自粛の延長が決まりましたが、アーティスト達はコンサートの中止、延期に痺れを切らして、ここのところレコーディング用のピアノ選びが連日続きます。
コンサートができないならレコーディングで次のステップに自ら踏み出さないと、既に1年半もこんな現状が続いてるからね。



さて好みのピアノが決まったら本番前にスケジュールを押さえて籠もって練習に没頭。
「仲良くなったピアノをホールに持ち込んで本番に臨む」
この理想のシステムは、限られたアーティストにのみ用意された我がアーティストサーヴィスからの特権であり、かつての巨匠達がスタインウェイ本社から受けていた理想のサーヴィス。
昨今の「誰が弾いても本人が思っているほど音色の変わらないピアノ」では、自分の音楽性を発揮できないと思う人が増えたのは良い傾向だね。
いよいよ今日が本番。
午前中はプレイエルの調律と調整。
3日目になって楽器がホールにもなじんで来たので、リハーサルは初日とは格段に完成度の高い演奏が聞けた。
何たる贅沢な空間なんだろうと思う。

ピッチと言い、音色と言い、「これを聞かずしてロマン派の音楽は語るなかれ」だね。
後輩調律師たちのFacebookの書き込みなどを読むと、先輩として「もっと勉強しろ!メーカーの御用調律師達に多い、ピアノは新品に限るとか言ってる連中はクラシック音楽を語るな!」と言ってやりたい。
どんな名曲も「メロディと伴奏」としか思ってないから、「和音の内声を倍音の変化の中に浮かび上がらせて景色を描く」なんて技は聞いてもわからないだろうし、まぁ、現代のクラシックはモダンクラシックだからと割り切れば良いけど。
甘い物だけを食べてた子供の味覚が、苦味や旨味がわかるようになってようやく大人になるように、子供にそんなこと解いてもわからないからまぁ良いか、やめとこう(笑)
無事に終演!

ピアノとハープの写真を撮るお客様が多くてなかなか搬出できなかったけど、ピアノは渋谷へ、別便でハープとアーティスト皆さんを送り届けてお疲れ様~!
実に楽しい仕事でした。
今日も狛江でプレイエルの調律。朝10時に入りました。
ステージには地震対策されたハープが置いてあった(笑)

ピアノは多少の事では倒れないけどハープは怖い。
しかし1820年製エラールのシングルハープと、ライバル会社だった1843年製のプレイエルが、21世紀の日本で共演するとはねぇ。
シューマン、ショパン、リスト達が活躍していた時代の音が再現されるのだから、まさにエビデンスだ。

サロンでは久しぶりに奥村さんのコンサート。

狛江から抜け出して来たらリハーサルの真っ最中で話ができた。
1年振りくらいかなぁ、元気そうで良かった。
溜まった仕事をこなしているうちにいつの間にか終演の時間。
コロナ禍でも、こなせないぐらい仕事が舞い込むのは贅沢な悩み。
コロナの影響で昨年から1年延期になってたこのコンサートもやっと開演。
1820年のエラールのハープと1843年のプレイエルの共演なので楽しみにしていました。
楽器は今日搬入して2日間リハーサル、本番は明後日という贅沢なホールの使い方。
朝10時に長澤さんの自宅にハープとご本人をお迎えに行ってホールに向かい、プレイエルは別のトラックででホール搬入口集合。
2台とも、それぞれ200歳近い楽器なので気を使う。

ホールに搬入を終えてざっと調整をやってすぐにリハーサル。
運んですぐだと楽器が落ち着かなくて位置決めに苦労したけど3日間あるのでまぁ大丈夫だろう。

長澤さんは小さい頃からオランダ在住、今もオランダの音大教授なので日本人が留学しても心強いだろうね。
明日もプレイエルの調律調整の時間とリハーサル時間はたっぷりあるし、楽器の調整もノンピリできるからありがたいね。
松濤サロンは毎日、コンサートやコンクールでスケジュールが埋まっています。
ピアノの搬入出をするため道路側のドアは全開放できるので、空気の入れ替えも完璧。
今日はプレイエルで音楽誌のDVD録画。

