

ヴァイオリンのW玲子/E口さんのレクチャー付きのコンサートシリーズもお馴染みになりました。
私もこのレクチャーを舞台袖で聞いていて、とても勉強になります。
鍵盤楽器の人は弦楽器と仕事すると、昨今のピアノはいかにクラシックの本筋から離れて行ったかを痛感させられると思う。原点に戻るべきだね。
さすがにアーティストがこのクラスになるとバックステージには業界の重鎮が集まって来るので、懐かしい話で盛り上がる。
狭いからね、クラシック業界って。
10日前のコンラッド大阪は、エレベーター間口の高さが2m30㎝、奥行き1m80㎝だったので、B型(全長211㎝)を鍵盤を下にして立てるマシーンで難なく成功したけど、今回の名古屋はエレベーター間口の高さが2m10㎝なので、物理的に入らない。
しかも間口の幅が99cmしかないのでマシーンの幅にも制限がある難題。

鍵盤を下に立てたまま斜めの状態でくぐらせてエレベーターに入れてから直立に立て、降りる時は逆順という複雑な動きを二人だけでやる機械を製作中。

なかなか楽しい作業だけど、今夜のうちに楽器を積み込んでトラックは出発してしまうので、もうテストしてる時間がありません。
ピアノのバランスや耐久性はもう経験に頼るしかない!
とりあえず準備完了!成功を祈る~
今日はめぐろパーシモンでT浄子さんの本番なんだけど、昨日リハーサル終了後の夜9時からバッチリ調律を済ませたので、今日の調律直しと立ち会いはなし。
朝9時、台風の余波で雨模様の中、千葉の白井市文化センターにローズウッドを搬入。

今年12月9で130歳になるローズ・ウッド君はますます元気!
こちらはE口さん(何度見てもエロさんに見える(笑))のピアノソロで、先日レコーディングしたドビュッシー。
ここはあまり来たことないけど、なかなか良いホール。今度レコーディングで借りて見よう。

リハーサルを聞きながら中音域の輪郭がもう少し欲しいと感じたので、本番直前に思いきって整音作業実施。
普通のピアニストなら、本番で急にピアノの状態が変わってたら、びっくりして動揺するけど、そこは百戦錬磨の我々。
袖からステージに出て行く時に「ちょっと変えたからびっくりしないでねぇー」と一言。
弾き終えて「びっくりしたー」(笑)
弾き始めにピアノに座って1音目が少し大きかったけど2音目からはコントロールして絶妙のバランスで弾き終えた。
これは、雨に濡れた衣服でお客さんが続々入って来て、リハーサル時より格段に湿度が高くなるため、よくやる裏技。
とは言ってもピアニストがピアノを完全にコントロールできる人じゃないとやりません。
コンサート終了後、びっくりするほどCDも売れました。
今日は門下生も沢山来てたので、ピアノ搬出前に無人になったホールでローズウッドを弾く機会をあげました。

ロマン派真っ只中の正統派ピアノを弾いて皆が戸惑う。
普段弾いてるピアノと全く音の出方、作り方が違うからだ。
自分がこの曲をどう弾きたいか、というデッサンがあたまの中にある人は目から鱗の楽器。
さぁ大雨の中、渋谷に帰ります。
今日のサロンは松本和将プレ・レクチャーコンサート&ファンの集い。

分かりやすく言うと11月26日に東京文化会館で開催されるコンサートの楽しみかたを事前にレクチャーするコンサートです。
キャパ50人の松濤サロンにはちょうど良い催し。

