口君の歌伴です。イギリスとアメリカの歌曲を佐竹由美さんが歌います。
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昨日は工場で1日かけて、歌伴奏用の調整をしました。
仕上げの整音は当然、ホールのステージ上で、調律の時間にやります。
そしてリハーサルを聴いたあと、音楽的なバランスや表現、音量などの最終仕上げを、本番前にやります。
この楽器も、本番を重ねるごとに熟成してきました。
役者も楽器も調律師も板(ステージ)の上で育つんですね~(笑)

休憩時間、「ピアノの音が素晴らしい!」と言って江口君のCDを買って行ったお客さんがいたらしい。
そういえば休憩の時や終演後も、ピアノを一生懸命覗いている人達が何人か居たなぁ。
今日はソロじゃないし、完全に脇役!と思っていたのにびっくり!
まあ、注目されるのは良いことだ(笑)



CITES

やっとニューヨークから、ワシントン条約特例の書類が届きました。
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これで堂々と象牙鍵盤のままCD368の輸入ができます。
象牙なんか剥がして、また貼り替えればよいと思うけど、何せ、オリジナルに忠実に…がモットーですから(笑)

成田に到着予定は来月、届いたら早速アクションのオーバーホールにとりかかります。
既にコンサートも決まっているので、楽しみですね!

ショパン連続演奏会と、響のレコーディング

朝9時、品川のスタジオに、稲本響のレコーディング用のピアノを搬入調律して一旦渋谷に戻り、14~16時にサロンで行われるショパンプロジェクトの準備。
このプロジェクトも、早7回目。
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連休の最中というのに今日も沢山の人に集まって頂いた。
作品も、ショパン29歳~31歳の頃まで進んできた。
今回のピアニスト、遠藤真澄は2回目の出演。長くジェルメヌ・ムニエ女史のアシスタントをやっていたので、ショパンの楽曲解釈もムニエ直伝である。

さてさて無事ショパンプロジェクトを終えて、急いで品川のスタジオに向かう。
17時からは稲本響の録音。
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これは10月15~19日まで墨田区のアサヒ・アートスクエアで行われる「ヒプナゴギア」という芝居のサウンドトラック盤。
21時終わりの予定だったけど、どうやら日付が変わりそうだ・・・。

ハンブルクD オーバーホールその2

昨日は、フレームを外した後、塗装及びカポダスト研磨やピン板修正等で終わった。
今日は弦圧調整をやりながら、フレームをボディに納め、その後渋谷に運んだ。
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フレーム脱着や塗装のように、臭いや場所をとる作業は横浜工場でやって、仕上げは渋谷でやる事が多い。
何しろ次から次へと修理のピアノが入って来るので、工場は足の踏み場もない(笑)
渋谷で出来る作業はなるべく渋谷でというわけで、ピアノは第三京浜を行ったり来たり(笑)

ハンブルクD オーバーホール

和歌山~福井と旅をしてきたフルコンは、目黒パーシモンホールでの公演を終えたあと、全弦交換の修理に入った。
この楽器はニューヨークで見つけたハンブルクDで(笑)、以来、数百のコンサートやレコーディングに貸し出されてきた。
弦交換はなんと、これで3回目!

スタッフの手で解体されたDは、今日、横浜工場に運ばれてフレームが外された。
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我々のピアノには1台1台記録簿があり、過去のあらゆる整備記録やデータを残しているので各楽器の成長の記録が一目瞭然だ。
参考までに、ハンブルグDのフレーム単体重量は約160キログラム。
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さて先日同じように計ったニューヨークDのフレームは何キログラムだったでしょう?(笑)
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我社の横浜工場、塗装ブースでフレーム脱着を行ったので、周りの風景が汚いけどご容赦を(笑)

横須賀芸術劇場

朝7時に渋谷を出発したら、意外と空いていて8時前に着いてしまいました。
9時まで時間を潰してホールに入り、調律を開始。
この横須賀芸劇は、関東で一番豪華に見えるホールだと思います。
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まだ無名の頃の高嶋ちさ子が、ブルボンのCMでヴァイオリンを弾いてたのもこのホールです。
カーネギーホールを意識した造りですが、大きく違うのは、純粋な音楽ホールではなく劇場なので、カーネギーホールほど響かないこと。
その分、前後に可動式の豪華な反響板や広いバックステージ、下手な小ホールより広い迫りや奈落等を見ると、ここは音楽ホールと言うよりは劇場なんだなあ…と思います。

