年度末、猫の手も借りるハードスケジュールが続いているので、レコーディングスタジオの調律に私も駆り出されています。

一般部門は年度末の官庁学校関係の調律が数百台まとまってくるのでスタッフは総動員!
4月に入ると少しは落ち着くけどねぇ。
~明日はオリンピックセンターにピアノ持ち込みだけど!一人だなぁ~。
昨夜は帰れなかったので、今日のスケジュールは変更してもらい、のんびり一般道で帰る事にしました。

清里から甲府にかけて富士山を眺めながら、あっちこっちに寄り道してお土産を買ったり、

犬が軽トラを運転しているかの風景を見たりしながら5時間で渋谷に到着。
ピアニストの依頼で清里まで行って来ました。


あっちこっちにオルゴール博物館ってあるけど、フルコンの自動ピアノがあるのはここだけだと思います。

それも1926年製チッカリングのフルコンに、アンピコの自動ピアノ装置が付いたもので、アメリカから20年位前に運んできたらしい。

チッカリングはスタインウェイより古いアメリカの老舗ピアノメーカーで、グールドも若い頃に愛用していたので有名です。
私も1台持ってるけど、ベビーグランドだからフルコンを調律するのは初めて。
これがなかなか良い楽器でした。
アメリカでオーバーホールされているので問題なく使えるけど、新しい汎用パーツを組みつけただけの修理なので、バランスが狂っている。
とりあえず調整でできる範囲だったけど、それでも一気に元気を取り戻した。
調律、調整が終わって、ピアニストのHさんも『これで明日のコンサートが楽しみ!』と大喜び。
あとは100本以上保存されているピアノロールから、若き日のホロヴィッツが弾く『カルメン変奏曲』や、ラフマニノフが弾く『くまんばちの飛行』、ガーシュウィン自作自演『ラプソディー・イン・ブルー』等をかけて楽しみました。
この時代の自動ピアノは空気圧でなので、ペダルを動かす機構はエネルギー不足で動かないけど、ダンパーは動くので問題なし。
ウナコルペダルはさすがに重く、アップライトみたいにハンマーを弦に近づけて打弦距離を狭くするだけなので音色が変わらないのが残念。
しかし雰囲気はよくわかって面白い。
超絶技巧でびっくりするけど、明らかにあとから音を加えてるところもご愛嬌(笑)
もちろんピアノとして弾く場合はペダルも問題なく普通に動きます。
仕事が終わって帰ろうと思ったら、隣のビアホールで晩御飯を頂いて、ドイツビールを飲ませて頂きました。
レストランの隣にホテルがあるのですが、シーズンオフなので、貸し切り。

私一人のために朝食まで作って頂きました。
村長さんありがとうございました。
今日のサロンは作曲家、ピアニストの雁部一浩さん。

ローズウッド使いの雁部さんのロマン派演奏には有無を云わせぬ説得力があります。
これは自身も作曲家ならでは、ですね。
今日も70人を越えるお客様で満員御礼。

たっぷり大人のクラシックを聴いて満足。

いつ見てもこのホールの天井は高いねぇ。
やはり昨日のティアラこうとうとは音が全く違う(笑)
ホールも楽器だからねぇ。

リハーサルを聴いて少し音色を調整。
リハーサル終了後もオケのメンバーがしきりにCD75の写真を撮りに来てました(笑)
本番でピアノをステージセンターに押す時はいつも私は高音側の脚のほうに付きます。
ここはステージの端ギリギリなので、もしもの事があると最前列のお客さんのところにピアノが落ちる!
そんな失敗はやったことないけど、多分脚が落ちてもペダルで止まるはず(笑)
オペラシティの場合、リハーサルの時からステージ角にこのストッパーを付けてくれるのでありがたい。

今日はピアノの出番が休憩後だったので、ステージでピアノを押してる時にお客さんが集まってきて、知った顔が声をかけるので、なんだか恥ずかしい(笑)
さて本番。

ブラームスはピアノの名手だったし、ピアノもほぼ完成された時代だから、オーケストラとピアノの掛け合いが面白い。
今日もオケにピアノは負けず、バランスも素晴らしい。やっぱりCD75は凄い楽器だね。
使用楽器の告知はTwitterだけだったけど、終演後はピアノに集まる聴衆が大勢!
久し振りにティアラこうとうに来ました。