ピアノはもちろん本番で使うCD368。
1912年に製造段階からスタインウェイ本社コンサート部の貸し出し専用器として作られ、同年8月24日に完成。
生まれながらのサラブレッドであるこのピアノは、鍵盤内部に誇らしげにconcertのスタンプが押され、カーネギーホールやメトロポリタン劇場で多くの巨匠達と名演を重ねてきました。
豊かな乾いた倍音と、圧倒的なダイナミックレンジの広さによって空間に画かれる色彩溢れるロマン派の景色はピアノ音楽の王道を彷彿とさせる。
現代の甘く円やかなピアノで聞くクラシック音楽とは別次元の世界。
巨匠時代の楽器は総じて簡単には弾けない。
それはそうだ、選ばれた人達の楽器だから。
小学校の野球少年がイチローのバットを持てば誰も3割打てるわけじゃない。
それは道具以前の問題でありピアニストもそれは同じ。
こういったプレ・コンサートで解説する企画はクラシック音楽をより興味深く聴けるし、これからの新しい試みとして面白い。
今日は私のやっているFM横浜「ピアノワイナリー」の番組収録があったので、ちょうどサロンで本番中が終わった松本さんに急遽ゲストで出演頂いて来月の東京文化会館でのコンサートの告知もしてもらいました。
神楽坂のクラシック音楽ライブハウスとして、すっかり有名になったThe GLEEも、オープンして5年経ちました。
ここのヴィンテージ・ニューヨークスタインウェイB型は1925年製。

日本にあるほとんどのヴィンテージピアノはオーバーホールしたと言っても弦やハンマー等の消耗品を交換して、外装を綺麗に塗り直したものがほとんど。
博物館モデルならそれでも良いけど、100年前は骨董品ではなかったのだから、響板やピン板も交換しないと往年のパワーは再現できない。
この部分は本体に接着されてコンプリートなので、弦やアクションのようにアッセンブリー交換はできず、壊して外すしかない。
そして材質やクラウンの形状のノウハウ等は延々と続いて来たピアノ会社でないと、正確には再現できないのです。
プレイエルやエラールなどは既に会社がなくなって久しく、技術は正確に伝承されていませんから想像の範囲でしか修復できませんし、私は技術屋として証明できない事に自信を持って答えることはできません。
スタインウェイの場合は1972年までスタインウェイ・ファミリーが経営していて、その後もスタインウェイ氏は名誉社長として残っていたので、少なくとも20世紀まではスタインウェイの技術は受け継がれ、ヴィンテージの楽器の修復は完璧にできたのです。
このグリーのB型はそう言う意味でラッキーな時代に修復され、今後50年は元気に活躍してくれるでしょう。
さて今日もライブレコーディングで活躍します。
今日のピアニストの杉丸さんは妙に縁のあることがわかってびっくりでした!
先週のレコーディングの続き。
今日は連弾なので、y さんも登場!
サロンのレコーディングはなにが便利かと言うと、調律が終わってはカフェ裏のメンテナンスルームに籠っていても、サロンからHDMIケーブルで引いたハイビジョン映像と音声が流れているので、他の仕事やカフェで打ち合わせしながらレコーディングの立ち会いができること。
まさに一石二鳥!
なので、サロンで悪口言っても聞こえてるよ~(笑)
新型イナバウアー試作機完成しました!
B型の鍵盤を下にして倒立させるマシーンのテストも兼ねて、デュトロで大阪に出発。
会場は、私の尊敬する日本人初のコンサートチューナー杵渕直知さんがリヒテルをめぐってヤマハとの確執があったフェスティバルホールの前にあるコンラッドホテル。
両方とも建てかえられて新築となったけど、このコンラッドホテル、以前はグランドホテルでした。
リヒテルの三夜連続コンサート。初日は杵渕さんの仕上げたスタインウェイを弾いたのですが、深夜このグランドホテルの杵渕さんの部屋をノックするリヒテル夫妻。
「キネブチ、明日からヤマハを弾かなければならなくなった…」という因縁話の舞台。なんて事を考えてました。
今日は3ヶ月前に新装オープンとなったコンラッドホテル38階のボールルーム。
ある航空会社クローズドのイベントでジャズコンサートがあるのでスタインウェイを運ぶ仕事です。
コンサートホールは搬入口があり、フルコンを毎日のように運べるシステムが確立したけど、そうなると更に先をやりたくなるのが技術屋の悪い癖。
クラシックはほとんどコンサートホールなので、いろんなピアノを持ち込み演奏できるようになってみんな喜んでいるけど、ジャズはライブハウスや様々な会場で搬入不可能な場所も多い。
私のポリシーでは、なるべく 大きいピアノを持っていってあげたいし、ジャズはフルコンよりB型がベスト。
ニューヨークのB型はブルーノートのレコーディングでも盛んに使われたベストマッチングな楽器。
今回のイベントは大阪と名古屋2ヶ所のホテル、搬入用のエレベーターは奥行き2mなので、M型(170㎝)やL型(180㎝)なら問題なく入るけど、B型は物理的に無理。
しかしエレベーター入口の高さは2m30㎝あるので、倒立させれば入る。
ピアノを大阪まで持っていって、搬入だけ地元の運送屋さんに頼めば楽だけど、それでは面白くない。
かくして完成させたB型専用のピアノ倒立機械と共に、いざ大阪へ!
コンラッドホテルの搬入口は地下なのでトラックの高さ制限3m。
我がデュトロは風防の高さが3mなので、安全の為に風防は外して行くことにした。

