コロナ禍のため、春・音楽祭もラ・フォル・ジュルネも、去年は中止、今年も大幅な縮小開催。
例年なら今ごろ20台近いピアノを運んで、すっかり空いたピアノ庫の床にワックスを塗るのが恒例だったけど、今年も掃除はルンバにお任せ。
毎朝みんなでラ・フォル・ジュルネの調律に回って、外の屋台村に集合してお昼を食べる楽しみが無いのは寂しい(笑)
イベントやコンサートのアーティスト・サービスが減っても、実のところ他の仕事が増えるので例年よりもなんだか忙しい。
あっと言う間にもう4月も終わり。
今週も、コロナ後の打ち合わせやピアニストの籠もり練習で、サロンもスタジオもメンテナンス・ルームまで、スケジュール調整に頭を悩ます。
今日は午前中に、深谷のK先生宅音楽室のL型調律。
30年前、ニューヨークのスタインウェイホールで選定して空輸したのが懐かしい。
四半世紀以上経ったとは思えないねぇ。
深谷から秩父倉庫に移動して先に来ていたスタッフ達と合流。
ここで432Hz仕様に仕上げたアップライトを積んで黒山三滝に運ぶ。

トラックから降ろして橋を渡り階段を降り、石段を上がりピアノを立てて室内に移動し、432グランドピアノと並べプロジェクト完了!キャタピラ式ゴブちゃん大活躍!
この自然溢れる黒山三滝に、432hzのグランドとアップライトのアコースティックピアノが設置された。
さぁプロジェクトの始まりだね。
1日置いて今日が録音最終日。
弦楽器メンバーのスケジュールの関係で、初日同様に調律17時アップなので15時入り。
初日と2日目に大幅に調整をやり直したので格段にピアノは良くなった!やれやれ。




調律もほとんど安定したので今日はヒマ。
立会は拘束時間も長くて退屈だけど、食べ物飲み物は豊富にあるし、ブレーンストームやりながら色んなものの設計や改造の為に図面を引いたりするには貴重な時間。
今回は最新型ピアノ運搬車の改良箇所やアップライトを1人で運べるアタッチメントを考えたり、ヴィンテージルームに置いてある楽器用加湿器の水道水からカルキ抜きする装置を考えたり。
そうそう、溜まっていた日記を書いたり、これはこれでありがたい時間。
さぁ最後の曲の録音が始まった。夜10時半には終わり。
ピアノ椅子と弦の人が座る椅子から雑音が出るので、2脚貸した椅子を積んで帰る。
明日はうちのスタッフが通常ピッチの441へ下げ調律に来るけど、今はピアノが安定してるから本当はいじってもらいたくない(苦笑)
本日も無事終了。
2日間続いたレコーディングの続きは明日なので、今日はまた工場に籠もって新型フルコン運搬車製作の続き。


新品のキャタピラも届いて油圧リフト機構も装着完了!
コロナの影響で海外からの部品が届かず、大幅な設計変更を経てようやく駆動系統もでき上がり。
どうせ設計を変えるならと次世代モデルにグレードアップしたので、油圧駆動系統や電気周りも更に複雑になったけど、もしもの故障時に備えて電気系統はユニットで交換出来るように設計。
毎回、溶接と鉄粉の切粉で全身真っ黒になって帰ります。
全て自分一人で製作してるので製作開始から既に10ヶ月近く経ってるけど、量産品ではなく世界に無いものを作り出すには数年かかるのは当たり前だし、楽しい毎日(笑)
写真は現行モデルのゴブちゃん。

女性1人で、この位の斜面も楽勝でフルコンを運ぶ優れもの。
海外製品のピアノプランと言う移動車も数台使ってるけど、これはピアノを立てて運ぶので危険。
You Tubeの動画では簡単そうにやってるけど、プロの運送業者が使用する機械。
なので指一本でフルコンを運べるこの機械は世界唯一。
我社の次期戦闘機!近々登場!
今日は他にテレビの収録番組も入っているが、スケジュールの関係でピアノ運搬に慣れないスタッフが担当したので、心配で朝8時に積み込みを手伝ってテレビ局まで先導して、外で待機。
搬入が無事に終わったメールを受け取って、一安心で私はレコーディングスタジオに11時30分入りで調律開始。


