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ついに校了!  5/10

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「音楽の友」誌に3年3ヶ月書き続けた連載「調律師から見たピアノと音楽」をまとめて書籍化して出す予定が、2年も遅れてしまいましたが、どうせならホロヴィッツ没30年でもあり、平成も終わり令和元年に出版する事になりました。
目玉はホロヴィッツピアノとハンブルグスタインウェイとの音響比較(周波数特性)可視化データやアクションの数値比較。
書籍の欠点でもあった音を文字で表す難しさも、百聞は一見にしかずでエンジニアさんのホームページとリンクしてパソコンで音源も聴ける試み。

今回の出版社は音楽之友社で、ある程度音楽がわかる人を対象に書いたのですが、それでも編集者から「もっと分かりやすく」と要求が入るので用語の説明文を入れたり苦労しました(笑)
当初は3年間毎月執筆した連載をまとめて書籍化するつもりでしたが、この数年でピアノ業界は激動しました。
スタインウェイ社が中国と身売り交渉を始めたと発表した件については、数年前にファンドがスタインウェイを買ってから遅かれ早かれ想定済みの事だったので、いよいよ始まったかと思いましたが、とうとうクラシックはアジアの時代に完全に移行したと認めざるを得なくなりました。

そんな最中、昨年9月からポーランドで始まった第1回ショパン・ピリオド楽器コンクールで1~3位をポーランド人が独占するなか、オランダ在住の川口成彦さんが同列2位に入賞する快挙!
そもそも「今、ショパンがショパンコンクールを受けたら予選で落ちる」と揶揄されるほど、あまりにも変わってしまった近代ピアノ。
完全にピアノメーカーの広告宣伝の場と化した従来のショパンコンクールを、少しでも本流に戻そうとした動きがポーランドの国立ショパン研究所から始まったのは非常に興味深い流れです。
このコンクールの模様はNHKのBSで「もう1つのショパン・コンクール」として何度か放送されましたが、本来であれば通常のショパン・コンクールの方を「もう1つの・ショパンコンクール」と称するべきでしょう。

故人となってしまいましたが、ジェルメーヌ・ムニエ女史は生前、「ドビュッシーもラヴェルも『楽譜に書いてある私の指示通りに弾かないと、全く別の曲になってしまう。それなら弾かないで欲しい』と、いつもレッスンの時に言ってたのよ」と何度も話してくれました。
もし私が作曲家だったとしても、同じことを言うと思うし、当時の作曲家は自分の作品に責任と自信を持っていたのだと良くわかるエピソードです。
近代ピアノによって誇張されたロマン派時代の作品は別のものとして楽しんでいただいて、私はそろそろピアノメーカー主導で脚色されたクラシック・ピアノ音楽ではなく、作曲家が描いた本来の景色を見たくなってきました。


音友の連載が3年、この本に2年、計5年間原稿の締め切りに終われた生活を送ってきたので、やっと頭を切り替えて本業に戻れます!(笑)
「ホロヴィッツピアノの秘密」は音楽之友社より今月末発売です!

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