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ピアノ・エラと進化系Duo                      11/30

今日と明日は目黒パーシモンホールで、世界中から集まった7人のピアニストがそれぞれソロライブをやるという面白い企画。

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本来なら、全てのピアノを持ち込みたいところだけど、なにしろ5ヶ所もコンサートが重なってるので、トラックの手配が足りません(笑)
やむなくパーシモンのスタインウェイも借りて、ここには1台運び入れて、私は朝からスタッフと手分けして3台の調律。

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矢野顕子さんは昨日、松濤サロンでこのピアノで練習してるし、他の2名の外人アーティストも特に特殊な調整を好むわけではないので、あとはスタッフに任せて、私は松濤サロンの進化系Duoのほうに向かいます。

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こちらはCD368ルイス君を使用。
私のトークもお願いされたので、あとはここに張り付き。
しかしこのDuoは面白い!
春のレコーディングから、大谷石の採掘場でのプロモーションビデオ撮りなど、今年からいろいろ仕事をご一緒しました。
何が進化系かというと、二人とも作編曲ができるのと、4手なので超絶技巧を更に音数を増やして、更に複雑なハーモニーや装飾音を増やしたりできるところ。これは楽しい。
この二人羽織のような絡みも夫婦だからできるんだよね!視覚的にも面白い!

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婚活中のピアニストにはピッタリかも(笑)

圧巻のスーザの「星条旗よ永遠なれ」で大受け!
もともとホロヴィッツマニアの繋がりなので、懇親会はホロヴィッツマニアが集結。
しかしこの新しいスタイルの進化系Duoはこれから流行るね。
ピアノは装飾音が綺麗なニューヨーク・スタインウェイだと迫力は倍増!



ブリジストン美術館カイユボット展                   11/26

今月は忙しさのあまり写真を撮る事をすっかり忘れてたので、写真が少ない!
思い出しながら日記を書いてるんだけど、写真がない日は飛ばします(笑)

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今日はブリジストン美術館カイユボット展に展示してあるエラールでの演奏会です。
年末まで3ヶ月間展示されていますが、コンサートは今日だけ。
開館前の朝8時から10時まで調律の時間を貰ったけど、さすがに美術館。温度湿度の管理は完璧なので、1ヶ月前とほとんど変化なし。連打に多少のムラがあったので調整。

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この1874年製エラールの背の高いアクションフレームを見ると、つくづくフォルテピアノの構造がまだ混在している時代なんだと思う。
フォルテピアノはフレームがないので、弦の張力に耐えるために分厚い框が必要。
それが邪魔をしてハンマーが引っ掛かるので、そのままではアクションが抜けず、アクションをピアノの中に挿入してから、持ち上げる二段階構造になっているけど、フレームで補強されたエラールもその名残がある。
この有名な平行弦のお陰でダンパーが下から押し上げて止める複雑な一体構造もユニットで外せるし、ほとんどが平ダンパーなのも、この時代のフランス音楽を象徴している。
本当に興味が尽きないエラールの構造。
今夜は伊藤綾子さんのコンサートです。


フコク生命チャリティーコンサート in 福島!            11/21

今回は訪問コンサート2連チャン!
最近めっきりニュースに取り上げられる回数が少なくなったけど、さすがに福島は少し線量が高いので、震災の影響はまだまだ続いている事を実感。
だから支援は続けないとね!
今回は福島県立聾学校と盲学校。いつものコンサートホールでの本公演がないので、ピアノは小型のスタインウェイモデルM。
小さいから普段入れられないような入口の狭い施設にもスタインウェイを持って行けるので、みんな喜んでくれるかな?
ピアノの竹村さん、いつも大きいピアノを使ってるから、Mはどうかなぁ…?と思ったら、凄く喜んでくれました。あの顔はお世辞じゃないね(笑)

実はこのMは170センチと小型だけど、1925年のヴィンテージM。
昔、ニューヨークで朽ち果てた状態だったのを見つけて、日本に送ってオーバーホールして、初めて弾いたのがまだ20代の若き江口玲!
その後しばらく使って、フランス在住のピアニストが小型のスタインウェイが欲しいとの事だったので、パリに送って10年。
引っ越すからということで引き取って、パリからニューヨークに送り、響板や、ピン板等の交換するベリーワークをやって、また日本に戻ってきたので、世界を一周半回ってきた楽器。
私の調律師人生のなかでの思い出が詰まった楽器なので、今は若返って(本人は歳とったけど)コロンコロンと珠のように鳴ってくれる楽器。

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今日と明日は子供たちにさわり放題のプレゼント。
良いピアノの音って小さい頃から聴かせないとね。
ニューヨーク・スタインウェイの音って馴染みがないとか、あまり聞いた事がないって多くの人が言うけど、それは大きな勘違い。
1960年代にラジオやテレビで流れてきたアメリカンポップスやジャズ、クラシックに至るまでほとんどのピアノの音は、ニューヨーク・スタインウェイの音。
戦後生まれの世代の方々は、みんなその音を聴いて育ったんだということをお忘れなく!

長富彩サロンコンサートシリーズ「ラフマニノフの肖像」第一回  11/19

今朝はエイベックススタジオのレコーディングが入っているのに、スタッフのスケジュールが一杯で、急遽、私が調律に行くことになった。
久しぶりのスタジオだけど、ピアノの状態はなかなか良い!
私の知る限り都内でトップクラス!

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さて、今年は松濤サロン自主公演シリーズが増えました。
そのひとつが、長富彩ラフマニノフを弾くシリーズ。
1年間かけて全4回公演の、今日が初回です。
お陰様で既に完売。次回も完売。越乃寒梅!