昨日は時間が無かったけれど、今日はゆっくり修理をしながら調整。
14時からバンドネオンのM君が来てチェロとバンドネオンを録り始めた。
その頃にテレビ収録のスタッフから順調に始まったとの連絡があったので、また1つ経験が増えてスタッフが育ってくれる事は嬉しい。

こっちは弦楽器のメンバーも揃ってレコーディングは順調に進んでいる。
今日から3日間都内の某スタジオで、コロムビアのレコーディング。
スタジオのレコーディングはほとんどスタッフが担当するんだけど、このスタジオのピアノはニューヨークスタインウェイといっても色々問題があるので、スタッフ達は行きたくないと(苦笑)
本来なら私は今日、車で京都に向かっているはずなんだけど、明日からの緊急事態宣言の影響でスケジュール変更になったので良いのか悪いのか私が担当。
オーケストラ練習の関係で弦楽カルテットメンバーが揃うのが夕方になるため、レコーディングは17時スタート。
15時入りなので、その前にピアニストSさん自宅サロンのB型調律をやってからスタジオ入り。


やれやれ相変わらずの難物ピアノ。
スタジオのピアノはほとんどピッチ441になってるので、今日はまず442にピッチ上げ。
やりたい事は山程あるけど、とりあえずレコーディングに支障ない程度に仕上げる。
アーティスト達も集まってきてそろそろ仕上げと思った頃にバチーーンと高音の弦が切れた。
ホントにやれやれだ。
人の仕事にケチつける気はないけど、この間違った修理をされたニューヨークスタインウェイは、使う人に多大な迷惑をかける。
10分待ってもらって弦を張り終えてレコーディングスタート。
とりあえず初日終了して渋谷に帰る。
今日の持ち込みもテレビの収録。
朝9時にCD75を積んでめぐろパーシモンホールへ。


ピアノソロを17曲という過酷な収録。
今回の映像チームとは長野で徹夜の収録もやったので長丁場を覚悟してたけど、サクサクと夕方には終了!
ピアニストが上手いと仕事は楽だね~。
ピアノの貸し出しはフルコンばかりではなく、最近はTVの収録でアップライトの貸し出しも多い。
グランドピアノには側面のsteinwayの下にTakagi klavierのロゴを入れてあるのですぐにわかるけど、アップライトはロゴを入れるところがないので気付かないかもしれませんが、ちょっと変わったアップライトが写ってたらタカギクラヴィアのアップライトかもしれません。
小型の猫脚のマホガニーのアップライトはドイツ製のイバッハ。
フランツ・モアがスタインウェイに来る前に居た会社だね。


黒いアップライトはNYスタインウェイの1098。

でも実は、アップライトの持ち込みはフルコンより大変(笑)
我社の運搬車はフルコンを運ぶために設計したので、アップライトは想定外。
結局人力重視で運ばなきゃならないから、スタッフが忙しい時は運送業者に委託することも多い。
なので近々アップライトを一人で運ぶアタッチメントを製作予定。
初代運搬車「ヨブちゃん」は、エンジン仕様で30年前に製作。
フル電動モーター仕様になった「ゴブちゃん」は、2001年だったのでもう20年も活躍しているわけだ。
大した故障もなく、7千ステージ以上もピアノを運び続け、特許も取得し、女性一人でフルコンを日本全国に運ぶシステムを完成させた我社自慢の運搬車。
なんと昨年、この運搬車を欲しいと注文を受けたので久しぶりに製作を始めたのですが、驚くことに電動モーターとコントローラーが20年前の3倍、100万を超す値段に値上がり!しかも納入は半年後。
汎用品ではない受注製作品だから仕方ないけど、モーターだけでこの値段では駆動系や油圧ユニットも入れるととんでもない値段になってしまうので、新たに設計変更することにした。
今までは、バッテリー4個で48ボルトだったけど、2個で24ボルトに変更したほうが部品の入手が楽になる。
その代わり電流は倍になるのでコントローラーの容量や配線の太さなどが気になるところ。
まぁこの20年の間に電子パーツの種類も増え、値段も下がったので選択肢は広がったけれど、コロナの影響で海外からのパーツが届かない!
試作、設計変更、試作を繰り返し、ようやく新型運搬車の全貌が見えて来た時にはもう1年近く経ってしまった。
運搬中に故障した時、何ヶ月も直せないんでは困るから、スペアパーツも揃えないといけないので海外発注は困るね。
いよいよ新型運搬車ロクちゃんは完成間近、楽しみ!
原宿のとあるレストランで、Tさんのファンクラブイベントの調律依頼。
行ってみるとオシャレなレストランの中に何とヤマハのフルコンがありました。
今日はショパンのコンチェルト1番のオケパートを電子ピアノで弾いてもらう話だったので、
「ピッチいくつ?」「どこのメーカー?」「きっと合わないよ~」
と言ってたんけど、調律中にキーボード運ばれて来てビックリ。
某メーカーのデジタルピアノ「B1」!