今日の本番は15時~17時なので、ゲネプロは11時からですが、第7艦隊の皆さんは10時ころからやってきて賑やかに準備を始めたので、こっちも調律どころではありません(笑)
マチネでコンチェルトの場合ほとんどこうなるので、本番の時は調律の時間はあればラッキーぐらいに思っておかないと、迷惑がられるからね(笑)

本番は客席で聞かせてもらったけど、今年で15回目のこのイベント、人気らしくて大入り満員!
F1は今朝、次高音部の打弦点を見直したり、発音状態を調整した効果で、昨日より確実に鳴るようになった。
前半は第7艦隊、後半は秋山さん指揮東京交響楽団+第7艦隊。最後にピアノコンチェルト。
昨日のリハーサルより更にパワーアップしたF1。ただでさえ、オケとピアノがかぶる場面の多いラプソディインブルーに更に第7艦隊の金管が加わり、圧巻でした(笑)

弁当を食べていたら、今日発売になったレコ芸で、江口君の浜離宮ライブCDが小曲集、ソナタ集の2枚とも特選盤に選ばれた!というニュースまで入ってきて、びっくり!
江口君の業界での評価の高さは、批評を読めば全てを物語っています。
玄人受けする真の実力者のみだけを対象にした我々のNYSレーベルは、1作目のジェルメーヌ・ムニエ以来、全ての作品が特選か準特選に選ばれました。
メジャーのレコード会社で、長くクラシックの録音をやっていると、こういったマニアックなレコーディングやりたくなってくるんですよ(笑)


横須賀芸術劇場

朝7時半に渋谷を出発して、横浜工場でデュトロに乗り換え、横須賀芸劇に9時半搬入だ。
今日はリハーサルのみ、明日が本番なので調律は予定に入ってないのだけど、鹿児島から長旅をしてきたF1のご機嫌は如何かな?
何しろ全弦を交換したのが半月位前で、まだ調律の落ち着きは悪いので、今日も一応ざっと調律をやっておいた。
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今回のコンサートは「第15回AMERICAN SOUND OF YOKOSUKA」で、前半が米軍第7艦隊のビッグバンド、後半は東京交響楽団と第7艦隊のジョイントだ。
前半ではビッグバンドバージョンの「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏するが、後半の最後にも、東京交響楽団と第7艦隊のジョイント+ピアノ江口玲でラプソディ・イン・ブルー。
ただでさえも厚いオケに第7艦隊の金管が加わって、100人近い人数で凄まじい音量だ(笑)
第7艦隊の金管が鳴りだすと、弦はほとんど聴こえない。
流石のF1もソロのところ以外は時折聴こえる位になってしまう、こりゃしょうがないか…お手上げ(笑)
しかし本物の第7艦隊で「星条旗よ永遠なれ」が聴けたのは幸せだったね。
明日も頑張ろ!

鹿児島から大阪へ

すがすがしい鹿児島の朝を迎えて、6時半にホテルを出発。
鹿児島市内から、桜島フェリーに乗って桜島に渡り、志布志~鹿屋へ走る途中の桜島は絶景でした。
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15日の本公に続いて、16日は訪問コンサート。
鹿屋養護学校の体育館に何と280人!の大観衆を集めて大盛況でした。
今回から参加しているパイオニアの人達もびっくり。
彼らも今まで各地でチャリティーコンサートを続けてきたらしいので、こうやって協力して輪が広がって行くのは素晴らしい。
音を振動に変えて体からも音楽を楽しもうというパイオニアの新製品研究開発にも役にたつし、我々はピアノの運搬車の研究開発にも役立ち、学校のピアノも無料で修理できる。
社会貢献はもとより、企業にとっても一石二鳥三鳥の効果があると思える大人の会社は、もっとチャリティーをやるべきだ。
今日はいきなり「タカギクラヴィアとして、このチャリティーに協力している事に一言」とビデオ撮影もあったのに、今から思えば、こういう事を喋れば良かったね…編集して下さい!
ネクタイ締めてて良かったね(笑)
中井&武田さん達も喜んでくれて、みんな楽しくチャリティーコンサートができました!