風防外すとなんだか間抜けな顔になってしまった(笑)
さぁ大阪に着いて搬入開始!
まずはピアノを横倒しにしてエレベーター前で倒立!これを二人でやる。


難なくエレベーターに倒立のまま入れて38階で出して長い廊下をそのまま進みボールルームに入って設置場所で起こして、大成功!
ピアニストの田中さんも大喜び!

地上を遥か下に見てホッとしてる間もなく調律!

これでピアニストの夢をまたひとつ叶える事が出来ました!
カバン持ってピアニストの後ろを付いて回る調律師だと、やることに限界があるからねぇー。
さぁ、本番終わったから搬入と逆の順序で搬出。
無事にミッション達成!
あとは細かいところをマイナーチェンジすれば完成型だね。
来月はこのシリーズで名古屋のヒルトンに搬入するけど、エレベーターの入口が更に低くて、倒立のまま傾けて入れてエレベーターの中で立てる荒業に挑戦。難題だなぁ、楽しいなぁ。
トラックは東京に帰って行き、私はスタッフと大阪拍で明日は福山に行きます。
今日と来週の2回に分けて、サロンで某レコーディング。

ソロと連弾を収録するんだけど、今日は i さんのソロのみ。
実は i さんとは15年位前にもコロムビアでレコーディングしたことがあるので、結構長いお知り合いになります。
今回のエンジニアは初対面だと思ってたら某レコード会社に在籍中に何度かお仕事してたらしい。
今は独立して録音をやってるとのこと。
この業界は狭いね、そして実力のある人達しか残らない。
だからみんなどこかで繋がっていて、狭い業界になるんだねぇ。
今日のコンサートは都内の有名なライブハウス。
持ち込みではなくて、ウスピアノの調律だけど、驚いた!

