fc2ブログ

静岡音楽館AOI                               6/2

毎年恒例になった感がある、静岡AOIホールにおける雁部一浩ソロリサイタル。
ピアノはローズウッド。
朝9時に横浜工場でローズウッドピアノを積み込んで静岡に向かう。
東名は順調で、随分早く着いてしまった。

雁部さんは、このローズウッドピアノが我社に来た直後、まだオーバーホール前の状態を知っている貴重なピアニストだ。
すっかり綺麗になって人気者になったローズウッドピアノが、いかに最初はひどかったかを説明しても今ではあまり説得力がない。しかし雁部さんは見た、しかも弾いた(笑)
このローズウッドピアノは、私に発見されなければ、こうやってコンサートホールのステージに立つ事など二度となかっただろうね。
100602_1350~01

1887年、ニューヨークに生まれ、カーネギーホールの輝かしいスポットライトを浴びた青春時代。
そして1925年現役引退して更に50年後、縁あって極東の地、日本にやってきて25年。
キャピタル東急ホテルの楓グリルで晒し者になりながら過ごした晩年。
そして何たる偶然か、来日したホロヴィッツとの再会で、がぜん目覚めたローズウッド爺さん。
「ここから出してくれ…」と言ったかどうか知らないが、華やかなコンサートステージにカムバックするには、ここしかない…と、私の下に導かれるように現れたのは2001年6月19日。
19世紀に生まれたローズウッド君が21世紀の私の下にワープして飛び込んできた訳だ。
そして1年後、彼の姿はカーネギーホールのステージにあった。
それは忘れもしない2002年6月19日!恐ろしい程偶然は重なるものだ。

実はカーネギーホール復帰が余程嬉しかったのか、その後、言葉が判らない日本に帰る気などなくなったらしく、トラブル続きでなかなか帰国しなかった。(笑)
無理やり日本に連れて帰ってきてからの彼の活躍はご存知の通り。
その後も不思議なオーラを放ちながら、いまだに心霊現象らしき事件をおこす、まさに魂の宿るピアノ。
故に、このピアノは我が社のスタインウェイ貸し出しラインナップの中でも特別扱いのピアノだ。
演奏者限定、クラシック限定。
今年123歳のローズウッド爺さん。
今日も綺麗なコンサートホールのステージに登場。

リハーサルの時、「シューマンやリストが全く別の曲のように聴こえる…」と言う声があがると、
「いや、私がこの曲を作曲したら、こういう風に弾いて欲しいって想いますよ。」納得(笑)
やっぱりこのピアノは何かが乗り移るんだね(笑)
そして満員の観客の中で、スケールの大きい、巨匠時代のコンサートが再現されたのである。

搬出後、ピアノはスタッフに任せて、私は新幹線に飛び乗り、一路千葉へ。
今日の二台ピアノはどうだっただろう…?
明日はフコク生命チャリティーコンサートの2日目、訪問コンサートの日だ。
明日はどんな生徒達が待っててくれるのだろうか…。
23時半には千葉の三井ガーデンホテルに到着。
明日は朝6時に出発だ、また朝食バイキング食べられない。(笑)