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ピアノ選定                            3/1

3月になってしまいました!
今日は来月のレコーディング用のピアノ選定です。

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我が社恒例、コンサートやレコーディング用のピアノ選定は、ピアニスト理想のシステムです。
ピアニストは自分の好みのピアノを選んで、そのピアノで練習して、そのピアノを運んで、そのピアノで本番に挑むのです。
レコーディングの場合は、レコーディングで使用したのと同じピアノで「CD発売記念コンサート」だってできるのです。
これは我々にとっては当たり前。
レコーディングやコンサートで使う楽器に本番当日に出会って、早く慣れなきゃという練習に時間を費やしているうちに本番。こんなことあり得ません。

クラシック音楽業界は偉そうにしてる割には、ピアノに関する限りお粗末な現状です。
現場にある借り物の共同ピアノで幼稚園児も著名なピアニストも演奏する事に慣れ切っています。
そのせいで演奏者も公共ホールのピアノに文句を言うから、世界一高い値段でピアノを買い、調律や保守点検は『他社に触らせると壊されますよ~』と脅かします。
無知な公共ホールの担当者は騙され信じ切って、業者独占を許すどころか、まるで業者の営業マンになって、『調律は指定業者以外はお断りします。他の調律師を入れるなら立ち会いが必要ですので立ち会い料金頂きます!』などと、ピアノに関する経費を全て馴れ合い業者に誘導するシステムが横行。
公共ホールの担当者を丸め込むなんて赤子の手を捻るより簡単とばかり、最近は新しいホールができないので、売り尽くしたホールのピアノを「十年経ったから新品に交換しましょう」が始まった。
20年以上経ってやっと本来の性能を発揮してきたピアノが、売り手の都合で哀れ新品と交換されて練習室へ。
『ここのホールのピアノ、練習室のほうが良いんです…』と嘆くピアニストは数知れず。
クラシックのピアニストの仕事が激減している(ピアニストが多すぎるとも言えるけど)現状では、ピアニストも文句を言えず、依頼された仕事はありがたくこなして我慢して演奏するしかないから悪循環。

日本人は新しい物好きだから、ピアノは消耗品だと言われれば簡単に捨てる。
しかし10年や20年でダメになるピアノは欠陥品。
そんなピアノを売りつけたのなら責任問題。
しかし全てが独占された密室で行われてるから何をやっても大丈夫。
こんな旨い商売を今の時代に許されている事に憤りを感じて書いた本が『スタインウェイ戦争』。
これで少しは良くなったけど、残念なから調律師達のほとんどが事大主義なのには改めてびっくり!
学歴や出身に関わらず、実力で人生を切り開いて行けるから職人や技術者になったんじゃない人が多いんだね。
全ての人が「あまり私には関係のない世界だから…」って思うだろうけど、実はコンサートホールの件はほとんどが税金でおこなわれてる話。
民間ホールは自由!なにやってもOK。
税金で運営している公共ホールはそろそろ考えたらどう?
節税節税って、自分の業界の事ならわかるので、まずはそこからメス入れなきゃね!
毎年税金を払うこの季節になるとつくづく思う。