私はこの担当ですが、他のスタッフはテレビ収録や大倉集古館のコンサートにそれぞれ別のピアノを運んで行きました。

サロンの収録は夜までなのでのんびり日記を書いてると、次々とピアノ達が仕事を終えて帰ってきます。

さぁピアノ達を大移動してサロンやメンテナンスルームに運んで明日の利用に備えます。
久しぶりに朝日カルチャーの出張講座をやりました。
今回のテーマは「ショパンとその音楽」
ショパン33歳の時のピアノ、1843年製のプレイエルを使って、「なぜショパンは、既に時代遅れになっていたプレイエルのシングルアクションに拘ったのか」を語ります。

藤井亜紀さんと共に1時間半の講座を松濤サロンで行いました。
私の講座は楽器がテーマなので、新宿校ではなく、本物のピアノと対面できる松濤サロンに出張して貰うわけです。
コロナ禍にも関わらず満席!
今回は配信もあるので、放送禁止話は残念ながらカットかも(笑)

第二響板や副響板と呼ばれる板は、響かせるのではなく逆にミュートであるという話しや、ショパンとリストは同じピアノでは弾けないといった話で盛り上がり、予定時間をまたまたオーバーしてしまいました。
本に書いてある話ではなく実際に証拠を示して説明できるのは、私が技術屋だから。
プレイエルが、連打の効かないシングルアクションから、エラールなどと同じダブルエスケープメントアクションに変更したのは、ショパンが亡くなった1849年からなんと14年も経ってからです。
特許などの事情もあるとはいえ、いかにプレイエルが、ショパンが固執していたこのシングルアクションを守っていたかがわかる。
参考の為に隣に並べた1887年のローズウッドは1884年にスタインウェイ社から発表されたので、このシングルアクションのプレイエルからわずか20年ほどでスタインウェイは近代ピアノを完成させた訳だ。

今のヤマハもカワイもベヒシュタインもファツイオリもみな、このローズウッドスタインウェイのコピーであることをみると、自ずと当時のスタインウェイがどれほど凄かったかがわかる(今のスタインウェイは全くだめだけど)。
クラシックのピアノ音楽を駄目にした責任の一端は、ピアノメーカーにもあると私は思う。
ついに発見!
スタインウェイ本社コンサート部で使用されていた貸出専用のB型!




25年程前、私が「CD」というピアノの存在を日本に紹介してからすでに四半世紀。
今や「CD」ピアノはすっかり有名になったけど、未だに「Concert Departmentの略」だと思っている人が多いし、間違って書いてる本もある。
「CD」とはConcert D型の略で貸出用のフルコン(MODEL-D)を表しています。
その他のB型、L型、M型も、コンサート貸出用の楽器も、それぞれ「CB]「CL」「CM」と表されますが、絶対数が少ないのである意味「CD」より貴重。
その中でも「CB」はセミコンなので、ロマン派時代のサイズとしてバランスが良く、クラシックのコンサートで使うにもちょうど良い。
ずっと探してたけど残念ながら噂すら聞かなかった本物のCBスタインウェイを遂に発見!
というわけで、またピアノ買ってしまいました!(笑)
近々、成田に到着します。楽しみだなぁ!
都内のホールでピアノ搬入が面倒な代表の1つ、東京文化会館の小ホール。
搬入リフトに入るドアが10センチ狭くて、ここでピアノを起こさなきゃならない。

スケジュールが重なってスタッフが足りない時はサブちゃんの出番だったけど、2年前に東京文化のロビーで話した2日後に倒れて、そのまま病院で亡くなったことを思い出す。

あれからサブちゃんの仲間にお願いしてるけどサブちゃんの存在感は大きかったね…。
今日はピアノを立てて梱包する際、不安定になるのでサイドプロテクトバーを外してきたけど、今日のプログラムは室内楽で、しかもピアノは大屋根外しで真ん中置き!

サイドプロテクトバーを外したボディのネジ穴が丸見えだけど仕方ない(笑)

マチネなのでまだ明るいうちに本番を終えて、またまたピアノを立てて搬出。

まぁこれが普通のピアノ移動だといえばそれまでだけど、普段女性一人で運んでる我々の方法からすれば大騒ぎだなぁ(笑)
今日の打ち合わせは、代官山教会集合で某メーカーとサンプリング録音の為の下見。
この教会ができた時に、ヴィンテージ・スタインウェイのB型を入れたんだけど、今度の録音は別の楽器を持ち込みなのでこのピアノは使わない。
しかし下見に来たスタッフがこのピアノをいたく気に入ってずっと弾いてる(笑)

