今日から2日間、ソプラノのレコーディング。
Kまり(ソプラノ)さん/K井さん(ピアノ)のコンビで、20曲以上収録します。時間がありません!
私は昨夜から秩父入りしましたが、ピアノと機材は今朝到着です。
この10日ほど、腹痛と高熱で食欲もなく、ほとんど液体しか飲んでない状態が続いています。
病院でもらった抗生剤もそれほど効いているとも思えず、昨夜も高熱でなかなか寝つけず、友達の医者からは早く入院しろとやんやの督促メール。
午前中はまぁまぁ具合が良いので、9時に普通にホール入りしたら、既にスタッフのピアノ車は到着していました。

今回のピアノは久しぶりにひばり。
ピアニストのKさんが「柔らかい音のピアノが好き」とのこと。歌伴の時は良くある希望なので、ひばり君の出番です。
ピアノを次々アーティストの好みにいじくりまわしていると楽器が痛むので、ピアノごと取り替えるのが一番です(笑)。
さて準備も整い、アーティストも入り、音決めも午前中で終了して録音開始!
2日間でこれだけの曲数は正直無理かもしれないと我々は内心思っているので、準備や段取りが悪くて無駄に時間をロスする事は許されません。
さて本番が始まると、驚いた事にKさん休まず歌う歌う。
通常歌の録音は(特にソプラノの場合)、朝から歌い続けると夕方には声がざらついてくる場合が多いので、休み休み録音する事を勧めるのだけど、7時頃には今日のノルマを達成してしまいました!
Kさんの責任感もたいしたものでした。
そしてサプライズは、今回の主役ソプラノのKさんと、お手伝いスタッフとして来てくれた合唱団の方、なんと2人が今日誕生日!
楽屋でバースデーケーキに御両人でケーキ入刀!で本日終了。

ピアニストのK井さんは帰宅し、残ったメンバーで晩ご飯を食べに行くのだけど、すでに夕方から熱が出てきて食欲もなく、早くホテルに帰って寝たい旨を伝えてお先に就寝。
「這ってで呑み会に来る人が、よほど具合が悪いんだね…」とみんな心配してたらしいけど、私は抗生剤を倍飲み、いよいよスケジュールを変更して入院するかぁ…とベットで考えながら、今日も下がらない熱と腹部鈍痛に諦めモードでした。

久しぶりにパルテノンに来ました。
今日はこれも久しぶり木嶋真優&江口 玲。
3年位前にレコーディングしましたね、懐かしい。

さて今週はあまりにも腹痛と熱が続くので、昨日ついに近所の個人病院に行って薬をもらって戻ってきたら、スタッフ達に拉致されて大学病院に強制連行されました。
レントゲン、採血、採尿などの検査をして、腸炎と膵臓炎の可能性ありとの所見。
11時半に行って戻って来たのが16時半!
待たされる事、待たされる事…おかげで打ち合わせは変更に変更。
今朝はまぁまぁ調子良かったけど、調律って歯を食いしばるだけではなく腹筋も力をいれている事を発見!
腹に力が入らないので調律が辛い辛い(笑)
ピアノ位置も決まり、キャスターの向きを揃えようとしたら、なんとピアノが持ち上がらない!
何たる情けなさ…。
木嶋真優ちゃんもすっかり大人っぽくなって(と言ってもまだ24)、ダイナミックな演奏に更に音楽性が高まり、ケルンに留学して良かったね!
今日は15時~17時だけど、終演後ピアノを積み込んだ頃にはもう外は真っ暗!
またまた微熱が出てきて熱いので、渋谷に帰ってから早めに寝ました。
10年前にロンドンから持ち帰ってきたという、エラールのオーバーホール見積もりに行ってきました。

1835~1840年ごろに作られたピアノですが、ほとんどオリジナル状態のコンディションを保っています。
低音域巻線もオリジナル。

ダンパーも下から押し上げる平ダンパーのみなので、近代ピアノのように、スパッと音は止まらない。
チューニングピンはこの時代の定番スクエアピンなので、普通のハンマーでは調律できません。
85健のきれいな象牙もオリジナル状態。