鹿屋まできているので宮崎のフェリーターミナルには戻らず、志布志発のフェリーにルート変更したのは大正解!余裕で18時出航の大阪港行き さんふらわあ号に乗れました。
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1時間以上も時間を潰したので、途中また余計な鹿児島土産を買い込んでしまいました。
さつまいも、黒豚味噌から椰子の実まで大量買い。
何しろデュトロですから、3トンまで積めます(笑)
しかし、この中に焼酎等の酒類が一切無い事が驚き。
まだ酒止めてます(笑)

フェリーに乗り込んだら、出航前に私は爆睡。
結局、目覚めたら大阪湾でした。
疲れが溜まってたのかなあ…。食べて無いしね(笑)

鹿児島到着

朝8時半にフェリーは宮崎港に到着。
高速で鹿児島の県民文化センターに向かう。
11時に到着して搬入。
以前行ったことのある文化会館だとばかり思っていたのでちょっと迷ったけど、豪華なホールでびっくりした。
立派な搬入口も上手、下手それぞれにあり、舞台裏には何と可動式のレールに客席ごと乗った、能舞台まである!
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これがキャパ600人のホールに揃っているのだから、何と贅沢な造りだろね!

ホール自体はステージが低めなので、客席から見ると、ほとんどの席がステージを見下ろすようになり、どこに座っても音が良い。
設計が古いホールはステージが高いことが多く、1階席は頭の上を音が通り過ぎて行くので音が痩せて聞こえる。こんな場合は2階以上に上がって聴くべし。

鹿児島の県民文化センターは、なかなか良くできたホールだ。
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ステージ上から音がダイレクトに客席に飛ぶので、ピアニシモも良く聞こえるし、ステージ上よりブリリアントに聴こえる特徴が面白い。
2台ピアノなので、もう1台はホールのピアノをお借りした。
6年ものの普通のスタインウェイだけど、最近入っていた地元の調律師さんがしっかり仕事をしてくれていたので、調律はほとんど拾う程度で済んだ。おかげでF1の調整の時間が取れた。
何しろ全弦を交換してからまだ2週間。
更にベースの一本弦を全て張り直してからまだ5日位しか経ってないので、調律が落ち着かないのは仕方がないとして、他は予想通りの出来上がりだ。
今日は細かいところを仕上げる。

パイオニアも、このチャリティーコンサートに協力していて、今回は、聴覚障害者用に開発中の「音を振動に変えるクッション」を持ち込み、5人のスタッフが東京から来ているので、いつもより大所帯だ。
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打ち上げは天文館で鹿児島名物黒豚のしゃぶしゃぶコース。
あまりの美味しさに、完食(笑)
ダイエットちょっと中断。


鹿児島へ

朝9時過ぎにスタッフと渋谷を出発。
のんびり走って、予定通り夕方5時半に大阪港かもめフェリーふ頭に到着。
19時発の宮崎行きフェリーに乗り込んだ。
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さてさて、今回積み込んだピアノは、F1。
今秋から始まる大ホールでのコンチェルトやソロ・コンサートに備え、更にスーパーチューニングアップした成果を試す為に、急遽、今回のツアーのピアノに選んだ。
昔、ホンダ技研が「サーキットは車の実験場」と広告のキャッチに使っていた時期があったけど、我々にとってコンサートホールは、まさにピアノの実験場なんです。
いくらサロンやスタジオで 整音やタッチの調整をやって満足しても、その状態でコンサートホールに持って行ったらどのくらいの音量で鳴るか、というパワーは狭いところではわからないので、やはり最終仕上げは、コンサートホールに持ち込んで行なわなければならない。

