スタッフは総出で調律に出てしまうので、やりくりか大変です。
今日はレコーディングスタジオと神楽坂GLEEの調律時間が同じなので、私が久しぶりにGLEEに来ました。

ここの1925年製ヴィンテージB型は、2011年のオープン時に納品したのですが、いまやGLEEの看板娘になっています。
いつもはスタッフに任せっきりなので、久しぶりにこのB型を調律しましたが、「これ以上ピアノに何を求める?」ってくらい完成度の高い楽器に育っていました。
現代のピアノメーカーは(スタインウェイ社も含めて)、これに対抗できるピアノは作れません。
むしろピアノを作るメーカーがいまだに存在するがゆえに、多くの弊害を産んでいます。
会社存続の為、コストダウンで利益の上がる商品、修正材とプラスチック(ウレタン)の分厚い塗料で塗り固めた、およそクラシック音楽とは真逆の音色の変わらないキーボード紛いの楽器を作っている。
それをあたかも、フォルテピアノやヴィンテージ・スタインウェイの延長線上にあるかの如くごまかすために、クラシックピアニストを広告搭に使って洗脳するのは、ある意味芸術に対する冒涜であるとさえ私は思う。
まぁ、このヴィンテージ・スタインウェイのような楽器はストラディバリウスだと思えば至極納得。
300年前のストラディバリウスを越えるヴァイオリンは現代の技術でも作れないから、丁寧にリビルドされて後世に受け継がれているのです。
ヴァイオリンメーカーが、「このヴァイオリンはもう古いから新品に買い換えなさい」なんて言ったら笑い者。