エラールが発明したダブルエスケープメントのアクションは近代ピアノのアクションの原型です。

さてここまでオリジナルを保っていると、最も面倒ではありますが、一つ一つパーツを外して磨いて再使用する作業が適切な修理でしょう。
以前、貸し出し用のラインナップに加えていた1872年製のスタインウェイ(ニューヨーク)のスクエア・ピアノと同じ修復内容。
このロマン派時代の楽器からわずか数10年で、我がローズウッド君(1887年)が世に出る訳だから、いかにスタインウェイって凄かったかを改めて納得。
ここ2日、腹痛と高熱に耐えながら、フラフラと仕事をしてました。
二年前の盲腸炎の再発かなぁ…と思いながら、脚立に乗ってカフェの電気工事をやってたら、見事に落下!尻を強打。
高熱で体力落ちてる時に高いとこに登ったら危険だね(笑)
今日は回復してきたので、秋川キララホールにレコーディングに行きました。
予算の関係でホールのスタインウェイでの録音です。
具合が悪いと調律はきついね(笑)

今日は早めに失礼して早めに寝ます!
今日のコンサート、長泉町文化センター/ベルフォーレは、初めてです。
まだまだ地方には知らないホールがありますね。
住宅街の中に突如現れるこのホールは、なかなか良くできていて響きも適度。
レコーディングに使えそうですね。

今日はK美保さんのリサイタル。
Kまりさんのレコーディングで使ったピアノを、ここ何日か渋谷のサロンに練習しにきてもらって、ここに持ってきました。
リハーサルの最中、同行したスタッフは、我社の人気商品!「油圧式ピアノ運搬台車の新型モデル(Wピストン式)」を静岡のホールに納品に行きました。

足踏みで軽々フルコンが上がって、スッと降りるこの台車を使ったら、もうハンドルをクルクル回す機械式の台車は使えません(笑)
全国各所のホールにピアノを持ち込む際、ごぶちゃん&よぶちゃん共々、みなさん興味津々で人気の油圧式台車。その後、数社で同じような台車が発売されはじめましたが、テーブルがゆっくり降りる装置は我社の実用新案。
フルコンを運ぶ事に関しては恐らく日本一の実績を誇る(笑)我社の、ノウハウが詰まっています。
必要最小限の大きさで、本体が軽いのもその1つ。
納品から帰ってきたスタッフから、「皆さん喜んで試してました!」との報告で一安心。
さてこちらではリハーサルを終え本番。
曲の合間のトークでは久しぶりのコンサートでさすがに緊張気味だったけど、演奏は徐々に本領発揮して、後半の大曲とアンコール2曲を弾ききって、無事終了。
ブランクを感じさせない、素敵な演奏会でした!
レコーディングの方は昨夜スタッフと交代して、今日は紀尾井ホールでリサイタル。
朝9時にピアノ搬入したら、ホールのスタッフさんたちが総出でお出迎え!
ピアノ運搬車ヨブちゃんはどこに行っても人気者(笑)

昨年出版した「調律師、至高の音をつくる」にも書いたけど、東京で一番ピアノに合う響きのコンサートホールは紀尾井ホール。
サントリーホールは見栄え。音は紀尾井。

今日はH口A子さんのCD発売記念リサイタル。
調律をやっていると、相模湖レコーディング現場のスタッフから続々と状況がメールで送られてくる。
二元中継で調律も同時進行(笑)
こっちのアーティストはH口さん、向こうはK本さん。あわせてヒグマ(笑)
相模湖の方は、昨夜レコーディング修了後、調律を済ませておいたし、もう3日目で安定していたから今朝は楽なはず。
案の定「お昼ご飯は米八の、おこわ弁当です!」なんて気楽な連絡が入る。
こっちは急に吉野家が食べたくなって、スタッフと四谷まであるいて牛丼(笑)
紀尾井ホールの唯一の欠点は、近所に安価なレストランのない事だね!
久しぶりに吉野家食べて満足満足。
最近はネギタマやチーズのトッピングからカレーまでメニューに登場して、牛丼の王者「吉野家」もなりふり構わず、「すき屋 」の後を追ってるね…。
さて腹ごしらえもできて、ホールに戻ってリハーサル。
武満~からラプソディー・イン・ブルー、後半はラフマニノフと激しい曲が続く。
さて本番。ラプソディー・イン・ブルーを弾ききって休憩。
楽屋で休んでいたら、ホールスタッフの人から連絡。
鍵盤に血が付いたので拭いて欲しいとの事。
スタッフがピアノに走る。
先ほどのラプソディー・イン・ブルーの激しいグリッサントで指から出血したらしい。