2年前に張り替えたサウンドボードもようやく落ち着いて来たので、やりたかった次のチューニングアップに進んだ。
この作業には、再度フレームを下ろさなきゃならないので、時期を見計らっていたのだが、ようやくこのタイミングで実施できた。
レストブランクとノーズボルト、サウンドベルを調整して、フレームのしなりの調整をやり直した。
改めて弦を張り直したら思い通りの結果が出たので、ヤッター!と喜んだのもつかの間、張り替えた純正のベース弦の 出来が悪くて、一本弦のセクションの音が痩せてしまった。
全く純正パーツには泣かされる事が多々ある(笑)
新しく作り直したベース弦に再度張り替えて、ようやく終了!完璧!
低音域~最高音まで、これぞニューヨーク!という鳴り方になった!!
さあ、鹿児島で、鳴らすのが楽しみだ。


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こちらは、先週まで和歌山~福井と回ってきた楽器。昨夜からオーバーホールを始めた。
スタッフに業務連絡でオーバーホール命令を出しておいたら、その日のうちにこんな姿に(笑)


Jazz / meets / Japan

昨日の雨模様の天気とは、うって変わって、秋晴れの山下ふ頭。
今日は朝9時に横浜の山下公園特設ステージにピアノ入れで、山下洋輔、山本邦山のコラボレーションのコンサートだ。
山下さんの公演だから、山下公園なのかなあ…?

全くの野外なので、昨日の雨を心配したけど、今日は秋晴れ快晴。
とは言っても過酷な環境なので、秘蔵の外用のスタインウェイの登場(笑)
先日の日比谷野音にも登場したフルコンだ。
コンサートホールでピアノ庫や搬入口のドアを開けっ放しにしただけで大騒ぎする人達が見たらびっくりするだろね(笑)
3000回以上持ち込みの経験から、スタインウェイはどの位で、どこがどう壊れるかを 知り尽くしているからできる技。どうだ参ったか(笑)
17台もコンサートピアノが増えたので、こういった過酷な場所専用の楽器もあるんですよ。
贅沢ですね!

さて、朝9時に搬入が終わったら、スタッフはそれぞれの持ち場に帰って行きました。
会場のあちらこちらで、知った顔と挨拶。業界は狭いね(笑)
11時までは調律時間。
みんな気を使ってくれて、PAさんも一切音を出さないので有り難い。
ピッチは441。
ところが時折、大音量で鳴る船の汽笛がDの音で、これがまた微妙にピッチが低い(笑)
汽笛が鳴り出すと調律ができない(笑)
演奏中に鳴らないでもらいたいね…まあ横浜っぽいと言えるけど。
周りは山下公園、後ろはマリンタワー、右にベイブリッジ!まさに横浜だね~(しかし蚊がすごい)
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本番は、すがすがしい秋の夜に、豪華なジャズを満喫するお客さんで満員でした。
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今回は邦楽とのコラボレーションだったけど、やはり山本邦山さんは旨いなあ‥、流石に人間国宝だね。
終演後、機材は翌朝搬出だけど、ピアノだけは搬出させてもらった。
野外で満員になるとすごいね…クラシックもこんなに入れば良いのになあ…。
さてピアノを積んで渋谷に帰り、明日は鹿児島に出発だ。




たたかうピアノ Vol.3 最終章

7月18日から始まった「たたかうピアノ 高木裕トークセッション」も、ついに3回目、最終章になりました。
盲腸で入院して、はや2ヶ月になるわけですね。
この間にダイエットで12キロも痩せて、酒も止められて、一石二鳥じゃなくて、一盲腸二鳥。
何のこっちゃ(笑)

昨夜は、トークセッション用のビデオを探したりダビンクしたりで、結局寝たのは3時頃。
そして6時半に、銚子までオークションで落札した部品を引き取りに。
高速千円均一の渋滞に巻き込まれないように早朝出発したのは正解で、昼前には渋谷に戻ってこれた。

さて、たたかうピアノ。最終回も日本全国からたくさん集まって頂いてありがとうございました。
今夜のテーマはピアノと音楽とビジネス。
と言われても、なかなか難しいテーマだよね。
いつまでもあんな時代が続くわけないと思って、会社を無理に大きくしなかった所は生き残り、背伸びしたとこは、バブルがはじけると共に崩壊するのは当たり前の事で、政治が悪いわけでもないし、普通の状態に戻ったんじゃないかなあ…。
政治の問題と言えば、やはりバブルの時に造りすぎた音楽ホールだろう。
今や、地方で持て余している巨大ホールは無駄の象徴。
こんな事なら、2~300人位の小型のホールやサロンを作っておいてくれたほうが、維持費も安いし、使いやすかったのに。
クラシックのコンサートで、500人のホールを満員にする事すら容易ではない現在は、まさに昔のようにサロンの時代になってきたのだろう。

