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619コンサート in 紀尾井ホール   6/19

忙殺の中で日記の更新もままならぬまま、なんともう1ヶ月経ってしまいました!
催促のメール申し訳ありませーん!慌てて更新していますー!

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今年で6回目になる《CD75》誕生日コンサート。
今年は主催が紀尾井ホールになったので、チケット販売などもなくちょっと寂しい。
チケット購入電話がかかって来ないから心配していたけど、やっぱり今年も完売で、当日券も売り切れと嬉しい連絡があって一安心。
ピアノは昨夜スタッフ達が搬入してくれてたので、ステージで一晩環境に馴染んでくれたみたい。

朝9時から調律開始!
1887年12月9日生まれのローズウッドは今年130歳。
1912年生まれの《CD75》は105歳。
クラシック音楽の最も華やかだったこの時代に、カーネギーホールなどで幾多の巨匠達と名演を奏でたこの2台のスタインウェイが、100年後の21世紀、ニューヨークから遠く離れた東京・紀尾井ホールのステージで一緒に名演を奏でるなんて誰が想像できただろう。
さて、このコンサートも4年前から「世界に羽ばたくきっかけになれば」と、才能溢れる若きピアニストにステージを提供してきました。
その第1回目の反田君は、このコンサートで事実上のデビューを果たして、今や飛ぶ鳥を落とす勢い。
ちょっと加熱気味なのが心配だけど、若いうちに早く海外に出て活躍して欲しいし、彼ならきっとできるでしょう。
さて、今回の共演者は阪田君。
もう何年も前から松涛サロンでFMの収録やったりよく知ってるんだけど、この619コンサートはいつもスケジュールが合わず、今回やっと実現しました。
その間に彼はすっかり有名になっちゃったので今更って感じだけど、まあ玄人受けする阪田君だから、こんな超マニアックなコンサートにも喜んで参加してくれました。

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今回は紀尾井ホールの主催コンサートなので、私は本番を全て客席で聴けるという恩恵を受けました(笑)
6回目にして初めてですね。
ただ本番の写真を撮るのをすっかり忘れてしまったので、リハーサルと終演後の搬出間際のステージサイドの写真しかなくて、残念ながら本番の熱気やピアノに集まる人達の写真がなくて、残念でした。

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さてリハーサルが終わって、ピアノを少しチェックしたら、休憩時間に調律の直しには出ない主義なので、もう私の出番はありません。
コンサート・ステージのピアノを預かる以上、休憩時間に無粋な調律の音で、コンサートの余韻を壊したくないので、開演から終演まで狂わない調律をやるのが、裏方であるコンサート調律師としての私のこだわり。
コアなクラシックのコンサートは、ピアニストも、楽器も、音楽的にも、考えられる頂点の技術を競いあうべきで、そこに妥協があっては普通のモダンクラシックと差異がなくなってしまいます。
江口玲の超絶ピアニシシモから爆音のような大フォルテッシモ。
この圧倒的なダイナミック・レンジの広さのキャンバスの中に描かれる音の景色は、絵の具のパレットのように無限の色彩を持ったピアノによってのみ表現できる音の世界です。
阪田君が時計のように精密に軽々と弾いてみせる超絶技巧に、才能とはこういうものだと思い知らされる。
今夜、全てが高い頂点で融合したコンサートこそが、クラシック音楽の醍醐味だと実感したのでした。
この6月19日のコンサートは、常に世界トップレヴェルのクラシックコンサートであると自信を持って言えます。
それはアーティストもピアノも妥協がないし、何より我々自身が楽しんでるから。