明日のオペラシティ公演の為のリハーサルです。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と江口君で、ブラームスのコンチェルト第二番をやります。

ピアノは《CD75》。
このホールは上手に搬入口があって、すぐに反響板なので、ピアノを入れる時はちょっと厄介。
しかしホールとオケの皆さんが協力的なので助かりました。
ブラームスは後期ロマン派の作曲家ですから、もうローズウッド・スタインウェイが存在していた時代。
管楽器や打楽器の音量は今より小さかったので、バランスはちょうど良かったけど、今のオーケストラではピアノが負ける。
しかし《CD75》なら本領発揮。
リハーサル終了後、オケの皆さんもピアノを覗きこんだり、写真を撮ったり興味津々。
他の楽器に興味を持つってなかなかないけど、さすがホロヴィッツ・ピアノ。
明日が楽しみ。
今日の松濤サロンは『音楽室トリオ』というユニークな名前のトリオのコンサート。
これが実に面白い!

ピアノ、ピアニカ、クラリネットの3人で、クラシックの名曲を子供達にもわかりやすくアレンジしたバージョンや、大人向けのバージョンなどを演奏します。
こういったパターンは誰しも思い付くけど、なんだかみんなモヤモヤして中途半端で終わってしまう。
まずはっきりと『音楽室トリオ』と付けた名前がすばらしい。
これならコンセプトがわかりやすくて思い切ってできるね!
恒例のピアニストI君主催『マグロ会』がやっと開催できました。
昨年の打ち上げなんだけど、スケジュールがなかなか決まらなくて、やっと本日開催。
築地の魚市場が今年で移転してしまうので、私も買い出しに参加!

なぜかI君は築地の魚市場でも顔が広い(笑)
親方に築地市場を案内してもらいました。
初めての築地市場面白かった!
カフェに戻ってさっき生き締めしてもらった真鯛で朝御飯。

カセットコンロを出してホタテの貝焼き!
カフェとは思えぬ光景と貝焼きの臭いに、貸し切りとは知らずに入ってきたお客さんがびっくり(笑)
その後我々は仕事の為に一旦解散。
再度夜7時に集合して深夜までマグロ会&飲み会。
義理堅いピアニストI君!また今年もよろしく~
忙しい忙しいと思っていたらもう2月。
今日は久し振りにスケジュールが空いたので、ピアノの調整などをやっていたらもう夕方4時半。
事務所からの電話に出たら、「今ホールから『今日は16時から調律なのに誰も来ないんです』って電話があったんですけど…」
「え!そんなスケジュール入ってない!明日じゃないの!」
自分でも何を言ってるのかわからないくらい慌てている!
長年調律師をやっていて、コンサート当日に調律忘れてたなんてはじめてだ!
慌てて車に飛び乗りホールに向かう!
電車なら渋谷から40分位で行けるけど車なら空いてれば30分かからない。
賭けだなぁ…と思いながら首都高速へ乗ったら万事休す~大渋滞。
事務所と私の連絡が悪かったんだけど、色々言い訳しても仕方ない。
いつものようにリハーサル前に調律なら、先にリハーサルやってもらってそのあとに調律って手もあるけど、今日はリハ後の調律。すぐに開場するから時間がない。
車の中からあっちこっちに分散しているスタッフにとりあえず誰か先に向かえと指示を出す。
上野に一番近いところで調律しているスタッフが、神楽坂でレコーディングしている。
とりあえずタクシーで向かわせて、渋谷から代わりのスタッフを神楽坂に向かわせて、渋谷のライブハウスの再調律には、今日休みのスタッフに自宅から行ってもらうことにした。
神楽坂からのスタッフは5時半に到着。
私がホールに着いたのは5時50分、開場10分前!
すぐさまスタッフと交代して客入れの時間。
ピアニストのW君が心配そうにステージにやって来たけど、顔を見て少し安心したみたいだ。
幸いピッチは安定していたので急いで仕上げる。
気がついたら汚いシャツとジーパンにボサボサの頭!
ごめんなさい~雰囲気壊したねぇ~。
開場してぞろぞろ入ってきたお客さんの好奇の視線を浴びながら、針のむしろで調律(笑)
開演時間1分前、袖に引っ込んだ!
ピアニストW君 『あの~お支払いを…』
『お金?とれないよ~。そのお金で打ち上げしてね!』
いやはや調律師としてあるまじき失態!(笑)
いや笑えない…