前半はこんな話から始まり、ごぶちゃんの動画で「フルコンを本当に女性が指一本で運んでトラックに入れるシーン」を見て、拍手喝采で終わった(笑)
後半はカーネギー録音のDVDとオマケで85年のキャメルトロフィー・ラリーに出場した時のテレビ番組の映像を流したけど、再生デッキとの相性が悪くて、途切れ途切れになってしまったのが残念だ。
さてこれから話も盛り上がってきたところで、残念ながら時間切れ。
3回トータルで8時間近く話して、まだまだ話し尽くせない(笑)

「スタインウェイ戦争」という本を教科書にして、業界と個人の生き方を検証する面白い企画だった。
初回終了後、盲腸で入院したのをきっかけに始めたダイエットで今日までに12キロも痩せられたし、思い出のレクチャーになってしまった(笑)

目黒パーシモンホール

2ヶ月振りのパーシモンホール。
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毎回違う楽器で来ると、それぞれの楽器の大ホールでの鳴り方の違いがわかって面白い。
今回は「ごえんなコンサート」三回公演の最終回。
この楽器は和歌山~串本~福井と旅をして、今日の東京公演終了後、全弦交換のオーバーホールに入ります。
今回のツアー中に、弦が一本切れました。
幸いリハーサル中だったので問題はなかったけど、弦が切れ始めると、一気にオーバーホールをします。
前回はギルシャハムの東京公演後だったので、我々の貸出用スタインウェイは、やはり3年経つと弦の交換時期に入るようです。ハンマーも約3年で交換するし・・・なんと贅沢!
家庭用のピアノなら、やっと良い音が出てきたなあ…という頃ですよね(笑)
まあそれだけ使用頻度が高いということになるのだからありがたい事です。消耗部品はケチってはいけません(笑)

我々の貸出用スタインウェイ達は、完璧にアメリカ式の扱い方なので、外装は単なる箱。傷は勲章。
最初ニューヨークで見た時はびっくりしたけど、やがてスタインウェイを傷だらけで使う格好良さがわかってくると、ボディにワックスをかける?手袋して触る?それは滑稽な事に思えてきました。
道具は使ってなんぼのものです。
その代わり、24時間エアコン完備のスタジオやトラック移動。
豊富に維持費をかけて貰えて、なんと幸せなスタインウェイ達だろう。まさに、ストラディバリウスだね。
傷は、いかにみんなに使われて来たかという証です。

CD368

ニューヨークから、ここのところ慌ただしくCD368の情報が飛び込んでくる。
1912年作のこの楽器は、生まれながらにスタインウェイのコンサート部貸出専用楽器として製作され、まさに巨匠時代のコンサートステージで活躍してきた楽器だ。
我社のコンサート用楽器のラインナップとしては、お馴染みの1887年のローズウッド、1921年作のCD199の中間を埋める存在になる。
これで、スタインウェイのヴィンテージと呼ばれる時代の楽器がほぼ、揃ったわけだ。

今回のCD368は、いわゆる骨董品にするわけではない。
活躍していた時代の状態に戻す為に、サウンドボードは当時と同じ材質で交換し、大ホールでのパワーを蘇えらせた。
当然ピン板も交換したので、これで今後30年、数度のオーバーホールにも耐えられるだろう。
こういったベリーワークを済ませたら、外装とアクション関係は日本に持って来て我々の作業になる。
最終仕上げの整音とタッチ調整は、絶対にアメリカではやらない。
なぜ完全に分業にしているかというと、本当にコンサートコンディションに調整できる技術者が、ほとんどいなくなり、下手に頼むと、99%がっかりするからだ(笑)
この傾向はここ20年くらい前から始まっており、今やますます酷くなっている。
その理由は、1989年にホロビッツが死んで、巨匠時代が終わってしまったからだと、私は思っている。
スタインウェイのファクトリーもすっかりメンバーが変わってしまって、まるで別会社のようだ。