このスタインウェイ、オーバーホールされてるのは良いけど、明らかにチューニングピンの太さを間違えて打ち込んでいるので、ガチガチにピンが硬い!
大袈裟に言うと、調律のハンマーを回すと、ピアノごと回ってしまうぐらい硬い(笑)
弦の巻き方やその後の処理は綺麗にできているので、見よう見まねで修理をしたわけではないようだが、スタインウェイのオーバーホールの経験がないんだと思う。
三流ピアノはチューニングピンを打ち込んである板も安物ですぐに緩くなるから、交換するときはかなり太めのピンを打ち込む事が良くある。
しかしスタインウェイは太めのピンを入れると、なかなか緩くなってくれない。
このピアノはハンブルグだけど、これがニューヨークスタインウェイのヘキサグリップピンブロックだともっと大変。
最初緩いからといって太めのピンを打ち込むと、途中から突然固くなって慌てることになる。
こういうことが多々あるからオーバーホールは経験が必要なんです。
こんなにピンが硬いと正確な調律は不可能。
音は悪くないピアノだから残念でした。
まぁピアニストは喜んで弾いてくれたけど、私は疲れたぁー(笑)
タカギクラヴィアの原動力である横浜工場は今日からフル活動!
下見をしてきた大阪の現場は38階!
ピアニストから、この会場にスタインウェイを運んで欲しいとの依頼。
搬入エレベーターのドア間口は1.3m、高さ2.3m、奥行き2m。
ピアノは大は小を兼ねるので、わが社のポリシーとして会場にはできるだけ大きいサイズのピアノを入れてあげたい。
2m11㎝のB型を鍵盤を下にして立てたらエレベーターに入るので、早速その搬入機材を製作!
コンサートやレコーディングはスタッフに任せて、ここ数日は工場籠りです。



頭で想像して図面を引いて、材料を切断、溶接。
よぶちゃんも、ごぶちゃんも、イナバウアーもこうやって製作してきました。
B型の重量は350kg。
これを鍵盤を下にして倒立させるのだから、ピアノの重量バランスをよく知っていないと危険。
運送屋さんに頼めば簡単だけど、何でもすぐにお金を払って人に頼むのは私のプライドが許さない(笑)
この世の中に無いものを産み出すって、こんな楽しい事はない。
この機械が完成すればピアニスト達が諦めていた現場にもスタインウェイが運べる。
久しぶりの溶接、楽しい!


ちゃんと、お手伝い用のアニマル溶接面も用意してあるので、スタッフも楽しそう(笑)
そう、仕事は楽しまないとねぇ~。
昨日は名古屋から大阪と回って夜に神戸到着。
今日はいつものゴールデン・スタインウェイの調整。

1年かけて通った平成の大修復も来月で終了。
営業中は作業できないので、深夜や定休日に少しづつ手を入れてきて、ようやく仕上がってきました。

三連休の渋滞の余波の中、神戸を17時に出て渋谷に23時半に戻ってきました。
昨夜は熱が出て病人だったので書き忘れ!
運送屋さんにピアノを下ろして空荷になったアーバンで瀬戸に向かい、お知り合いのYちゃんの新居から電子ピアノを引き取ったので、昨日のミッションは3ヶ所!
今日は朝から名古屋市内の私の知人Kさんのマンションにピアノをクレーンで搬入。
これがあったので昨日は地元の運送屋さんにピアノを預けたのです。
わが社はコンサートホールやイベント会場になら、階段があろうがエレベーターが狭かろうがフルコンを搬入するのは慣れてるけど、吊り上げだけはやりません。
そんなわけで今日は朝9時から今回のメインイベント。宙吊り三階入れ。
今回お願いした名古屋ピアノサービスさんは初めてだったけど、仕事が丁寧で早い。


クレーン操作はリモコンで、二人だけでさっさとベランダから入れて、室内で側面を下にして起こし、廊下をそのまま滑らせてお部屋に設置。
全てがスムーズ。これには脱帽しました!
タカギクラヴィアはフルコンを運ぶことがメインなので、開発した機械もフルコン専用。
ピアノが小さくなるほどバランスが悪くて運びにくい。
ましてやアップライト運送は最も苦手。
逆に運送屋さんはフルコンなどほとんど運ばないので、わが社のゴブちゃんを見て感心しきり。
ヘンテコリンな逆転現象でした(笑)
さて、無事K家にキーボードではないアコースティックピアノが入って、5歳と3歳のお嬢ちゃん達も大喜びしてくれて、良かった…。