このシリーズでの使用ピアノはもちろん、ラフマニノフ時代の1912年の楽器ホロヴィッツピアノCD75を使います。
ホロヴィッツはこの楽器で3000人のNHKホールで2回演奏しました。
ギャラを1億円貰ったとの事だから1公演5000万!
松濤サロンは限定50名。目の前でこのピアノの音を聴けるって贅沢だなぁ…(笑)

今日の第一回目は、偶然彩ちゃんの○○回目の誕生日。
懇親会には大勢のファンが集まってくれて、サプライズのハッピーバースデー!

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このシリーズは2回目も既に完売!
こうやって若いアーティストが育って行くのは嬉しいね。





浜離宮とオペラシティ                         11/14

毎日仕事が重なりパニックですねえ(笑)
本当はもう12月なのに、溜まりに溜まった日記を書いてます。
今年からやたらと書かなきゃいけない原稿が増えて、頭まで忙しい(笑)

え~とこの日は浜離宮で武田/中井御夫妻の2台ピアノ。

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ベートーヴェンの第9の2台ピアノバージョンという壮大なプログラム。


全く同じ時間に、オペラシティのリサイタルホールではリヴ・グラーセルさんが久しぶりの来日で、今回も1887年のローズウッド爺さんを来日前からご指名。

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前回の来日時、グリーグのレコーディングでは、ロマン派のピアノの話で盛り上がったのが懐かしい。
このピアノをポケットに入れて持ち帰りたいって言ってたけど、気持ちは本当に持ち帰ったんだね(笑)
やはり、この楽器の扱いはピカイチ!上手いね~。

第二回クラシックマニア                       11/10

松濤サロンのクラマニも2回目。
今回はグラーフのフォルテピアノで、クララ・シューマンをメインに19世紀前半のサロン音楽を楽しむ会です。
フォルテピアノは前回に続き丹野めぐみさんが演奏。

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初期ロマン派の作品と、少し遡って最後はベートーヴェン。
時代を遡るほど、曲とフォルテピアノの音色が絶妙にマッチしてくるから面白い。
今のピアノではほとんど出てこない音色が和音の中に色となって見えて来るので、作曲家が何を表したかったが良くわかる。
聴き慣れた曲も新しい発見があるサロン文化って奥が深い。
この松濤サロンのある場所は、昔「クララ・シューマン」「大ピアニストは語る」「ショパンからの手紙」を書いた原田光子さんの私邸だったので、ちょうどこのサロンの地下には空襲で焼け落ちたベヒシュタインのグランドピアノが眠っているんです。
今はカフェタカギクラヴィアになっているけど、3年前までは「クララ」というケーキ屋さんでした。もちろんクララ・シューマンにちなんでね。
なんだかシューマンには縁がある(笑)
さて次回はいよいよ19世紀後半が始まります。


京都 フローイング烏丸

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元銀行だった風情のある建物に東京からピアノを運んで来ました。
ドア幅が狭いので、フルコンは入らずB型にしました。

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京都の街中にこんなスペースがあるなんて素晴らしいと思ったら、来年からはもう事務所かなんかに改装してしまうので、今回が最初で最後のコンサートになりそうです。
それにしてもお店のスタッフさんたちが、ピアノの搬入搬出にとても協力してくれたので、大助かり。
ありがとうございました!

満員御礼のお客さんの前でH真美子のピアノソロライブ。
ここにスタインウェイを入れたのは初めてとの事なので、皆さん喜んでくれました。

コンサート終了後なぜかホルモン焼き(笑)



栃木県総合文化センター                       11/5

このホールに来るときは、いつも車だったので駅からの距離がわからない。
今日は電車で宇都宮に到着、タクシーで5分と聞いたから、まぁ歩いてもたいした事ないと歩き始めたらなんと30分!遅刻遅刻(笑)

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大急ぎで調律をやって、なんとか間に合ったけど、おかげで前回教えてもらったホールの裏にある餃子屋さんに行けなかった。

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今日と明日は私の担当のフコク生命チャリティーコンサート。
今回はピアノとソプラノとヴァイオリンのトリオです。

ロビーにはなぜかユルキャラが。

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エラール                                   11/1

この1ヶ月,あまりの忙しさにすっかり日記の更新を忘れてたら、妙なスポンサー広告が掲載されてた!
どうやら1ヶ月以上更新しないと勝手にスポンサー広告が表示されるシステムになってるらしい(笑)
あわてて遡って書いてます。

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写真は今月1日、ブリジストン美術館カイユボット展に展示してあるエラールの調律に行った時の写真です。
この「ピアノを弾く男」の絵は有名。
ピアノ好きなら忠実に描かれたエラールに目が行きますよね。

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その隣に展示されている女性二人が縦型ピアノを弾いてる絵はモネの絵だとほとんどの人が思ってるみたいだけど、これはカイユボットがモネに進呈して、モネが喜んで寝室に飾ってたらしい。勉強になるね!
これらの絵の前に飾られたエラール。なかなか絵になる(笑)

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平行弦が美しい。しかもベース弦が当時と同じ真鍮巻き線だから金色。
最近修復された楽器は今のピアノと同じ銅線巻き弦を張ったピアノが多いけど、これが本来の姿。


ここの隣の部屋で驚きの絵が展示されているのを発見!

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しばらく立ちすくんだ…なぜこの絵がここに…。
ホロヴィッツの自宅に飾られていた絵だ!

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これも何かのご縁。
でもこの絵はうちには来ないね、ピアノにしか興味ないからね(笑)


カイユボット展は年末までやってます、まだまだ見られますよ!
11月26日に開催されるエラールの演奏会は早々に売り切れたてしまったので、1月に松濤サロンにおいで下さい!