92年にスタインウェイのファクトリーでF1のセカンドアクションを作らせた際、私は「本物のアクセレレーテッドアクションで、ダウンが44グラム、アップが26グラム±2グラム」と要求したのに、とんでもなくかけ離れたアクションが出来てきたので、私は怒ってジーンタッパーと、その上司のピーターベッカーに噛みついたことがある(笑)
私が要求した数字には深い意味があったのだが、やはり当時のスタインウェイのファクトリーでは、もう作れる人はいなかった。
では、誰ならできるか…ということになり、設計開発をやっていたビル・ガーリックを紹介してくれたことに繋がるので、やっぱり転んでもタダでは起きないか(笑)

確かにあの頃は、スタインウェイ社のファクトリー職人がどんどんファウスト・ハリソンに移って行った頃で、昨日までスタインウェイにいた営業マンまで、いつのまにかファウストに移っていたほどだ。
その後、スタインウェイのマンハッタン・ショールームの一本裏にファウストもショールームを作り、正面からスタインウェイに対抗するかのように、元スタインウェイの職人達が、ファウストのドブス・フェリー・ファクトリーでオーバーホールしたヴィンテージスタインウェイを売り始めた。
はっきり言って、スタインウェイのショールームに並んでいるピアノより格段に良かったので、ファウストは急速に有名になった。
その頃ニューヨークでは、スタインウェイの中古相場が急に上がった事があって、ファウストの躍進に危機感を持ったスタインウェイ社は、楽器がファウスト・ハリソンに流れないように、中古のスタインウェイを買い占めて、ロングアイランドの倉庫に集めているという話を聞いた事がある。
今はアメリカも不景気で、ファウストの職人達も随分入れ替わり、若い息子が会社を任されて、メーソン&ハムリンやブルッツナーも扱うようになったけど、あの頃の勢いはない。

話が長くなってしまった(笑)
そんな訳で、CD368はアクションの調整作業を東京でやる為に、当時のままである象牙鍵盤の輸出入許可が降りるまで3ヶ月もかかってしまったが、いよいよ全ての準備が整って、来月頭には日本に到着する。

久しぶりの事務所

ダイエットも更に進み、みんなに異常だと言われながら、ついに66キロ台に突入!あと1キロだ(笑)

入院騒ぎですっかりお任せの間に、ニューヨークの事務所が引っ越しました。
マンハッタンの中で移動しただけですけど、名札が付いたと、今日写真が送られてきました。

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今、ニューヨークでは、次期貸出秘密兵器「CD368」のボディ最終仕上げをやっています。
ルイスは命をかけてやってるそうです(笑)行けなくてごめん…
東京では、新会社T&Kエンタテインメントを設立したり、この夏は、入院騒ぎでのんびりしている間にも仕事はどんどん進んでいました。
昨日もジョージア州アトランタから、「年末にレコーディングやるから来てくれ」という依頼が入ってきたり、9月に入ると年末から来年のスケジュールまでも決まってしまいます。
とはいえ、10月の沖縄ツアーがインフルエンザで中止になったり、今年は流動的だね。

さて、まずは12日の「たたかうピアノ 最終楽章」の準備、準備。


一週間ぶりの東京

朝早くに福井を出て来たので、のんびり走っても夕方には渋谷に到着。
楽器を下ろして、横浜の工場にトラックを留めに戻ったら、ニューヨークからスタインウェイのアップライトが届いてました。
ニューヨークの友人がブルックリンからマンハッタンに引っ越し、部屋が狭くなってので買い取って欲しいということになったのです。
でも買ったは良いけど、ウォールナットの外装では、貸し出しに使えないので困ってます。
誰か買いませんか?(笑)

