春音楽祭恒例の地球館にB型持ち込み。
ここは本物のゼロ戦が飾ってあって

毎年「ニューヨークスタインウェイと日米対戦」とか言ってたけど、なんとゼロ戦は引っ越してしまって壁になってました~
寂しいなぁ。
今日はチェロとピアノのコンサート。

Tさん母娘はそろそろウイーンに留学してしまうので、これが最後のコンサートかな?
若手チェロコンクールを総ナメのSちゃんもすっかり大人になったね。
留学で更に成長してくれるだろうね次回会うときが楽しみ!
ラ・フォル・ジュルネが中止になり、春は「東京 春 音楽祭」だけになってしまいましたね。
今日は芸大の裏のこども図書館にピアノを運びました。
ここは正面入口でピアノを起こし、イナバウアーで倒立した状態にしてエレベーターで運びます。

昨日のコロムビア青山フェイスビルには、運送業者に委託してB型を入れました。

サブちゃんはいつも、過酷な搬入場所でも「アイヨ~」って言い値で運んでくれていたので、有り難かったねぇ。
ラ・フォル・ジュルネには毎年20台近くを運んでもらってた。
この音楽祭が始まるとサブちゃん思いだすなぁ~。
さて今日はご近所のムジカーザ。
Mを持ち込み、プログラムはジョン・ケージです。


Kさんは以前所沢ミューズにもD型を持ち込みましたが、今回はM。
なぜならば元々ジョン・ケージが自宅で作曲したスタインウェイがこのサイズなのです。
ネジや釘を弦に挟む位置もビアノが大きくなると楽譜指定位置と変わってしまうので、楽譜に忠実にとなるとMがよろしいかと。
このムジカーザは搬入が難しくて運送業者にお願いしたので、私は調律が終わったら帰ります。
プリペイド状態にセットされたらもう調律は無理ですからね(笑)

さて本番は明日です。
今日の持ち込みはアップライト。
とは言ってもスタインウェイ1098。
テレビ局内スタジオ、朝の情報番組の出演なので、5時に搬入して調律。
リハーサルをやって7時過ぎの生放送。眠いねぇ。

実は我社の場合、フルコンを運ぶ前提で運搬機を製作しているので、ピアノが小さくなるほど運びにくい(笑)
アップライトはサブちゃんに頼んでいたので、サブちゃん亡き後、苦労しています。
フルコンなら最低1人で運べるけど、アップライトだとスタッフが3人必要。
さぁ次はアップライト運搬機作るかな。
今日の担当は代官山教会で、チェロとピアノのコンサート。

このTさん達とも、もう長いお付き合いになりました。

チェロのSちゃんは小さい頃からコンクール総なめで将来有望な逸材。
ビアニストのお母さんと共に今年ウィーンに留学するんですと。
なので今日と春音楽祭の2回のコンサートでしばらくお別れ。
若いって良いね~
実は、この日記を書いてるのは4月21日の香川県。
あっちこっちからまた日記が滞ってますよ~と指摘されてました(苦笑)
仕事に追われ、テレビ局やレコーディングの話は公開できず書けない事が多いので、その辺は飛ばし飛ばししていたら溜まりに溜まって4ヶ月。
3日前からほぼ1週間、香川県の観音寺にあるホールに籠もってコロムビアとレコーディング中の楽屋で書いてます。
やっと3月まできました(笑)
この日は行徳文化ホールにローズウッドとプレイエルを持ち込んでショパン/ショパン。
江口/川口が市川でショパン三昧です。
1887年製スタインウェイと1843年製プレイエルは、わずか40年位しか変わらないけど、まるで別の楽器。
同じ時代に共存していたのだから、このスタインウェイが発表された時はびっくりしただろうね。


さて本番は、まずは川口さんがプレイエルから。
開場とともにホールに入ったお客さんは、ステージ上にいつもと違う2台のピアノが並ぶ光景に興味津々だったので、プレイエルの第一音から聞き逃すまいと固唾を飲んで待ち構えていました。
現代のピッチより半音の半分低いA=430Hzなので、始めは違和感を覚えますが、すぐに川口さんの演奏に惹き込まれていく。
乾いた歯切れの良い倍音や伸びすぎない中低音と、木質で心地よい装飾音。
特筆すべきは輪郭のはっきりしたピアニシモ。
気がつけばショパンが描こうとした本当の景色が目前に広がります。
プレイエルは構造上、早い連打ができませんが、現代のピアノでは連打が早く弾けてしまう。
そうなると、当時とテンポ感も違ってきてしまうので、そこはフォルテピアノを熟知した川口さんの独壇場でした。
あっという間に前半を終えて後半は江口さんが1887年のスタインウェイでマズルカから。

実はここでビアノのピッチが一気に440Hzに上がるので、急に音色が明るくなった印象を与え、現代のショパンの世界が始まります。
ショパニストと呼ばれたいピアニストは、楽譜で悩むより、こうやって聴き比べればショパンの世界が一聴瞭然。
とは言ってもこのローズウッドはショパン時代のフォルテビアノからわずか40年位しか経ってないので、この後の140年くらいは構造的にはも変わってないということ。
そんな事を考えながら江口さんの英雄ポロネーズを堪能した。
カーネギーホールでこのローズウッドスタインウェイを弾いた時に、今は亡きフランツ・モアにYou are marvelous pianist!と何度も絶賛された江口さんの実力は、このローズウッドスタインウェイのポテンシャルを存分に引き出してくれました。
20世紀初頭のカーネギーホールのステージで聴衆を魅了したこのローズウッドスタインウェイは、新しい時代の大型ホールの隅々までピアニシモを届ける力を秘め、フォルテピアノを席巻して、ピアノの完成型となったのです。
現代に至るクラシック音楽の歴史を垣間見る価値あるコンサートでした。