FC2ブログ

1/15~23  NY出張

この日記を書いているのは2月末なんですが、10日ほど出張に出て戻って来たら仕事の山が待っていて、とうとう日記を書く暇もなく、レコーディングの立ち会いをしながら、今日と明日でまとめてアップしています。



今回のNY出張は、スタインウェイ・アクションのタッチ調整なので、非常に地道な作業。
日本では、欧米人の普通のピアニストやピアノの先生をまるで巨匠のように崇拝する人がいるけど、ピアノの技術者も同じで、外人だからといって技術が全て正しいとは限らない。
戦前のニューヨーク・スタインウェイのタッチ調整を知っている人が、いよいよアメリカにも居なくなってきたようだ。


今回の鍵盤のバランス調整には、5日ほどの作業日程を見込んでいます。
ルイスが工房を貸してあげると言ってくれたけど、毎日通うのも面倒なので、TAKAGIKLAVIER U.S.A. INC.をすっかり任せているチマチさんとマークのスタンフォードの家を借りて、地下のゲストルームに泊まり込んで終日作業をする事にしました。




JFKから直接、マンハッタンのピアニストのお宅にお邪魔してアクションを預り、スタンフォードまで運び作業開始。

IMG_27022020_150054_(225_x_300_ピクセル)

まずはアクションの全てのセンターピン(1音当たり4本×88=352本)を交換後、鍵盤重量測定。
当該ピアノ、鍵盤の鉛を抜いたり入れたりした跡を見ると手に終えなくなって途中で諦めた感が満載。
とりあえずノーマル状態に戻すのに丸3日かかってしまった。
外はマイナス6度!ニューヨーク郊外は寒い。

1580132771159.jpg

IMG_28022020_172941_(281_x_500_ピクセル)



この日は、ルイスが私とチマチさんをディナーに招待してくれたので、ユンカースまでドライブしてルイスの工房に。

IMG_27022020_145953_(225_x_300_ピクセル)

最近入ったゴールデンスタインウェイを買わないかと勧められたけど、ボディに絵を書いたピアノは基本的に外装のオーバーホールできないのでお断り(苦笑)
ディナーはイタリアンでルイスご夫妻とチマチさんと私。
みんなもう長い付き合いで気心知れた良き仲間だ。




オーバーホールも終盤に入ってようやく鍵盤の反応も良くなり、ピアニシモの連打も出来るようになって一安心。
この作業はルイスの工房スタッフでもできないので、いよいよ私も絶滅危惧種かな(苦笑)


翌日、アクションを車でマンハッタンまで運び、ピアノに合体して終日タッチ調整と整音、調律と仕上げの作業。
ここまでで1週間ほどかかった。



その夜はマンハッタンのホテルに泊まって翌日のANAで帰るだけ。
唯一自由時間ができたのでミッドタウンの新しいスタインウェイ・ショールームに行ってみた。
入口でまずびっくりしたのは白いスタインウェイとチャイナ風の飾り付け。

IMG_28022020_173046_(500_x_304_ピクセル)

大きいポスターはユジャワンとランランのみ。
お客さんもほぼ全員が中国人。
ラフマニノフやパデレフスキー、ホロヴィッツ等の肖像画はどこにもない。
ふとランランのポスターのコメントに目が止まった。

IMG_20012020_201301_(500_x_281_ピクセル)

まぁこれが新しいスタインウェイの方針なんだね、過去は切り捨て新しい道を行くんだね。
なんだか寂しくなって、歩いて57丁目の懐かしいスタインウェイホールに行ってみた。
なんとまだ解体寸前のビルが残っていた。
1925年建造と書いてある懐かしい入口はそのままだ。

DSC_0154_2.jpg

かつてラフマニノフやルビンシュタイン、ホフマンやホロヴィッツ、グレングールド、数え上げればきりがない巨匠達が集ったコンサート部はここの地下にあった。
覗いたらジーン・タッパーやフランツ・モアが笑顔で出て来そうな気がするけど、もはやそれも夢。
なんだか1つの時代が終わった事を改めて実感した。


気分を変えて今夜はブロードウェイのミュージカルを見ることに。
まだ「オペラ座の怪人」を上演しているのにはびっくり!
あの頃何回も見たなぁ。
今回は「フローズン」にしたけどこれはお子ちゃまが見るミュージカルだね(苦笑)

IMG_28022020_173017_(500_x_281_ピクセル)


さて今回のミッションを無事終えてマンハッタンからANAで成田に飛びます。

DSC_0202_3.jpg


帰って来たら1月も終わりだね。
お疲れ様!