コンサートホールのピアノは通常442Hzに調律されているので、440Hzに下げるだけでもピッチ変更となり、終演後や後日、元に戻す原状復帰作業が必要となる。
ましてや432Hzともなれば半音の半分近く下げるのだから、絶対にやってはいけない。
ピアノの調律は弦の張力との戦いだけど、ピッチが安定している状態から上げるより、下げるほうが難しい。
下げても下げてもまた上がってしまう。
世の中に432Hz仕様のアナログピアノを見かけないのはこのような理由によるものだ。
(長年調律をやっていなくて下がってしまった場合を除く。)
通常ピッチのピアノを432まで苦労して下げた場合によく起きるトラブルは、低音弦に巻き付いている銅線が緩んでジンジン雑音が出たり、時には切れるなど、非常に厄介だ。
このピアノはヤマハのC7をベースに、全弦を外して新しく432Hz仕様に作り替えたので、完全に432Hzで安定している。
それと共に、ピアノを運搬するシステムが無いと432ピアノコンサートは非現実的だ。
我々はそれらを全て兼ね備えているので、このプロジェクトは他ではちょっと真似できないだろう。


クニコさんとアキちゃんの軽快なトークと432アコースティックモダンピアノの不思議な音の世界を、今夜、松濤サロンで眼の前で体験したお客さん達の反応が興味深い。