今回4ヶ所目のミッションを無事終了して、大阪に向かい、夕方中之島のホテル、コンラッド大阪に到着。
20日に依頼されているコンサート会場の導線を下見。

エレベーターの中でB型を立てるという荒業が必要で、機材開発の為に自分の目で確認に来たわけです。
全て終了して、最終目的地の神戸に入りました。
いろんな用事を組み合わせて、名古屋~大阪~神戸にスタッフと二人で出張です。
朝8時にアップライトを積んだアーバンで渋谷を出発。
三連休の中日なので覚悟してたけど、東名川崎から渋滞にはまる。

犬が運転しているみたいな車を写真に撮ったりしてヒマつぶし。
それでも予定通り13時には最初のミッションである、つま恋に到着。

ここは何度かポップスのコンサートでピアノを持ってきたことがあるけど、来月のコンサートは場所が違うので搬入経路の下見。
今回のイベントホールは昔ポプコンの本選で使われていた巨大なホールで、3トントラックのままステージ前まで入れることを確認。
もうほとんど使われなくなって老朽化した建物からは70年代の大歓声が聞こえてきそうな懐かしい場所。
つま恋のスタッフさんと確認をして、次は名古屋へ。
16時には日進市の運送屋さんに到着。
明日搬入のアップライトを運送屋さんに渡し、無事今日の2つのミッション終了して、金山のホテル泊。
ここ数日風邪がひどくてダルいので薬飲んで爆睡!
久しぶりのjazz 2台ピアノ。
こちらかはニューヨーク・スタインウェイF1を持ちこみ、もう1台はホールのハンブルクを使用。
どちらをファーストにするか決めか迷うほど、ホールのピアノは良く鳴ってました。
今日は大御所のお二人なので、鍵盤が軽やかなF1をファーストに決定。
2年前にTKさんのヴァイオリンとピアノのレコーディングで使った時はあまり印象に残らなかったけど、ホールの作りも響きもなかなか良いね。
ここもレコーディングホールリストに入れておこう。
まず渋谷から通えるのでホテル代がかからない、これは重要。

そんな事を考えながら調律をしていたらアーティスト登場。
六連弾以来だから半年ぶりかな。
先日、松濤サロンでリハーサルをやった時、私は出張でいなかったので、久しぶりです。
ベテランの二人だからリハーサルも無駄がない。

本番中、今月末から加わる新しいスタッフに楽屋まで来てもらって打ち合わせ。
本番待機の時間も無駄にしないようにと思ったら、アーティストのKさんはこのまま車で八ヶ岳に前のりらしい。
みんな忙しいねぇー。
仕事って忙しいところに集まるって本当だね。
六本木のミッドタウンで4日間開催されていたアーク・ノヴァも今日が最終日。
私はこのリリスでのレコーディングと重なっていたので、全てスタッフに任せっきりで終わってしまいました。

この特徴的なテントのコンサート・ホールを今年は見られなかったのは残念。
さて、こっちのレコーディングで使用しているリリスは何度も来てるけど、今回初めてロビーに出て見てびっくり。

吹き抜けのロビーはなかなか立派。
レストランもあるし、便利なリリス。


今日もレコーディングは順調に進み、シューマンからラヴェル、武満と録り終えて終了。
Mさんもご満悦な表情で、レコーディングデビューとは思えない余裕でお帰りになりました。
私がピアノの搬出準備をしていたら、ちょうどミッドタウンの搬出を終えたスタッフ達がやって来て、搬出終了。
お疲れ様ー