昔、コンサートチューナー草分けの杵淵直知さんが、大阪フェスティバルホールで経験した「リヒテルがグリッサンドで血染めの鍵盤事件」を思い出した(笑)
後半はラフマニノフだから、指は大丈夫かと心配したけど、無事弾ききって、情熱のリサイタル終了!

その後の懇親会は「オーバカナル紀尾井」で、錚々たるメンバーが集まって祝福!
その頃に相模湖レコーディングチームも無事終了して搬出したとの連絡あり。
お疲れ様!
大雨の相模湖、湿気は大丈夫なんだろかと気になったけど、このホールは何の影響もなく、今日も快調にレコーディングは続く。

お昼ご飯は毎日、ピアニストのK本マリさんの差し入れ。
昨日はマイセンのお弁当、今日はすき焼き弁当。
スケジュール通り順調にレコーディングが進むので、お弁当がまだ温かいうちに食べられるって嬉しいね(笑)
コロムビア(DENON)のスタッフ、ピアノも元コロムビアの慣れた楽器。
あの懐かしいコロムビア赤坂スタジオ時代を思い出す。
今日も7時に終わって、明日の為の調律をやって、私だけ渋谷に戻りました。
交代のスタッフは入れ違いに相模湖に向かってます。
明日はレコーディング最終日ですが、ピアノもすっかり落ち着いているので、スタッフに任せて私は別現場に向かいます。
今日から3日間、コロムビアのレコーディングです。
K本マリさんのピアノソロで、ちょっと珍しい日本民謡をピアノソロに編曲した企画物です。
最終日にはフルートとチェロも加わったトリオも1曲あります。
朝9時にピアノを搬入。
今回は元コロムビアの赤坂第2スタジオにあった通称「きよし」を持ってきました。
いつものように調律を済ませて音決め。

何しろK本マリさんが先日ピアノ選びに来て、そのあと練習もしたピアノなので、音決めもすぐに終わり、午後から録り始めました。
全て数分の短い曲ばかりなので恐るべきスピードでどんどん進んで、順調な初日は7時半には終わって、我々は常宿ルートイン上野原にチェックイン。
こんな早い時間に呑めるなんて、レコーディングでは珍しいね(笑)
この2週間ほど私に付き合って、オペラシティ~東大和ハミングホール~仙台と、レコーディングやツアーに回ってきたピアノもようやく、一昨日サロンに戻ってきて、昨日は「裏地見るAナージ」さんのリハーサルに使用され、今日はヴァイオリンとピアノのレコーディングです。

このあとようやく、3日間ほど休ませてあげられます(笑)
今日もアーティスト達に大絶賛のこのスタインウェイは幸せものですね(笑)