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ハーモニーホール福井

昨日は18時頃串本町文化センターを出発して、23時半頃滋賀県の多賀パーキングに到着。
ハイウェイホテルで仮眠を取って朝6時に出発し、時間調整をしながら朝9時にハーモニーホール福井に到着。
田んぼの真ん中にそびえ立つ巨大ホール。
久しぶりに来たけれど、サントリーホールを更に豪華にしたようなこのホールはどこを見ても大きい(笑)
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楽器を搬入して、調律開始。
昨日改めて調整したので、ツアー疲れも無く乾いた音で良く鳴ってくれる。
今回のツアーは一週間で、和歌山~串本~福井と3つの催しが繋がったので効率が良かったが、
いつもこんなにうまく行くわけではなく、一旦東京に戻って、来週はまた鹿児島(笑)

今回は季節と天気に恵まれて、いろんな地方で、秋を満喫出来たので良いリハビリになりました。
ツアー中も東京とニューヨークから、どんどんメールが入ってきて、仕事は追いかけてくるけど、のんびり田舎の景色を見ながら、先の計画を練るのもなかなか良いものです(笑)
今夜は打ち上げをやって、明日東京に戻ります。
今回持ってきたピアノも行く先々で話題になり、先日会社に、評論家のNさんから「松本和将君のCDを聴いて、素晴らしいピアノでびっくりした、ピアノの情報を教えて。」と電話がかかってきたらしい。
はっきり物を言うので、口が悪いと言われるNさんだけど、誉められるんだから、まぁ良いか(笑)

そんな事言ってたら、またまたメール。
今回のピアノを使用した、その松本君のCDもレコード芸術で特選盤に選ばれたらしい。
あんまり評価には興味ないけど、F1で録音した菊地裕介君のCDに続いて、連続特選になったのは嬉しいね(笑)


大倉集古館

この一週間、社長が和歌山、福井へ出張中なので、その間、東京のコンサートは私が任されています。

昨日は港区の大倉集古館にNYスタインウェイB型を搬入し、本日、菊池裕介さんによるソロ・コンサートが行われました。
この期間は「花(華)」にまつわる展示会中で、日本や中国の美術品が並ぶ長方形のスペースのど真ん中にB型を設置。作品を目で楽しみながら、音楽を鑑賞できる贅沢なコンサートです。

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会場の響きが多く、さらに屋根も外しているので、調律中いつもの感覚との違いに戸惑いました。
菊池さんもその響きに慣れるのが大変だったご様子。
粒の際立つNYスタインウェイの音色でなかったら、残響に埋もれてしまったかも知れません。
本番では、お客さんが沢山入ってちょうど良い響きとなり、ご自身編曲のバッハのパルティ―タ、べートーヴェン、ショパンなどを演奏されました。

菊池さんは、今年発売のセカンドアルバム「B-A-C-H」では「F1」を弾き、レコード芸術社特選盤に選ばれています。
今日のコンサートもNYスタインウェイでしたが、11月のショパン全曲連続演奏会でも、1887年製のNYスタインウェイD型を弾いていただく予定ですので、聞き逃してしまった方は是非11月の演奏会にお越し下さい!!(N)


串本町文化センター

昨日は、古座川ですがすがしい朝を迎え、今回のツアーの中間点でちょっと寄り道を。
岡田さんと録音チェックもかねて串本町文化センターに楽器を下ろし、地元の鳥羽山さん達に貸し出し。
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なかなか使えるホールでした。
夕方終了後、次の目的地、福井に出発!

和歌山県立盲学校へ訪問コンサート


昨夜のチャリティーコンサート終了後、いつもの打ち上げで久しぶりに少し食べました。
鯛飯ってこんなに旨いものだと思いませんでした(笑)

今日は和歌山県立盲学校に訪問コンサート。
昨日の本公演の収益と一緒に、コンサートの贈り物をするわけです。
以前、五嶋みどり&及川浩治が東京の養護学校でチャリティーコンサートを行った時に調律したのだが、体育館のオンボロピアノ、調律中に弦は切れるわ、連打はできないわの大騒ぎ。
それでも感動してくれた生徒達に申し訳なかったし、こんな事なら予算云々を度外視して、ピアノを持ってくれば良かった…と猛省した事が、チャリティーでもピアノを持ち込むようになったきっかけです。