今回のレコーディングで使用している1912年製のスタインウェイ《CD368》は、製造段階からコンサート部の貸し出し専用として作られたピアノです。
一般販売用の楽器とは違って、後に特許を取得した構造を実験的に採用したプロトタイプなので、非常に面白い。
この時代のニューヨークは巨匠時代の真っ只中で、彼らと共に開発したのだから、まさにF1。
その後に市販されるピアノはデ・チューンされた一般車と同じ。
あくまでもまろやかで誰が弾いても綺麗に聞こえる音色なので、作曲家が楽譜に描こうとした奥深い陰影はイコライジングされ、ハーモニーではなく旋律のみが印象にのこる、
そしていわゆる名曲集になってしまうことが多い。
ホールの普通のピアノを使っていたら埋没してしまう低音域の輪郭も、ヴィンテージの楽器だとはっきり表に出てきて音楽全体を支えてくれる。
モニター室で、そんな事を思いながら聴いていました。
今日でシューマンの収録は終わり、明日はラヴェルと武満を録音します。
いつの間にか10月になってたね!
今日から3日間、お馴染みのリリスホールでピアノソロのレコーディングです。
ピアノ選定でTさんが選んだのは1912年式ヴィンテージのルイス君。シューマンなど録音します。
2ヶ月前、ロシア人SAX奏者のレコーディング時に持ってきたのはハンブルグ、録音チームも同じだから音の違いが楽しみだ。

朝9時にピアノを搬入して調律、マイクセッティングと進めていくけど、慣れたホールはセッティングが早い。
やがてピアニスト登場。彼女はこのホールが初めてだからまずは慣れて頂くために練習。

14時頃に順調にレコーディング開始。
さぁ、これから3日間ここに缶詰。
六本木のアークノヴァはどうなってるかなぁ…
スタッフが頑張ってる様子がメッセンジャーに続々入ってきます。
午後から心配していた雨が‥。
こっちは順調にシューマンの録音が進んでいます。
夜の8時に本日分終了で、我々は近くの駅前のホテルに着いた頃、大雨!
六本木が心配だ。
私は朝7時半出発で所沢のミューズへ。

マチネのコンサートで終演まで立ち会いなので、夕方まで張り付きです。
今日は珍しく持ち込みではなくホールのピアノを使用。
まずはピアノ庫でピアノ選定。
ピアニストTさんは昼前にしか来ないので、Tさんの好みそうな楽器を選んで調律開始。
同じ頃、我がピアノチームは六本木のミッドタウンで今日から行われるアークノヴァにピアノを搬入しているはず。

このアークノヴァは、2年前に福島で震災復興コンサートとして初めて日本にやって来た巨大なバルーン。
膨らませた中にステージ、客席を設置し、終われば空気を抜いてコンテナにすっぽり収まるので、世界中旅をして、砂漠の真ん中から山の上まで、どこでもコンサート会場になるという優れもの。

発想が凄いね!日本ではピアノを運んできただけでびっくりされるのに、コンサートホールごと運ぶなんて!
ピアノは付いていないのでタカギクラヴィアの出番(笑)
福島の時に経験しているので慣れているけど、バルーンの中はエアコンがなく寒暖差と湿度との戦い。
コンサートが終わったあと、夜は深々と冷えるので結露したり、ピアノには過酷な現場だけど想定して対処するしかない。
それを補っても余りある、どこでもコンサート・ホールの画期的なドーム。
搬入経路に変更があったので、急遽昨夜遅くにサブちゃんに電話して搬入を手伝ってもらうことにしました。
他のスケジュールを変更してまで交代してくれたサブちゃんに感謝。
今日は恵比寿でも搬入があるので、手が空いたスタッフはそちらの搬入に回して対処。
さらにもう1ヶ所重なってるので、スタッフは右往左往で大変だ。
北海道から一緒に帰ってきたばかりのG君も、またまた大活躍(笑)
私は刻々と入ってくる情報をスマホで受けながら、所沢でリハーサルを聞いてます。
こっちは淡々とコンサートは進み、楽しくやってます。
ホールのピアノを調律するだけだからなんと楽な仕事(笑)
終演後、関越道で渋谷に戻り、事務仕事を終えた頃に恵比寿からピアノが戻って来た。
六本木のアークノヴァは4日までの公演なので、ピアノは置きっぱなし。
私は明日から4日まで横浜でレコーディングなので、使用楽器のルイス君を準備。
毎日のように重なる仕事、そろそろスタッフが足りなくなってきたなぁ…また募集するか~