これは私が調律したピアノの音源。もちろんピアノは我社のスタインウェイ。
もう笑うしかないね。
コンサートと食事会の席も用意して頂いたので、昼からシャンパンにワインとコース料理を頂いてすっかり良い気分。

しかし生ピアノも電子ピアノも自分の調律した音でコンチェルトは初めてかも(笑)
すっかり酔っぱらいのままタクシー拾って渋谷へ。
今日は松濤サロンでタカヒロ ・ホシノ配信コンサートです。

調律は昨夜やっておいたので酔っぱらいでも大丈夫!
今回もカメラは3カメで、有料配信なので事前セッティングは入念に。
入場は20人程に制限して、あとは配信。
このシステムも新しいサロンコンサートの形として定着してきたね。

今日はCD75を駆使して、ホロヴィッツゆかりの曲目によるデビュー20周年コンサートシリーズの1回目。
迫力あるCD75の端切れの良い音は決して団子にならずに一粒づつが重なり合って、原曲の再現性は完璧。
今日の私の担当現場。
まずは「東京・春・音楽祭」の東京都美術館。
階段下ろしとステージ上げがあって、運送業者も嫌がる場所。
私は山手線で上野から歩き。ちょうどピアノは無事にステージに上がったところでした。

調律を終えて急いで世田谷に。
ここ「TMC」はテレビ番組撮影スタジオで、数多くの番組を収録しました。
今日は地上波ではなく、最近話題のインターネットTVの生放送です。


持ってきたピアノはF1。
ピアニストのSさんお気に入りのフルコン。
ちゃんと番組中でピアノの話題を話してくれました(笑)
少なくなったとはいえ、今年も「東京・春・音楽祭」へのピアノレンタルがあります。
先月は子ども図書館。
明日は東京都美術館と、世田谷のTMC。
美術館は運送屋さんに任せて、世田谷の配信生放送収録、と出番を待つピアノ達を順番に並べます。

一番奥には先程、船堀タワーホールから戻って来たばかりのルイス君。
まるで次々と離陸を待って滑走路に待機する飛行機みたいだなぁ。
3ヶ月あっという間に過ぎ去りました!
世の中コロナで自粛真っ只中だけど、流石にコンサートは減ったけど、「技術は身を助く」で、レコーディングやテレビの収録等で例年より更にスケジュールビッチリ!
それに加えて、年度末恒例、学校関係の大量調律依頼でスタッフ達は早朝から出払って、会社に戻って来たらオーバーホール三昧。
レコーディングスタジオや拘束の長いテレビの収録なども、ほとんどスタッフにお任せ。
どうしても私が行かなきゃならない仕事以外は皆にどんどん任せて工場に籠もり、スタッフではできない新型ピアノ運搬車製作や、次のプロジェクトのブレーンストームで楽しい毎日を送っています。
業界の仕事は内容を公開できないものがほとんどなので、ピアノ貸し出しの記録写真はスタッフ達にもセット等が映らないように徹底させています。



3ヶ月ほどこのブログをサボっていたら、「大丈夫てすか!、コロナじゃないですよね!」とあっちこっちからご心配頂いてスミマセン(笑)
忙しくて風邪もひいてません~!
では新年度からまたせっせと日記更新します。