少しでも無駄な経費を節約して最高の音楽を届ける為に、私が担当して、スタッフは1人。
交代で運転して全国を回ります。
我々がこのチャリティーコンサートに参加するようになった以上、与えられた条件の中で、最高レベルの音楽をやろうと思ったわけです。
今日は、昨日和歌山市民会館用に持ってきたフルコンを盲学校に搬入しました。
この楽器は先日ヴァン・クライバーンコンクールで優勝した辻井君が、「徹子の部屋」の収録で使用したピアノだったので、皆さん大喜び。終演後はご覧のとおりピアノには黒山の人集り(笑)
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初めて現場に来た主催者やスタッフの皆さんは、必ず感動します。涙ぐむ人もいます。
縄張り争いで自分の利益しか考えてない業者も、一度見にくるべきだと思います。
程度の低い業界に悲しくなります。
まあ、そんな人呼んだら出張料請求されるよね(笑)

さて夕方終了後、和歌山市から古座川に移動しました。
7時半頃、岡田邸に到着。私だけアルコール抜きの晩餐(笑)

和歌山に出発

昨日15時に渋谷を出発して、23時半に和歌山に到着。
ダイワロイネットホテルという綺麗なホテルが宿泊先だ。
今回はデュトロ号なので、トラックの停め場所を確認したら、ホテルの前に留めて下さいとの事。
なる程、立派なホテルで観光バスが何台も停められるのから 3トンロングのデュトロ君も大丈夫。
あのダイワハウチュがやってるホテルらしい。
相変わらずダイエット中なので、ホテルの朝食はバイキングで野菜に豆腐(笑)

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今日の会場は和歌山市民会館。十年振り位かなあ…。
コンチェルトと、歌とのコラボで2回位来た事があります。
今回は、お馴染みフコク生命のチャリティーコンサートツアーだ。
11時に楽器の搬入、2台ピアノなので、もう1台はホールのヤマハを借りる事にした。
ホールにはスタインウェイもあるらしいけれど、「外部の調理師が入る時は、保守管理業者が立ち会いをします。しかも、立ち会い料金を頂きます。」(笑)
実はお恥ずかしい限りだけど、ピアノ業界では昔から良く聞く縄張り争いの話だ。
流石に東京では、そりゃまずいだろって事になって、悪しき習慣はなくなったけど、田舎のホールではいまだに時折ある。

私が保守管理をしているホールでは昔から、外部調律師に立ち会いなどしたこともないし、まして立ち会い料を払えなどという発想すらなかった。
ピアノが心配なら、そっと遠くで見てれば良い事だし、ホールのスタッフの人に「中身を出していじくりまわしたら注意するよう」に頼んでおけば良い。
ホール側から頼まれたと言うかも知れないけれど、元々そんな知恵を植え付けたのは業者であり、ホールが依頼したなら立ち会い料金はホールが払うべき。
保守管理を依頼されているとはいえ、売ったピアノは、既に公共の物なのに、いつまでも自分の物のように放さない。
ホール担当者が知らないのを良いことに、脅かして自分の商売の種にする。
騙される役人も役人だけどね(笑)。
もし壊れたら直せば良い。直せない人に保守管理任せると、寄るな触るな業者が独占してしまう。
いつまで、こんな幼稚な商売をやってるんですかね…。
ここのところ、政治的な話を書いているけど、せっかく世の中変わろうとしてるのだから、我々の業界も根本から変わらないともう先がない

何年か前にも、秋田のホールで同じような事があった。
主催者が知らずに立ち会い料金を払ってしまったので、私は怒って「そんな金取ってボケっと見てるんなら、あなたが調律しなさい!私が逆に立ち会いする。基準の精度で調律できなかったり、わかる程狂ってきたら、債務不履行だから、金返してもらうよ!」って言ってやった(笑)
ところがその調律師さん、私の前で調律するのは絶対嫌だとおっしゃるし、事情を聞いたら、ご本人は内情を知らずに来たそうな。
勿論、こちらの主旨もわかってくれて最後は笑い話で済んだけど、立場がなかったのは、東京の業者からの指示で、そんなことをやらされたホール担当者だ。
この話はとっても長くなるので、別の機会にね!(笑)

さて、和歌山での本公演も無事に終わり、チャリティー募金も集まったので、明日は訪問コンサート。
和歌山県立盲学校へスタインウェイのフルコン持って行くぞ~。