今日のマイクは珍しくアースワークス。
これは、10年前のカーネギーホールでのレコーディングに使って以来と記憶します。
クラシックの録音ではB&KとSHOPESの全盛が20年以上続いていますが、アースワークスもなかなかです。
夜8時にご機嫌な録音も終わり。
ピアノを拭いてあげて、また増えた傷を発見しては補修。
半年前に張り替えた弦もようやく落ち着いて、絶好調!
良いピアノは使い込んでこそ、秘めているポテンシャルを発揮できるんです。
今回もアーティスト達に最大級の賛辞を頂いたから、傷は勲章(笑)。
昨日、恐怖の7階ゴンドラ下ろしで生還した我がスタインウェイ。
今朝は、宮城県立視覚支援学校で訪問コンサートです。
まずは体育館への導線をチェック。
フルコン横幅ギリギリの廊下を右に直角に曲がって、おそらく大屋根をこすりながらしか通らないドアを入って体育館という経路。
こりゃ無理かと思ったけど、運良く廊下の左側には外にでるドアがあり、ピアノの尻を一旦外に出せば直角に曲がるので、あとは本体をこすりながら行けば入る、てなわけで、なんとか体育館に入れたら愕然!
2台ピアノの片割れ(学校のピアノ)がまだステージの上(笑)
どうやら打ち合わせがうまく行ってなかったらしい。
仕方なく、今度は学校のヤマハをステージ下ろし。
今回のチャリティーコンサートはパイオニアが開発した振動体感システム御一行様も一緒なので、そのセッティング時間から逆算すると、二台ピアノの調律は時間が足りない!
大慌てでおじさん頑張りました(笑)
まさに、リクオさんの歌にある「やるときゃやるのさミラクルマン!」
さっそく待ちかねた子供達が集まってきます。
リハーサルが始まって、ピアニストの中井/武田さん達と、この体育館の音響の良さが話題に。
実は下手なコンサートホールより音が良い体育館って結構あるんです。
そこにスタインウェイのフルコンを運び込めば、素晴らしいコンサートが実現できるわけです。
皆さん大喜びでコンサート終了。

終演後はピアノを解放したので、先生達が心配するくらい生徒達がピアノに集まり、未来の辻井君を目指しているかのような腕自慢のみんなが、名演奏を聞かせてくれました。

今日も感動の中、ピアノを搬出して東北道で帰京。
さぁいよいよ!チャリティーコンサートの本命、フコク生命チームが東北支援コンサート開始です。
日本フィルの室内楽チームとピアノチームが二手に別れて支援コンサートをやるのですが、今日は合流して仙台電力ホールでコラボレーションコンサート。
このホールは恐怖の「屋根なしむき出しの外壁伝い七階上げゴンドラ搬入口」!
時間があればピアノ垂直立てマシーンを作ってきたかったのだけど、今回は、スタッフが前日に仙台の運送業者に引き渡して、現場の搬入を頼みました。
てなわけで、私は昨夜新幹線で仙台入り。
なにはともあれ、見よ!この搬入ゴンドラの狭さ!(笑)

本当に雨が降らなくて良かった!
上から覗くとフルコンが小さく見えま~す。

地方ではフルコンを運ぶ事はめったにないので、今日も巨大な男性5人がかり!

昨日、華奢な女性が東京から1人でフルコンを運んできたので、びっくりされたらしい(笑)
リハーサルをやっている間に、スタッフは今回フルコンと一緒にトラックに積んできたヤマハのグランドピアノを、石巻の小学校にお届けするために出発。
音楽家たち有志が集まって、使わなくなったピアノを東北に寄付するというプロジェクトに協力し、みなさんの思いのこもったピアノを修理して運んできたのです。
今回の津波で海水に浸かったピアノは塩分が抜けないから、無理に形だけオーバーホールしても、数年後にはチューニングピンなどの金属類は内部から錆びてくるし、よほど思い入れのある楽器でなければ、諦めたほうが懸命です。
こちらの学校も、体育館はまだ使用できず、海水に浸かったピアノも、なすすべもなくそのまま放置されているそうです。
今回お届けしたピアノは、部品も新品に替えてオーバーホールしてありますから、末永く愛用してもらえるとうれしいですね。
さて仙台電力ホールでは、1部が日本フィルの室内楽、2部が中井/武田チームの2台ピアノ、そして最後にコラボレーションというプログラムになりました。

ここは、客席床にマットが敷いてあるので、スタジオのようにデッドで少々困りましたが、開場とともに1000席があっと言う間に満席!
ようやく東北の人達も音楽を楽しめる心境になってきた事が嬉しいね。
夜は居酒屋で質素に打ち上げ。
日本フィルのメンバーとも久しぶりなので、昔話に花が咲いた(笑)