ここは昨年末にF亜紀さんのレコーディングで使ったし、レコーディングも慣れた場所で近いからね。
会社に戻ったら音友の6月号が届いていて、6月19日コンサートのインタビュー記事が載ってました。

これは「ホロヴィッツとラフマニノフのピアノ2台の共演」という大人のクラシックの話。
このピアノを聞かずしてラフマニノフを語るなかれ。
楽しみだねぇ。
倉庫整理をやってたら懐かしいチェンバロが出てきて、ヤフオクに出してみたらすぐに落札されてしまったので、今日は秩父倉庫に取りに来ました。


チェンバロの勉強にはちょうど良いサイズなので惜しいけど、手放します。
帰りにアーバントラックも255555キロの積算突破!

新車で買って、知床から九州までピアノを運んで早20年!
フルコン乗せて路地も走るし、コインパーキングにも止められるので、3トントラックと共に我社の機動力の要!
自粛の影響で、今年もラ・フォル・ジュルネへのピアノ貸し出しもなくて、アーティスト・サービスも暇。
でも実のところ、この部署は元来アーティストのバックアップセクションなので利益を上げる目的はゼロ。
我が社は空いた時間に溜まりに溜まったオーバーホールや遅れ遅れになってる仕事に専念できるから良いけど、アーティストはみんな自営だから大変だ。
ワイドショーでは無責任に休業要請とか言ってるけど、補助金も出さずに仕事休めと言ってるのは満額給料貰ってる公務員やマスコミの連中。
みんな必死で堪えてるのに、不要不急のシートベルト検問やってる警察官に、「そんな暇あったら保健所やワクチン受付の電話番でもやってろ」と言ってやりたいけど、こんな時は何故か検問に引っかからない(苦笑)
さてスタッフ一同休む暇もなく忙しくしてるので、私は手伝いもなく一人で新型ピアノ運搬車製作中!
今日はいよいよフルコンの持ち上げテスト!
安定感バッチリで大成功!

これであとは細部の仕上げ終われば完成だね、やれやれ!
緊急事態宣言真っ最中だけど、次々舞い込む仕事にスタッフ一同てんてこ舞い。
オーバーホールも5台並行して作業しているので、サロンもスタジオもカフェまでもピアノだらけの日々。



今日は某キーボードメーカーと音源サンプリングの打ち合わせで、録音現場の下見。

前回からもう5年も経ったとはね。
あの時はメーカーのスタジオに我社のハンブルグを持ち込んで、正月に1週間こもって録音でした。
88鍵の単音をピアニシモからフォルテシモまで、それぞれ強弱の段階をつけて打鍵。
朝から晩まで単音を聞いている辛さを味わった。音楽が聞きたい~(苦笑)
夜は、またまた「音楽の友」ショパン特集の取材。
プレイエルについて語りました。
最近、掲載誌が送られて来たのを見たら、なんだか写真がおじいちゃんに写ってるなぁ…こんなに年寄りだったか?

今度はもう少し若めに撮ってもらおう。(苦笑)
記事はわざとボカシてあるので内容は本を買って読みましょう~
緊急事態宣言が出された東京や大阪のコンサートは続々中止、延期になって、発令されていないお隣の神奈川県では通常通りというのもおかしな話。
クラシックのコンサートは自粛する必要ないのにね。
朝9時にローズウッドを搬入して調律。
今日はマチネでしかも13時半開演だから早い。

このホールはステージ後ろの雛壇が上下して反響板代わりになるらしい。
今日はヴァイオリンとピアノ。
普段は完全に上げて使うらしいので、それでリハーサルをしたら、ピアノの低音域がボワンボワンと膨らんでヴァイオリンを呑み込んでしまう。
ピアノソロなら良いけど。
なので半分降ろしてみるとかなり改善。
雛壇の体積がステージ床から無くなってできた空洞に共鳴するのではないかと推測して、手前は完全に下げてもらってたら解決。
これも同じピアノを各地のホールに持って行ってるからわかる貴重なデータだね。
ビッシリ入った客席を見るのは久しぶり!
3時30分に無事に終了。
休憩時にも終演時にもピアノの質問が多くてホールスタッフの人が質問の答えを聞きに来てちょっとしたレクチャー(笑)
搬出終わって渋谷に戻ってもまだ17時前なので、会社でオーバーホールの続き。
今日は天気が良いので響板にニス塗り。

1日2仕事も出来るのは効率良いね~。